目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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姉達の暖かさ

「今まで何回も言った事があるけど、リーシェはいつも無理のし過ぎ! 泣きたくなる程辛いのなら、あそこまで言わなくても『悪夢を見てる』って一言だけで十分だったのに……いい加減、その癖を直してよ!」

 

 悪夢の内容を泣きそうになりながらも何とか吐き出そうとし、フラン姉様に怒られて止められた後、いい加減に無理してしまいがちなその癖を直せと、私はお説教を受けていた。

 ここまで大声で、なおかつ涙を流されながらフラン姉様に怒られる事なんて初めてであるため、雰囲気に圧されて萎縮している。まあ、これは今まで何回も同じような事で注意を受けていて、にも関わらずまたやらかした私が全面的に悪いから、何も言えないけど。

 

 ただ、この癖を止めるにしてもほぼ反射的に思考がそうなってしまったり、強制的にそうやってプログラムされたコンピュータのように、この身を犠牲にしてでも姉様2人や館の皆のために動いてしまう領域にまで達してしまっている。そんな状態で一体、どうやったら無理しない程度に皆を守ったり、負担がかかりすぎない思考回路になれるのだろうか。大変そうだけれど、姉様たちをこれ以上悲しませないためにも、頑張らなければいけない。

 

「ごめん。リーシェが悲しんだり傷ついたりするのを見るだけで私、何だか胸が痛くなるの。私やお姉様の事を考えてくれるのも嬉しいけど、少しは自分の気持ちとか身の安全を優先して欲しいって思ったから……」

 

 どうにかして、時には姉様たちを悲しませてしまう、自分の身を削りすぎてレベルで無理をする癖を直そうと決意を固めていると、垂らした涙を拭い、一転して笑顔となったフラン姉様に抱きつかれながら、大声を出したり涙を流してまで怒った訳を聞かされた。

 それを聞き、私は今まで自己満足で姉様2人のために動いたつもりでいた()()に過ぎなかった事を理解し、同時に深く反省する。

 

「大丈夫。心配しなくてもたかがお願いを断ったり、危ない時に自分の身を守った結果、私やお姉様を見捨てる形になった程度じゃ……リーシェを嫌いになるとか邪険に扱うとか()()()ないし、お姉様も館の皆もきっと同じだから……ね? だから、今度こそ約束だよ。無理をせず、自分自身を優先するって」

「うん。今度こそは、頑張ってみるよ。フラン姉様」

 

 ただ、そうは言っても仮にそんな事態に陥った時、本当に姉様たちを見捨てる結果となっても良いのかと言う不安が拭えない。しかし、私がそれを聞く前に想定していたのかは分からないけれど、フラン姉様が先にその不安を解消してくれるような言葉をかけてくれたから、完全とは言い難いものの不安を拭う事が出来た。

 同時に、危機に陥った時やお願いされた時にある程度以上に嫌だと感じた場合、今度こそは無理をしないで自分自身を優先してとの約束をフラン姉様から固く交わしてと言われたため、これを了承するやり取りを行っていると……

 

「あれ? 何か良い感じで抱き合ってて羨まし……ってそれはひとまず良いとして、大丈夫だったの!? メイドが血相変えて、リーシェとフランが大喧嘩してるって聞いたわよ!」

「「えっ……」」

 

 部屋の中まで聞こえてくる程の大きな足音を立てながら、レミリア姉様がグングニルを持ち、魔力を高めた状態を維持する臨戦態勢を取りつつ、部屋へと入ってきた。曰く、この部屋付近を通りかかったメイドさんがあのやり取りを聞いて大喧嘩をしていると伝えてきて、更にそれを聞いて焦ったレミリア姉様がそれを止めるために戦闘も辞さない構えで来たとの事らしい。

 どうやら、フラン姉様のお説教は部屋の外にまで余裕で聞こえる位であったようだ。

 

「そう言う訳だったのね……うん。確かに、リーシェは私たちの頼み事は本当に断らないし、自身の命を顧みずに助けてくれた事だってある訳だから、フランがそう言うのも頷けるわ」

「ごめんね、レミリア姉様。私今まで……」

「謝らなくても良いわ。フランの話を聞く限りだと、良く分かってくれたみたいだから」

 

 あまりにも焦って誤解しているレミリア姉様に少し面食らうも、すぐに立ち直った私とフラン姉様は、これが大喧嘩ではなく単なるお説教であると言うのを、経緯も含めて懇切丁寧に説明を行った事で、何とか理解してもらう事に成功した。

 それからすぐ、今まで何度も無理を繰り返して心配させてしまい、申し訳ない気持ちだと謝罪したところ、分かってくれてなおかつ約束してくれたから良いと言われた事で、この話は終わりにする方向へと舵が切られる。

 

「さてと……2人の大喧嘩じゃないって事も分かったし、私は行くわね」

「うん! お姉様、騒がせてごめんね!」

「同じく、ごめんね」

 

 そうして、レミリア姉様がホッとした表情を見せつつ部屋を後にしてからはフラン姉様のお願いを聞き入れ、部屋でのんびり明日の夜まで本を読んだり、お菓子を食べつつワイングラスに血を注いで飲んだりしながら、会話を楽しんだ。勿論、フラン姉様のお願いを聞き入れたのは、私の不安を解消するために話をしておきたいと言う意思の方が強いからであり、決してしたばかりの約束を破った訳ではない。断じて。

 

 途中、明日は私の部屋で遊びたいなと言ってきたフラン姉様であったけど、今はちょうど魔法の研究・改良中であり、部屋の中は資料やら魔導書などのもので散らかっている。なので申し訳ないけど、今やってる研究と改良が終わって部屋を綺麗に片付けるまで待ってて欲しいと断りを入れたら、逆に笑顔で喜んでてビックリした。約束を守ったのがそんなに嬉しかったと言うのだろうか。

 

「えへへ……今日は1日付き合ってくれてありがとね、リーシェ。お休み」

「うん、お休み。フラン姉様」

 

 そんなこんなで朝方まで過ごした後、眠くなってきた私とフラン姉様はパジャマに着替えた後、一緒にベッドへと入って手を繋ぎ、お互いに向き合って寝る事にした。根拠は全くないけれど、こんな幸せな寝方をすれば、悪夢を見なくて済むような気がした。

 

 で、そんな事を考えながら、レミリア姉様とも話が出来て不安が解消された私は、とても幸せな気分のまま眠りについた。




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