目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はフラン視点です。


来るべき日への備え

「お姉様、聞いてよ! さっきね、また……」

「あぁ……うん。フランの言いたい事は分かるわ。リーシェにお願い事したら、断られたんでしょ?」

「そう! しかも、断る時に全く苦しそうで辛そうな表情を浮かべないで、()()()()()で断られたんだよ! えへへ、嬉しいなぁ……」

 

 リーシェに対して、もう絶対に自分が辛い時まで無理をするなと約束させてから2年が経ったある日、私の身に起こった出来事の嬉しさのあまりお姉様の部屋へと突撃し、報告をしに来ていた。それは、リーシェが自分の気持ちを優先して、私のお願い事を断ってきたと言うものである。

 

 ただ、それのみであればもっと前から経験していた事であるため、嬉しいけど特にお姉様たちに嬉々として報告はしたりしない。しかし、今回は一切合切苦しそうだったり辛そうな様子を見せる事なく、普通に『今は少し魔法の研究をしてたいから、ごめんね。フラン姉様』と言って断られたものだから、思わず言わずにはいられなかった訳だ。

 

 約束した当初なんかもう、破邪の聖水をまともに浴びてしまい、それによる辛い痛みと浄化作用で苦しむ吸血鬼のようなと言う、使いどころの殆どないこの例えがそのまま使えてしまう程、断る時に辛くて苦しそうだったから、その時と比べるとなおさら嬉しさが増してくる。頼みを断られて嬉しがると言うのも、変な話であるけど。

 

「へぇ……少しずつではあるけれど、自分の気持ちを優先する事に慣れてくれてるみたいで、本当に良かったわ。これが続けば、悪夢の原因の1つは潰せそうね」

 

 お姉様も私の話を聞いて同じような事を思ったのか、笑みをこぼしながら本当に良かったと、そう言っていた。

 そして、これが続いて私やお姉様のお願いを断り、自分の気持ちを優先したとしても、決して嫌ったり邪険に扱ったりなどしないと心の底から理解出来るようになれば、リーシェの悪夢の原因の1つが潰せそうだとも言ったのも聞いて、ようやく光明が見えてきたかと期待を持つ。

 

「そうだね、お姉様。でも、補償とかもしてパチュリーの回復魔法で重傷者の治癒も早めて、後遺症もないくらいにしたのに酷すぎる文句や宣戦布告レベルの脅しをしてくる吸血鬼をどうにかしないといけなくない? まかり間違って、精神が不安定なリーシェとうっかり鉢合わせでもさせたら……」

「ええ。2年前と同等か、それ以上の悪い精神状態となるでしょうね。本人からの謝罪が欲しいと言うの()()は分かるけれど……」

 

 しかし、完璧に精神をあの時以前に戻すには、リーシェの攻撃の巻き添えを食らって重傷を負った吸血鬼の一部の存在が、言い方は悪いけど……その辺に散らばってるゴミ屑と同等かそれ以上に、邪魔な事この上なかった。

 

 その理由と言うのが、後始末をしっかりと終えて怪我に対する補償も相応に行い、精神が落ち着いたら謝りに行かせるとレイブン家の面々の立ち会いのもと約束しても納得せず、被害者だと言うのを盾にしてリーシェや私やお姉様を散々罵るわ、頭が狂ったのかは不明だけど、美鈴やパチュリーやエルたちに鉄拳制裁を加えるぞと脅してきたりしたためである。

 お姉様も言ってたけど、謝罪が欲しいと言う文句を言いに来るだけならまだ分かる。ただ、美鈴たち館の住人に鉄拳制裁を加えてやると言うのは全くもって訳が分からないし、考えてたら殺意が溢れ出てきた。いっその事、まともな対応をしてくれた吸血鬼以外は皆壊し尽くしてやろうか。

 

「いっその事、まともな対応をした奴ら以外は本気で滅ぼしてやるわ。大義名分なら、私たち姉妹と館の住人に対する殺害予告とも取れる発言をしてきた事で十分よ。実際におととい、本来なら無関係のはずである美鈴が襲撃され、怪我を負う事件があったばかりだし……」

 

 なんて物騒な事を考えていると、お姉様も完全に同じ考えでいたらしい。至って普通の対応をしてきた吸血鬼以外の、明らかに狂っているとしか言えない吸血鬼は皆等しく滅ぼしてしまおうと、その瞳に静かに怒りを燃やしながら言っているのを見た。まあ、あの発言や行動を見れば、お姉様のあの態度も仕方ないだろう。

 

「じゃあ、決まりだね!」

「ええ、そうね。でも、彼らの館に居る無関係な他の住人たちを殺すのは例外を除いて、絶対に駄目よ。今回の目的はあくまでも、狂った奴だけなのだから」

「うん、分かった!」

 

 そうして、お姉様の鶴の一声で狂った奴らだけを滅ぼしてやる事に決まった訳だけれど、その際は館の他の住人たちを殺してしまう行為は例外を除いて一切合切禁じると言う事が決まった。私とお姉様は虐殺をしに行くのではなく、館の皆に危機を及ぼす存在を排除しに行くのだから、当然だろう。もし恨み辛みに任せて虐殺をしようものなら、私とお姉様はソイツら以下の何かに成り下がるだろうし。

 

「さてと、そうと決まれば色々と計画を立てるわよ。いくらなんでも、今すぐに攻め込むなんて無茶な真似は出来ないから」

「うん! それに、関係ない相手の館の住人を殺さないためにも、拘束魔法とか、防御系統の魔法の練習とかもしないとね!」

 

 こうして、私とお姉様は来るべき日のために計画を立て始める事となった。




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