(レミリア姉様、フラン姉様……私……!)
姉様2人を殺してやると言われ、自分が自分でなくなる感覚に襲われた私が、気がついた時には既に落としていた雷が起こした惨状を見て、最初に沸いて出てきた歓喜にうち震えていた。何故なら、姉様を殺してやると意気込んでいた敵を、
ただ、少しだけ高ぶる気分が落ち着いた後、良く考えてみれば非常に不味い事をしていると、改めて気づいた。
祝宴の席で派手に雷を落とし、敵だけでなく数人を巻き込んで重傷を負わせる。戦争をしている訳でもないのに、館を豪快に破壊する。何より、誰なのかと確認すらせずに殺してしまった事は、とても大きかった。
(うん、まあ……当然の反応だよね)
そして、これだけの事を仕出かした私に対する反応は……やはり、大半が驚きや怒りと言うものであった。まあ、攻撃してきた上に姉様たちを殺すと言ってきた彼のみであればともかく、関係のない吸血鬼まで巻き込んで重傷を負わせてしまえば、当然の反応だと思う。ただ、正直私にとっては姉様2人や館の皆以外は基本等しくどうでも良いし、だから何だと言う話だと思っている。
とは言え、それを口にしたらどうなるかは想像に難くないから、口には決してしない。私だけに影響を受けるならまだしも、姉様2人や館の皆が何かあれば、後悔してもしきれない。
「貴女……いくら相手が悪くても、死体すら残さず消し去る程の雷を落とすなんて、流石に良識を……」
「そもそも、私の姉様たちを亡き者にしようとする敵に良識なんて必要ない。死にたくなければ攻撃して来なければ良いだけの話。清々したね、姉様たちを殺すつもりの敵が1人居なくなって」
「無関係の奴らまで巻き込みやがったのは、どういうつもりだ?」
「それについては、どういうつもりでもなかった。雷落としを選んだ私のミス。普通に矢を使って消してやれば良かったと、反省してる」
その後は、私の張ったままのバリアを越せない吸血鬼からの文句やら何やらを、一身に受けつつ反論したり反省したりしながら対応を行った。面倒臭いけど、レミリア姉様とフラン姉様にこれ以上厄介事を押し付ける訳にもいかないから、仕方ない。
「貴様……せっかくの祝宴を台無しにして、おまけに儂の孫まで殺してしまうとは……貴様にはもちろん、
「おい、馬鹿爺さん! 気持ちは分かるが発端はあんたの孫な上、今の奴に刺激を与えるからその言葉は
すると、バリア越しに怒りを露にしてきている内の、さっき私が消し炭にした子のお爺さんらしき吸血鬼からまた、私のレミリア姉様とフラン姉様に危害を加えると言う意味であろう言葉が発せられたのを耳にしてしまう。
(報い……? アイツが姉様を、殺しちゃう? なら、先に殺して守らなきゃ! でも……)
瞬間、少し落ち着いてきていた気分が高ぶってきて、私の中であのお爺さんに対する殺意などの感情と、私の姉様2人を守らなければいけないと言う感情が混ざり合ってきた。そして、半ば反射的に私の身体は動き、バリアを抜けてそのお爺さんの首根っこを掴み、地面に叩きつけた。
「アハハハ!! 何で、さっきの子も貴方も、よってたかって姉様を殺したがるの!? 私じゃなくて!!」
「ぐぁぁ……」
「私にはね、大好きな母様は死んじゃったから血の繋がった家族が姉様しか居ないの! 殺された訳じゃないけど、死を意識しちゃうから、母様のお葬式を見るのが辛かった。それに、血の繋がった家族じゃないけど、私を助けるために命まで投げ出してくれた大切なメイドさんが死んだ時も、胸が裂かれたようなって例えたくなる位。大切な館の住人の死を見るのは、とっても辛かった」
身体が勝手に、自分の意に反して……いや、心の奥底では望んでいるのだろう。首を掴んだ老吸血鬼を何度も何度も、繰り返し地面に叩きつけていた。こんな惨たらしい行為、普段の私であれば敵にすら行う事はないだろう。
そして更に、自分の口から今まで無理矢理抑えていた気持ちが同様に、勝手に溢れだして止まらなかった。ついでに、涙まで止まらなかったのも感じた。
どう言う訳かまだ生きているらしいけど、彼の身体に魔力を伴う薄い光が纏わりついている事から、おそらく何らかの防御魔法だと思われる。ただ、完全には凌ぎきれていないみたいだけど。
「もう、私の側で大好きな人が死ぬ光景を見るのは沢山なの! 殺される光景なんて見るのなんか、もってのほか! だから、そんな大好きな姉様を殺したがる貴方なんか……いや、
そうして、どの位叫んで泣いて叩きつけたかも分からない位の時間が経ち、もう既に息も絶え絶えな状態にまで老吸血鬼を追い込んだ私は、怒りと衝動に駆られたままに彼の身体を放り投げ、雷弓を出し、過剰攻撃となる事は分かっていながら奥義魔法を1発放とうとした。
(……っ!?)
瞬間、私にとっても予想外な割り込む者が現れたため、それを中断する事となった。
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