「なるほど……それはまあ、フランの怒りも理解出来るわ。私も聞いてて、凄く不快にしか感じないもの」
「私たちに対する行為もそうですが、何より
「……」
フランが発動させていた魔法が消滅した後、私はメイドに連れられて部屋にやって来た美鈴とパチェとリーシェに、こうなるに至った経緯を簡潔に説明していた。何故なら、3人は『私とフランが危ない』と各々伝えられた上で連れて来られたためか、今のこの状況を見て困惑していたからである。
なので、そんな3人の困惑を解くために2分程度話をし、決して私たちの身に危機が及ぼうとしていたのではなく、逆にフランがその依頼者を殺りかねない程激昂しているだけであると説明をした。リーシェが無表情で黙っているのが気になるけど、パチェと美鈴の反応からして困惑は解けている事が分かったから、少し安心した。
ちなみに、焦って3人を連れてきたメイドは、この光景を勝手に見て勘違いした上に間違った伝え方をしてしまって申し訳ないと、私とフランを含めた5人に対して謝っていた。
しかし、勝手に見たと言っても怒鳴り声が聞こえて心配に思ったからと言う理由があるし、焦っていれば伝え間違いもしやすくなるから仕方ない。
むしろ、見分け方と焦った状態でも正しい思考が出来る方法を勉強させれば、本当の危機でも今みたいな対応をしてくれそうで、頼りにすら思う。まあ、本当に勉強させるかどうかは追々考える事にしよう。
「レミィ、報復はするの? フランの側で俯いてる『依頼者』に」
「勿論よ、彼は色々と
そんな事を頭の中で考えていると、パチェから依頼者に対する報復はするのかとの質問をされた。言われるまでもなく、色々とやってくれた事に対する報復自体はするつもりだったからそう答えたものの、内容についてはまだ何も決まってはいない。故に、私はさてどうしようかと悩む。
「リーシェ? 貴女、一体彼をどうする気……!?」
すると、私の説明を聞いてからずっと無表情で沈黙を保っていたリーシェが、突如として依頼者の下へと無表情を保ちながら歩いて近づくと、依頼者の服の襟を掴んで引きずり、部屋の窓際まで連れて行くと言う行動を起こした。
もう、リーシェが何をしようとしているのかは何となく分かったけど、この場に居る私を含めた誰もが止めようとはせず……いや、止める事が出来ずにいたため、固唾を飲んで様子を見守る事に決める。
「さようなら」
「えっ……」
やはり、リーシェは私のほぼ予想通りの行動を取った。部屋の窓を開けると、依頼者に対して『さようなら』と一言だけ言った後にまるでゴミを捨てるかのように放り投げ、雷魔法で追撃を加えると言ったものである。
「「「えぇ……」」」
リーシェの性格を良く理解している私たちはさほど驚きはしなかったものの、かかわり合いのあるレイブン家以外の来客たちの殆んどはドン引きしていた。まあ、知らない他人がそう思うのも無理はない。
「ねえ、貴方。後で『アレ』を回収しておいて。麻痺はしてるだろうけど、死んではいないから」
「お、おう。分かった……」
「それで、私たちが保護してる2人の吸血鬼さんはいつまで保護してれば良い?」
「そうだな……後2~3日位だ。こちらとしても色々都合があってな……」
そうして、
先ほどまでの流れを見ていたからか、話しかけられた吸血鬼は冷や汗を垂らしながら応対している。完全にヤバい奴認定されてる感じではあるようだけど、リーシェは全く気にしていない感じであるようだ。
「レミリア姉様。あの吸血鬼さんはああ言ってるけど、大丈夫?」
「ええ、2~3日位なら全然大丈夫よ。だから、そう伝えておいて」
「うん、分かった」
数分そんな様子を見ながら話を聞いていると、リーシェが私に近寄ってきて、保護した吸血鬼2人は後2~3日ここに居る事になるけど問題ないかと確認を取りにやって来た。私としては、その程度の期間なら全く問題ないと思っていたため、それを了承して伝えてもらうようにお願いする。
結果、リーシェが私の返答をそのまま相手に伝えた事によって、保護した吸血鬼2人との生活は、多くても残り3日と決まる。多少の気になる点はあるものの、もうすぐ元の多少気楽な生活に戻るかと思うと、何だかホッとした。
「では、レミリア嬢。我々はこれにて奴を回収した後、失礼します。後、3年もの間面倒事を押し付けた形となり、申し訳ありません」
「気にしないで良いわ。とにかく、色々とご苦労だったわね」
そして最後に、吸血鬼たちの代表らしき人物が私たちに向けて一礼し、そそくさと逃げ帰るようにして館を去って行き、レイブン家の面々が何故か満足げな表情を浮かべながら去っていった事で、一波乱あったこの『話し合い』は幕を閉じる事となった。
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