「ふぅ……お風呂に入ってさっぱりした! リーシェ、体調はどう? 大丈夫? 今更だけど、今日はちょっとやり過ぎちゃったから……」
「うん、少し眠気があるかなって程度だから大丈夫。それよりも、フラン姉様の方こそ凄く眠そうだけど……」
「アハハ!! 確かに眠いし身体が重たいけど、私ならまだ平気だよ!」
生まれて初めて吸血されると言う経験をしてから3年経ったある日の夜中、私はフラン姉様と一緒に長めのお風呂に入った後に、フラン姉様の部屋で楽しく会話を交わしながら過ごしていた。
あの日以来、歯を食い縛らなければ色々と不味い事になりそうな程の吸血の快楽が癖になってしまった私は、同じく私の血の味とそれにより感じた快楽が癖になったフラン姉様と、毎日だと流石にあれなので2~3日に1度、私の部屋で吸血行為込みのスキンシップを取ろうと話をつけた。
ちなみに、今日は魔法の研究などで1週間以上断り続けてやらなかったせいでいつも以上に激しく、色々部屋が凄い事になってしまった。本当、メイドさんたちには申し訳ない。
こんな感じで続いているフラン姉様との触れ合い、果たして良いものなのかと言う思いがありながらも、悪夢を見る事が殆んどなくなったり、大抵の悩みが消し飛ぶなどして精神が安定してくると言う予想外の効果を発揮したのと、1週間以上もしなかったとしても身体や精神に特段問題は発生しなかった。故に、このまま続ける事を私は選択している。
ただ、フラン姉様との吸血行為込みの触れ合いを続けるならば、そのせいで大好きなもう1人の姉であるレミリア姉様との一時が減っているこの状況は非常に良くないから、打破すべきだろう。
「フラン様、リーシェ様。レミリア様から2人を呼ぶように言われましたが、大丈夫ですかー?」
「お姉様が? うん! 今なら大丈夫だよ!」
「私も同じく、大丈夫」
そんな事を考えていると、数回扉がリズム良くノックされたのが聞こえた後に数秒の間が空き、エルがレミリア姉様から私とフラン姉様を呼ぶように言われたが、大丈夫かと言う感じで声をかけてきたのが耳に聞こえた。
わざわざエルにそう呼ばせに行かせると言う事は、かなり込み入った用事があるに違いない。そう思った私とフラン姉様は、特に何かやりたい事がないのもあって即座にこれを了承すると伝え、少し急いで支度を終わらせた後に、レミリア姉様のところへと2人で向かった。
「お姉様、来たよ! わざわざ私とリーシェを呼びつけるなんて、何かあったの?」
「まあね。実は、こんな依頼の手紙がうちに来たのよ」
「「手紙?」」
そうして部屋へと2人で向かい、フラン姉様が何かあったのかと問いかけたところ、レミリア姉様が1通の手紙を差し出してきた。
開いて読んでみると、そこに書かれていたのはとある弱小吸血鬼一家の主からの私たちスカーレット家への、息子と妻の捜索を依頼する旨の言葉であった。何でも、正体の分からない謎の存在によって妻と息子が拐われてしまい、行き先が分からないため探し出して欲しいらしい。
自分の大切な家族が謎の存在に拐われた上に行き先すら分からないとあっては慌てふためくのも分かるけれど、何故他の同格レベルの一家にではなく、私たちにこの手紙を送ってきたのか謎である。予想するならば……自分で言うのもあれだけど、スカーレット家が名家の中でもかなり強大な勢力を誇っているからだと言ったところか。
まあ、レミリア姉様とフラン姉様は大抵の吸血鬼を小細工なしの近接戦闘技術と怪力を使って薙ぎ倒せるから、そう思う人が居ても不思議ではない。一応、私の噂も2人の姉様には劣るけど耳に挟んでいるから、それなりに印象付けられてはいるけれども。
「なるほどね。それで、この依頼は受けるの? レミリア姉様」
「ええ、受けようと思ってるわ。何せ、私の勘がそうした方が良いと言っているからね。後、依頼の内容からして今回一緒に行くのはリーシェで、お留守番はフランよ。館の守りは任せるわ」
「そっか。まあ、しょうがないよね! お姉様とリーシェが居ない間は、頑張って美鈴とパチュリーたちを守り抜いて見せるから、私に任せといてよ!」
「レミリア姉様がそう言うなら、頑張るよ」
で、そんな事を考えながら渡された手紙に一通り目を通した後に、この依頼を受けるのかとレミリア姉様に聞くと、自身の勘がそう告げて来ていると言って、即座に迷いなく依頼を受ける事を決めていた。そして、依頼内容が人探しと救出と言うだけあって今回はレミリア姉様と一緒に行くのは私で、留守の間に館を守るのはフラン姉様と決めたらしい。
こんなにもレミリア姉様に期待されているとだけあって、私のやる気はうなぎ登りに膨れ上がっていく。何としてでも目的の人物を能力で見つけ出し、無事な内に救い出して依頼者の下へと連れていかなければならない。その後の事は……まあ、どうにかなるだろう。
「じゃあ、行ってくるね。フラン姉様」
「うん、頑張ってね! 後、危なくなったら逃げてきても良いんだよ?」
「……勿論だよ」
と言う訳で今すぐ向かう事になったため、万が一に備えて魔導書を一冊私の部屋に急いで取りに行った後、先に部屋を出て正面玄関で待っていたレミリア姉様と共に、美鈴の見送りを受けながら目的の場所へと向かっていった。
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