目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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苦労の終わり

「えっと……その、ごめんなさい。色々、お世話になりました……」

「謝らなくても良いわよ。分かってたからね」

「うん! 私も別に貴女から謝られるような事はされてないし!」

「そう。むしろ、貴女も私たちと同じ依頼者(アイツ)の被害者なのだから、同情こそすれ怒りはしないから」

 

 色々あって、大人吸血鬼1人とその子供1人を保護してから3年が経った今日、姉様2人や美鈴にパチュリー、エルと数人のメイドさんと一緒にエントランスへと集まり、保護した2人を見送る態勢を整えていた。

 何故なら3日前、レイブン家の面々や依頼者を含めた20人もの吸血鬼が謝罪のために訪れると言う出来事があり、その時に行った代表者との『話し合い』の中で、そう決まったからである。

 

 依頼者のあまりの酷さに思わず、未だに記憶に残っている()()()の二の舞になりそうだったけど、何とか窓から投げ捨ててから低威力の雷魔法で麻痺させる程度まで抑える事が出来たのは良かった。

 

 しかし、ここ最近までロクに私たちとの意思疎通を図らなかった事を気に病んでいる彼女を見ると、もっとキツい魔法をお見舞いしてやれば良かったのではと言う思いが生まれてくる。

 ただ、今更そんな後悔しても仕方ないし、何より彼女には頼もしい味方が沢山ついてるみたいだし、その味方に後は任せるのが最善だろう。これ以上、色々と面倒事が降りかかって来ても困るのだから。

 

「きゅうけつきのおねえちゃんたちも、にんげんのおねえちゃんたちも、ありがとね! ママが元気になってくれてぼく、すごくうれしい!」

「ふふっ……良かったわね」

 

 とは言えこの3年もの間、何も面倒事ばかりがあった訳ではない。この苦労をきっかけとして、私とレミリア姉様やフラン姉様との仲がより深まったり、彼女の子供のお世話を通してメイドさん同士の関係がより良くなったりなどを筆頭に、他にもいくつか良い事もあった。

 

 何より、4歳に成長した男の子との関係は極めて良好のままであり、母親である彼女との関係も、意思疎通の頻度は少なめとは言え比較的良好に保ったまま今日を迎える事が出来たのは大きい。『2人を無傷で守りきる』保護の成果としては、この上ない程のものだろう。

 

「レミリアお嬢様。彼女の迎えの方々がお見えになりましたが……」

「あら、そう? すぐ行くから、待っててもらって」

「分かりました」

 

 そんな感じでやり取りを交わしていると、美鈴が館の中へと入ってきて、2人の迎えの人たちがやって来た事を伝えに来てくれた。もうすぐお別れとだけあって、若干名残惜しそうにしている一部のメイドさんも居たけど、すぐに気を取り直して見送るために私たちと一緒に門の前に向かう。

 

「おお……3年前とは見違える程元気そうじゃないか。子供も健康に育ってきてるようだし……」

「はい。これも、紅魔館に来るまで守ってくれた貴殿方と、来てから守ってくれたスカーレット家の方々のお陰です」

「いや、それに関しては俺たちよりもレミリア嬢たちの功績だろうよ。何せ、こっちのほうが安全だと思ったからとは言え、本来なら俺たちで完結させなきゃいけない事だったしな」

 

 すると、保護した吸血鬼2人を見た迎えの代表者さんは、3年前のあの時と比べて見違える程元気になっている母親と、健康に育ってきた子供を交互に見て、とても嬉しそうな様子を見せ始めた。確かに、あの時は精神的に弱っていて見るからに辛そうにしていたから、知り合いから見たら嬉しく思うのも良く分かる。

 

 で、そんな代表者さんに話しかけらた彼女も、元気の戻った声で少し嬉しそうに話し始め、自分のためにここまでしてくれた事に感謝の意を示していた。

 それに対して彼らは謙遜したのか、私たちの方が功績としては上であると答えていたけど……私は、そう思ってはいない。もしも、彼らが居なければ恐らく、どうとは言わないけどかなり悲惨な運命を辿るだろうと、安易に想像が出来たからだ。

 

「では、お世話になりました。スカーレット家の方々、重ね重ね感謝の意を称します……」

「苦労をかけて済まなかったな。本当、感謝してもしきれんよ」

 

 そして、迎えの代表者さんと彼女がある程度の時間会話を行い、揃って何度も繰り返してお礼を言ってきて、私たちは気にしなくても良いと返すやり取りを交わし、遠くに飛んで見えなくなるまで門の前で見送りをした。

 

 これでようやく、本当に肩の荷が降りた事になる。後1つ、私たちが出来る事と言えば、これから彼らの助けを借りて、普通に生活が出来るように祈るだけだろう。

 

「さてと。大きな仕事も終わって何だか疲れたし、ここ数週間は何かと暇もなかったから……ねえ。今から私の部屋に行って、3人で『ふれあい』しない?」

「3人で? 勿論、私は良いよ! でも、リーシェはどうなの? 2人きりが良かったりする?」

 

 すると、見送りが済んでからすぐにレミリア姉様が突然、私とフラン姉様を合わせた3人でふれあいをしようと持ちかけてきた。どうやら、今さっき帰った2人の吸血鬼の保護と言う大仕事を終え、どっと疲れが押し寄せてきたらしい。で、何気に3人一緒にした経験がなかった事に気付き、そうしようと咄嗟に思い付いたようだ。

 

「ううん、そんな事はないよ。大好きな姉様2人と一緒なら、私も幸せだから」

「決まりね。じゃあ、早速部屋に行きましょうか」

「やったぁ! 3人一緒って何気に初めてだし、楽しみだなぁ……」

 

 レミリア姉様からのそんな問いに対して、フラン姉様は即座に了承すると、私に3人一緒でも構わないかと聞いてきた。無論どのような状況であれ、私は大好きな姉様2人と一緒に居れる事に幸せを感じている。なので、フラン姉様からの問いかけに対して私は、3人一緒でも全く構わないと答える。

 結果、会話を交わしてから1分も経たない内に3人一緒のふれあいをレミリア姉様の部屋でする事が決まった。

 

(3人一緒……私も楽しみだよ。姉様)

 

 頭の中でそう考えながら、私は姉様2人と一緒に部屋へと向かっていった。




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