目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


聖魔騎士団との戦い(後編)

「ああ、もう! 何でリーシェが居なくなってからのタイミングで騎士団の団長一派が来るのよ!」

 

 リーシェが味方の危機を探知したか何かして、私たちの下から居なくなってから少し経ったある時、私とフランは襲いかかってきた聖魔騎士団団長とその一派らしき数十人規模の聖騎士や聖魔導師の集団と戦っていた。

 

 即座に私たちが死んでしまう状況にはないものの、相手が魔法銀(ミスリル)系武具や破邪の聖水、破邪の刻印付きの道具を中心にこれでもかと対吸血鬼装備を身に纏い、光属性魔法や補助魔法の援護もあって下手に攻め込む事が出来ていないと言う、あまり望ましくない状態となっている。

 

「レミリアにフランドール。貴様ら2人だけでも厄介極まりないと言うのに、何かと話題な『触れざる天使(リーシェ)』まで相手にするなど、愚の骨頂だろう? どうやって貴様らと奴を切り離すか考えていたが、勝手に離れてくれたのは我々にとっては幸運だった。今の内に、力を消耗してもらおうか」

 

 そんな感じで戦いつつ愚痴をこぼしていると、それに反応してきた団長が厄介なリーシェを含めた3人をまとめて相手をするなど愚の骨頂だろうと返してきた。人間の立場で考えた上での当然の返答にぐうの音も出ないけど、私たちにとっては冗談ではない。

 

「フラン! 貴女は大丈夫!?」

「うん! まだまだ行けるよ! お姉様は?」

「問題ない……と言いたい所だけど、団長一派が私の方に増えていってるから、このままだと厳しいかも知れないわね!」

「分かった! じゃあ、遊ぶの止めてさっさと片付けてお姉様の所に行くから待ってて!」

「遊んでたの!?」

 

 フランの方は問題ないが、遊んでいたらしい。そう聞いて複雑な心境となったけど、ここで改めてリーシェの援護攻撃がどれだけ助けになっていたか思い知る事となった。あの子が居る時と居ない時とでは、敵の増えるペースが桁違いと言う程ではないが、速くなってきているからだ。

 

 下手に味方が散らばっているせいで、私の必殺技である『スピア・ザ・グングニル』や、その他広範囲破壊系魔法を使う事が難しい状況に追い込まれている。本来なら、これさえ使えればもう少し余裕を持った感じで戦闘を進める事が出来ていたため、少しばかりの苛立ちが芽生えていた。

 

 ただ、味方が全く役に立っていない訳ではない。例えば、レイブン家とその他2つの吸血鬼一家は私たちと同等数の集団と戦い、釘付けにしてくれているからだ。

 もし、味方が1人たりとも居ない状況であった場合、彼らが相手している聖魔騎士団の聖騎士や聖魔導師たちを私たちだけで相手しなければならなくなってしまい、予想外の面倒事が舞い込んで来かねない。

 と言うか、私たち姉妹の命が危ないと言う理由でもない限り、敵ごと味方を殺す攻撃など論外だろう。だから、今まで通りに対応するしかない。

 

(取り敢えず、リーシェが気づいて駆けつけてくれる事を信じ――)

 

 そんな事を考えていた時、突然私とフランを取り囲んでいた聖騎士や聖魔導師の集団に青白い尾を引いた超威力の矢じりを型どった弾が物凄い速度を保ちながら3発降り注いだ。と思ったら、更にすぐ後に高い威力を誇る雷が猛烈な稲光と轟音を伴って5回落ち、目測3分の2程の敵が文字通り『消し炭』になったのを、私とフランは目撃した。いや、恐らく他の味方や敵たちも目撃している事だろう。

 

 こんなにも高い威力の雷属性魔法を扱い、なおかつ高い命中率を誇る程の腕の持ち主は、私の知る限りではたった1人しか居なかった。だから、魔法が飛んできて着弾してからすぐ、私とフランはその方向を向いた。

 

「はぁ……はぁ……レミリア姉様、フラン姉様……無事!?」

「「リーシェ!!」」

 

 案の定、今の雷属性魔法を放ったのはリーシェであった。恐らく、私たちの下に団長を含めた沢山の敵が集まってくるのを能力で探知し、危ないと判断して来てくれたのだろう。

 

 お陰で随分と楽になったけど、私が味方を巻き込むかもしれないと思って躊躇していた広範囲破壊系の攻撃をこうもあっさりと叩き込まれると、何か複雑な気持ちにはなった。まあ、助けてくれたのだから、それについては何も言わないでおいてあげよう。

 

「私とお姉様は無事だよ! それよりも、こんなにも息を切らして、また無理をして……! 助けてくれて、嬉しかったけどさぁ!」

「ごめん……」

 

 すると、フランがレーヴァテインを乱雑に薙ぎ払って敵をメッタ斬りにしながら、いつもの力の使いすぎで上空に留まる力すら維持出来なくなりつつあるリーシェの真下に駆け寄り、降りてきた時に抱き抱えると、何度言っても無茶ばかりするあの子に対して怒りを露にした。

 

 確かにリーシェの体調を無視した無茶な雷属性魔法による攻撃により、私たちが楽になって嬉しかったのは事実であるけれど、そのせいであの子が苦しんだりする姿を見るのは辛いし、まかり間違って死のうものなら、私やフランが殺されるのと何ら変わらない悲劇が館の皆に訪れるだろう。だから、フランの怒りはごもっともだと私は思う。

 

「お説教なら後にしなさい、フラン。それよりも今は……撤退するわよ!」

「撤退……うん!」

 

 ただ、今この状況下でお説教している場合などではない。息が上がる程の力を使ったリーシェを休ませなくてはいけないためだ。正直、他の皆が戦ってるのに私たちが撤退するのは気が引けるが、そのせいでリーシェが死ぬなど冗談ではないから仕方ない。

 

 とは言え、何もせずに撤退するのは忍びない。だから、私は1番厄介な団長に全力でグングニルを投げつけ、フランは緋色の火炎弾を味方に当たらない位置に居る敵にいくつか放った後、着弾したかどうかを確認せずにリーシェを休ませるため、私たちは偶然近くに居た吸血鬼に詫びを入れ、紅魔館への帰路へとついた。




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