目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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狼狽する吸血鬼

「説明を聞く限り……凄い警戒網だと思うよね。レミリア姉様」

「ええ、確かにそうね。突破自体もかなり難しそうだし、相当優れている様ね。まあ、後衛に優れたリーシェが居たから、仮にそうなったとしても心配はしてなかったけど」

 

 吸血鬼の子を守るための戦闘中、もしかしたら救出依頼を出してきた吸血鬼の奥さんと赤ちゃんの2人を拐った誘拐犯一味が、その吸血鬼の住む館で受けた耐え難い何かから救った『正義の集団』である可能性が出てくると言う予想外の事態に巻き込まれてしまっていたが故に、私とレミリア姉様は一時的に停戦する事を選択した。

 

 当然、彼ら彼女らが正義の集団ではない可能性もあったため、それを確かめると言う理由から赤ちゃんには触れさせないように防御魔法で守るなどして取り敢えず警戒はしつつも、赤ちゃんの母親の居る場所まで森を案内してもらっている。

 

 それにしても、道中で何らかの能力や高位の探知系技能を使わなければ探知が不可能に近いステルス仕様の罠型魔法陣の詳細、隠蔽魔法に対する強固な妨害術式の作用方式と展開方法、並みの物理や魔法攻撃なら寄せ付けない防御魔法を使う大量の魔導師の巡回などが行われていたとの説明を詳しく受けた時は、色々な意味で本当にビックリした。

 

 もしも、話を聞かずにこのエリアに突入して説明された数々の障害と対峙していたら、きっと私の抱いている赤ちゃんはおろか、私やレミリア姉様すら無事で居れたか分からないと身に染みたからだ。

 後は、この子の母親を守るために私とレミリア姉様が歩いているエリアに施された数々の対策の詳細を、こうもあっさりと話されたと言う理由もあった。

 つまり、彼ら彼女らが正義の集団であると言う可能性が高まってきてはいる訳であった。勿論、そう断定出来る確たる証拠があるわけではないから、断定は出来ないけれども。

 

「着いたぞ、2人共。この小屋だ。ここに、リーシェ嬢(触れざる天使)の抱いてる子の母親が身を潜めてるんだ。探知系魔法や技能の対策さえしてれば、もってこいの場所だろう?」

「ええ……確かに、身を隠すにはもってこいの場所と言えるわね」

「うん。それに、並の侵入者ならここにたどり着く前に捕まるし」

 

 頭の中でそんな事を考えながら暗い森の中を歩いていると、案内役の吸血鬼から声をかけられた。どうやら、この子供の母親が居る『小屋』についたらしい。

 

 見た感じ、その吸血鬼が指差す小屋は、周りの風景に同化しているように見えた。周りには背の高い木々が生い茂っている環境であると言うのも相まって、探知系の魔法や術技、侵入者の対策さえしてあれば身を隠すにはってこいの場所だろう。そう思ったから、案内役の吸血鬼から尋ねられた時に、私は同意を示しておいた。

 

「うぇ!? えっ……どうして()()()()が私の息子を抱いているのですか……?」

 

 そうして、吸血鬼の案内のもと小屋の扉に施された施錠の魔法を解除した上で物理的に鍵を開けて中に入り、椅子に座って比較的リラックスしていた女の人と視線があった瞬間、彼女は狼狽し始めた。

 どうやら、私たちが自分の子供を抱き抱えてこの場に登場すると言う事を、夢にも思っていなかったらしいけど……まあ、当然の反応だろう。

 

「ああ、実はな……お前とお前の息子を、ここに居るレミリア嬢が主をしている紅魔館で保護しようかって話になったんだ。最初は奴の依頼で俺たちからお前たち2人を()()()()()()、レミリア嬢たちは奴の下へと送り返そうとした訳なんだが、そうなる前に何とか漕ぎ着けたって訳さ。勝手に話を進めて悪かったが、俺たちのところに居るよりも、スカーレット家のところに居る方がもっと安全だろう?」

 

 で、どう言う事なのかと言いたげな感じで混乱している彼女に対して、案内役の吸血鬼は懇切丁寧にこれまでの経緯を説明し、私たちの下へ一時的に来た方が何かと安全であると、どうにか分かってもらおうとし始めた。人数的にはやや不安が残るけれど、私たち姉妹以外でそれを埋める位の美鈴やパチュリーと言った凄い住人たちが館には住んでるから、強ち間違いではない。

 

「まあ、そう言う事だから……早速今日からうちにいらっしゃいな。事が落ち着くまで、身の安全は保証するわ。何と言っても私の可愛い妹2人を含め、紅魔館の住人は皆優秀だからね」

「勿論、無理にとは言わない。けど、貴女自身と貴女の子供の安全を考えるなら、うちに来た方が()()()良いと思う」

 

 レミリア姉様もそう思っているらしく、案内役の吸血鬼がこんな話になった事の報告と経緯などを説明し終えると、私が思っていた事と同じような事を彼女に話ながら紅魔館に来るように言っていた。なので、無理する必要はないとは前置きしつつ、取り敢えず私も来た方が良いよと少し強めに勧めておく。

 

「確かにそうかもですね……しばらく、よろしくお願いします」

「承知したわ。じゃあ、早速行きましょうか。リーシェ、警戒の方をよろしくね」

「分かった。任せといて」

 

 結果、何故か冷や汗を垂らしながらもその提案を彼女が受け入れたため、ひとまず彼女の子供も一緒に館へと戻る事に決まった。




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