「うーん……美鈴……? 貴女がわざわざ私を起こしに来るなんて、珍しいじゃない。何かあったのかしら?」
とある大人吸血鬼1人と、その子供吸血鬼1人を保護してからあっという間に3年もの月日が流れたとある日の夜、私は珍しく美鈴に叩き起こされていた。
今までフランやエルに容赦なく揺すり起こされた事はかなりあっても、美鈴からそんな風に起こされた事は皆無だった。そんな彼女がわざわざ私の部屋まで出向き、フランやエルと同じ様に揺すり起こしてきたと言う事は、何かあったのは明白である。そう思った私は、一体何があったのかと少し寝ぼけた状態で聞く。
「実は、レミリアお嬢様とフランお嬢様、リーシェお嬢様に会わせて欲しいと言う来客が20名も来てまして……何でも、3年程前に保護した吸血鬼の件についてだそうです。早急の案件そうだったので勝手に起こさせて頂きましたが、迷惑でしたか?」
「いや、その要件なら全く問題ないわ。大丈夫よ」
どうやら、美鈴がわざわざ強く揺すり起こしたのは、私やフランやリーシェに、3年前に保護した大人と子供吸血鬼それぞれ1人の件について話すため、どうしても会いたいと言う来客が20人も大挙してやって来たからとの事らしい。
確かに、その案件なら美鈴が私を強く揺すり起こすのも当然と言えるだろう。しかし、美鈴が言う案件からして、来客が何故20人も居るのかが分からない。ここまで安全に来るための護衛かとも思ったけど、それでも20人は流石に多い。あの時に居た吸血鬼たちが総出で来たのだろうか。
「じゃあ、今からフランとリーシェを呼んでくるから美鈴はその20人を客間に案内して、そこで待ってもらうように言って。出来る限り早めに行くから」
「分かりました!」
色々と気になる事はあるけど、来客を待たせている以上今はそれを考えている場合ではない。だから、美鈴にその20人の来客を客間に案内してもらうようにお願いし、私は少し急いでフランとリーシェを呼びに、2人の部屋へと向かう事に決めた。
「お姉様? 急いでるみたいだけど、何か用事?」
「ええ。実は、私とフランとリーシェに会いたいってお客さんが来たらしくてね。一緒に来て欲しいのよ」
「ふーん……分かった。けど、リーシェなら真っ昼間まで魔法研究してたらしくて、少し前に寝たばかりみたいだから当分起きないんじゃないかな? エルがそう言ってたし」
「えぇ……」
色々と考えながらフランの部屋へと向かい、のんびりしていたフランに事情を説明した時に、リーシェが魔法研究を真っ昼間までしていて少し前に寝たばかりであると言う事実が判明してしまい、思わずため息をついてしまった。好きな事に熱心なのは素晴らしいけど、睡眠時間を削ってまでしないで欲しかったからだ。
「どうする? 事が事だし、私がリーシェを起こしてくる?」
「いや、起こさなくて良いわ。お客さんには私が詫びるから、リーシェにはゆっくり寝ててもらいましょう」
「分かった! じゃあ、行こう!」
ため息をつく私を見たからか、起こしてこようかとフランに聞かれたけど……魔法研究をしていて寝たばかりなら、きっと相当疲れているはずである。そんなリーシェを叩き起こすのは忍びないから、来客たちには私が詫びようと決め、そのまま寝ててもらう事にして私とフランだけで客間へと向かった。
「待たせたわね。そして早速なのだけど、リーシェは今諸事情で寝たばかりだから、この場には連れて来れなかったのよ。本当、申し訳ないわ」
「アポ無しで来たのは我々ですから、全然構いませんよぉ」
「俺もだ。リーシェ嬢には後々伝えてもらえれば大丈夫だし、むしろ今回詫びなきゃいけないのはレイブン家以外の我々もそうだが、お前もだぞ。なあ、そうだろう?」
「……」
そうして部屋の中へと入ると、私は内心とても驚いた。何故なら、来客の中にレイブン伯爵と夫人、その息子2人が居たからである。どう考えてもあの件には全く関係なさそうなのだけど、実は私たちの知らないところで一枚噛んでいたのだろうか。
で、後の来客たちは冷や汗を垂らしながら俯いている依頼者と、そんな彼に対して怒っている誘拐犯だと思っていた吸血鬼たち、見知らぬ護衛らしき悪魔数人だった。状況が全く掴めないのだけど、私たちに詫びると言っていた事から恐らく、3年前のあの件でレイブン家以外の来客が私たちに対して、何か不利益な事をしていたのだと思われる。まあ、今のところ特に実感はないけど。
「おい、早く自分の口から言え。せっかくお前の頼みを聞いて、レイブン家の方々にまで一緒に来てもらったんだ。このまま何も言わずに帰るなど許さんぞ」
「まあまあ、落ち着いてくださいな。どうせ暇でしたし、私たちに関しては構いませんよ。ただ、スカーレット家の方々には迷惑をかけたのは事実ですから、謝罪の一言位はあった方が良いですよ。
なんて事を考えながら彼らの様子を見る事3分、レイブン伯爵たちから半ば脅される感じで促された依頼者が、ようやく言葉を発し始めたため、考え事を止めて真剣に聞き取る態勢を整えた。
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