目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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誘拐犯の潜む森

「むぅ……想像以上に面倒くさい監視の量で驚いたわ。ただ単に攻め込んで滅ぼすとかだけなら今回の相手程度の強さならどうにかなるのだけど、助けるべき存在が居る以上は下手に派手な行動は取れないのよね」

 

 自身の能力で目的の人物2人の内1人を見つけ、レミリア姉様と共にその場所へと向かっていた私はある程度の距離まで近づいた際、とある理由から直接空から向かわずに下の森へと降り立ち、歩きや走りでゆっくり隠れながら向かう方針に変更する羽目になっていた。その理由は、空からの接近者に対する警戒が過剰なまでなものだったからだ。

 

 私の能力の副次的効果と似ている比較的強力な探知魔法による魔導波を照射されてから、それなりの時間が経った後に偵察部隊らしき吸血鬼の接近に感づく。

 同時に、能力の根幹に致命的な影響はなかったと言えど、探知が急にし辛くなると言った、並の技術では到底出来ない妨害を受けたりもしていた。この2つの大きな要因以外にも色々とあったから、今回の目的が目的なだけに空中からの接近を諦めるのは、自明の理である。

 

 で、そう言った理由からレミリア姉様と一緒に地上に降りた訳だけど、今度は地上を巡回している何者かが探知魔導波を放ちながら近づいているのを察知したりと、面倒な事が立て続けに起こったりしていた。空中で私やレミリア姉様に浴びせられた探知魔導波よりは精度も出力も弱いものの、無策では大まかな位置は割り出せる程度にはあったから、空の目を誤魔化せたとしても油断は出来なかった。

 

「うん。それにしても、レミリア姉様はやっぱり凄いよ。あんなにも軽く、上級隠蔽魔法を使えるんだもん」

「ふふっ……ありがとう。リーシェに褒めてもらえて、とっても嬉しいわ。

 

 しかし、それをレミリア姉様に小声で話したところ、そんなの楽勝じゃないかと言わんばかりに何らかの隠蔽魔法を静かに発動させ、あっさりと解決させてしまった。聞いてみたら、万が一の時のために頑張って会得したは良いものの、効果が限定的過ぎて使いどころに困った上級隠蔽魔法を今使ったらしい。

 

 まあ、隠蔽魔法と言う名称なだけに、普段はそうそう使う場面はないだろう。私が普段の生活の中で使うとしたら精々、かくれんぼを姉様2人や美鈴やパチュリー、エルたち館のメイドさんとやる時位しか思いつかないけど……いや、かくれんぼに魔法を使う事自体ズルいから駄目かな。

 

「さて、2人の捜索と救出を手早く済ませちゃいましょ。この魔法、効果はかなり強いけど、あまり長く維持してると疲れるから不味いのよね」

「うん、分かった」

 

 なんて事を考えていると、レミリア姉様から手早く2人の捜索と救出を済ませてしまおうと言われた。曰く、効果が強い代わりに消費する魔力が多いため、戦闘もあり得るこの状況下での長時間の使用は不味いかららしい。

 

 確かにその通りだし、あまりもたつき過ぎて誘拐された2人が死んでしまえば、この場に居る私とレミリア姉様は勿論の事、館に居るフラン姉様や美鈴、パチュリーやエルたちをも巻き込んだ大問題に発展する事は間違いない。そう理解した私は、レミリア姉様の言葉に全面的に同意して、能力でサポートしながら目的の場所へと静かに進んでいった。

 

「レミリア姉様、止まって」

「リーシェ、どうしたの? もしかして、敵?」

「違うよ。100m位かな? ここから北東方面に凄く弱いんだけど、空を飛んでる時に感知した奥さんと似てるような魔力の反応があったの。後、側に明らかに大人の吸血鬼の反応が6つ……」

 

 そうして、残り1㎞位で奥さんの下へと到着するかと言う距離まで近づいてきた時、私から見て北東方面に100m程向かった場所に微かではあるものの、奥さんと似たような魔力の反応を捉えたため、一旦どうするかを考える時間を得ようと考え、茂みに隠れて止まる。

 

 当然、何も言わずにこんな行動を取れば、レミリア姉様から敵なのかと疑問を投げかけられる。勿論、しっかりとそれは違うと否定した上で私が能力で反応を探知した事を伝え、これが子供と誘拐犯の一味だと言う推測を立てた事を説明しようとした。

 

「それ、()()()子供の方の反応と誘拐犯一味の反応よ。罠の可能性もあるけれど、見に行った方が良いわね」

「確かに、その通りだね」

 

 すると、レミリア姉様は私が立てた推測を言う前に、その反応は絶対に子供と誘拐犯のものだと断定し、罠の可能性も否定は出来ないけど見に行った方が良いと言ってきた。

 運命を操り、少し先のあり得る未来であれば見る事が出来る力を持つレミリア姉様がここまで強く言うのなら、きっとそうなのだろう。そう思った私は深く考えずに肯定し、不意打ちや待ち伏せなどを警戒しながら非常に弱々しい反応と強い反応が混在した場所へと向かっていく。

 

「「……」」

 

 そして、能力ではなく視界に捉える事が出来る距離まで近づいてきた時、私とレミリア姉様は気づかれずに子供を助け出す事は出来ない事を悟り、思わずため息をついてしまった。何故なら、その子供がまだ()()()()()()()()()()()()()()()()であったからだ。

 当然、赤ちゃんであるのだから、むやみに抱き抱えたり大きな音や膨大な魔力を発そうものなら泣かれ、そこから私たちの存在がバレてしまう。そうなれば最悪、逃げたり戦うなどして子供は助けられても、これが他の誘拐犯たちに伝わって奥さんの方が死んでしまうなどと言う流れになりかねない。

 

 しかし、それを恐れすぎるがあまり行動を起こさなければ、どちらの命も失う事になる可能性が少しずつ高くなってしまう。かと言って、私とレミリア姉様が二手に別れれば何かが起こったりした時に、対処が出来なくなって子供と奥さん共々全員死ぬ可能性も出てくる。勿論、それではまるで意味がない。

 

「はぁ……仕方ないわね。リーシェ、目の前の命を優先するわよ!」

「分かった! 行くよ、レミリア姉様!」

 

 

 さて、どうしたら良いかと考えに考えた結果、レミリア姉様が先に目の前のあの赤ちゃんの命を優先し、私たちの存在がバレても厭わないと言う結論を出した。なので、能力で誘拐犯と赤ちゃんの位置関係を確認した上でレミリア姉様に伝え、素早く森を駆けて目的の場所へと一緒に向かっていった。

 




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