目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話後半の文章の一部を、改稿しました。


嘘か真か

「くっ……なんて馬鹿げた物量なの!? リーシェ、大丈夫!?」

「私はまだ何とか大丈夫だけど、この子を守りながらの戦闘はやっぱり大変! 弓は危なっかしくて構えられないし、魔法も防御が疎かになりそうで怖いから!」

「っ! 確かにね!」

 

 救出対象の1人である吸血鬼の赤ちゃんを抱えた6人の誘拐犯集団を視界に捉え、相談の結果作戦開始の指示を受けた私は、レミリア姉様と共に誘拐犯集団をあらゆる手段を使って素早く撹乱させ、吸血鬼の赤ちゃんを奪い返す事に成功する。

 

 しかし、何処からか沸いて出てきた吸血鬼軍団に空中と地上から襲撃を仕掛けられたが故に、それ以降事態は悪化の一途を辿っていた。奪い返すのに集中するため、一時的に能力を使ってなかったのが悔やまれる。

 

 今のところは攻撃を避けるか、中級防御魔法『プロテクトサークル』や自動反撃魔法『神々の目』で対処しきれない攻撃を防ぎつつ、反撃を仕掛けてはいるけど……これでは母親を救い出す事はおろか、この子自身の安全が怪しくなってきてしまう。まあ、誘拐犯たちはこの子に危害を故意に加える事はないみたいだし、私やレミリア姉様が気をつけていれば大丈夫なはず。

 

「何故なんだ!? 何故、スカーレット嬢がこの子を欲しがる? 一体、この子を拐って何をするつもりだ!」

 

 なんて事を考えながらあらゆる攻撃を往なしていると、突如として1人の吸血鬼が大声を上げ、私とレミリア姉様に向かってこの子を拐って何をする気なんだと激怒しながら問いかけてきた。

 

 確かに、この光景だけを他人が見れば、そう思うのも無理はないだろう。だけど、まさか誘拐犯がそんな風に怒鳴ってくるなんて思わなかったから、私は唖然とした。レミリア姉様も同じらしく、驚愕しているみたいだ。

 

「何をするつもりかって? その子を貴方たち誘拐犯から助け出して、親元へ返すのよ。誘拐された()()()()を助けてくれって依頼を受けたからね」

「そう。レミリア姉様の言う通り、ただの依頼。だから、誰かが欲しいとか言う欲が理由で貴方たちのように他吸血鬼を拐ったりなんて、私たちはしない」

 

 少し経って気を取り直した後、未だに呆れの表情を誘拐犯たちに見せつつも、レミリア姉様は懇切丁寧な対応でどう言う訳かを説明してあげていた。私もそれに続いて、下らない理由で他の吸血鬼を拐うなどと言う、彼らと同様の愚かな行為はしない事を伝える。

 

「ちっ、そう言う事か……あの詐欺師野郎! 何も知らねえスカーレット嬢を言葉巧みに()()()使()()とは、汚い手を使いやがって……お前ら、一旦攻撃を中止しろ!」

「「了解!!」」

 

 そんな時、私とレミリア姉様の説明を聞いた吸血鬼の1人が、恐らく依頼をしてきた吸血鬼に対して、詐欺師野郎と悪態をつきながら側にあった木を力任せに殴ってへし折ると言う行動を起こす。

 そして、私たちがその吸血鬼に騙された挙げ句、良いように使われていたと言う旨の発言をした後、襲いかかってきた吸血鬼軍団に攻撃を中止するように命令を下したのを聞く。

 

 全くもって、私はこの状況が理解出来なかった。彼らの話を全て信じるならば、私とレミリア姉様は信用したあの吸血鬼にまんまと騙された挙げ句、良いように使われてしまったと言う事になるのだけど……本当なのだろうか。もしかしたら、今まさに彼らに騙されかけている可能性もなくはないだけに、どうしたものかと悩みに悩む。

 

「どう言う事か、私とリーシェに分かるように説明してもらえるかしら?」

「当然だ。実はな……」

 

 すると、レミリア姉様が木をへし折った吸血鬼に対して、この状況を上手く理解出来るように説明を求め始めた。まあ、いきなりそんな事を言い始めたのなら、どう言う事なのかと説明を求めるのも当然の流れと言えるだろう。

 

 そうして、レミリア姉様にそう求められた吸血鬼が説明し始めた内容を聞いた時に、なる程なと私はそう思った。何故なら、この子の母親は私たちに依頼をしてきた吸血鬼の館で何らかの耐え難い出来事があったらしく、極秘に相談を受けていたらしい。で、今回の誘拐じみたこの行動も、母娘を守るためのものであったのと事。

 

 もしこれが事実なのであれば、私が今まで卑劣な誘拐犯だと思っていたこの吸血鬼たちは、もっと卑劣な吸血鬼から2人を守っている『正義の味方』だったと言う事になる。半信半疑ではあるけど……

 

「なるほど……じゃあ、誘拐犯から2人を救い出したは良いものの、うまく逃げられて殲滅し損ねたため、殲滅し終えるまでの安全のためにって体でしばらくうちで()()するから、この子の母親のところへ案内してくれる? もしも、貴方たちの言う事が本当なら、あの吸血鬼はすぐに何らかの行動を起こしてくるはずだから」

 

 私と同じく、吸血鬼からの説明を聞いていたレミリア姉様も同じように納得していた。ただ、これも私と同じで完全に信じていないらしく、この子とこの子の母親を紅魔館で保護を宣言してから、母親の居る場所へと案内してくれとお願いをしていた。

 

「……うむ。安全のためだ、致し方あるまい。女性しか居ないスカーレット家であれば、あの娘と子供も落ち着いて過ごす事が出来るだろうからな」

「決まりね。じゃあ、よろしく頼むわ」

 

 結果、こちら側のお願いを彼らは全面的に了承してくれたため、若干の不安要素はあるものの、早速案内してもらう事が決まった。




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