目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

84 / 251
申し込まれた勝負

「リーシェ! 話したい事があるんだけど、今って大丈夫かな?」

「うん。パチュリーとの話し合いも一段落ついたし別に良いけど、どうしたの? フラン姉様。改まって『話したい事』なんて」

「えっとね、レイブン伯爵の子供……弟の方なんだけど、リーシェと手合わせがしたいってやって来たの。夫人と兄、叔父さんと一緒にね」

 

 とある日、地下の大図書館でパチュリーと一緒に、魔法の研究成果を見せ合うなどして楽しく過ごしていたところ、フラン姉様から改まって話したい事があると声をかけられた私は、面倒な事になったと心の中でため息をついた。

 何故ならレイブン家の息子2人の内、赤髪の弟『ネイビス』の方が私と手合わせで勝負したいと、夫人やその叔父さんと一緒にやって来たからである。

 

 手合わせを私としたい理由を聞いたところ、何でもその叔父さんとか言う吸血鬼とネイビスとの間で、触れざる天使である私に有効打を手合わせで与える事が出来たのならば、()()()()()()()()()()()()との約束を交わしていたかららしい。

 

 で、フラン姉様は最初は門前払いしてやろうと思ったらしいけど、念には念を入れて私に聞いてみてからにしようと思い立ち、今に至ると言う流れであるとの事。勝手に私を約束のネタに使おうとは、全くもって迷惑な話である。

 

(ただ、レイブン家のお願いなんだよなぁ。うーん……)

 

 しかし、何かと交流がある上に面倒だったあの時の後始末をしてもらうなど、少なからず恩があるレイブン家からの頼みであるために、断るか受けるか私の心に迷いが生まれていた。体調も抜群で、新開発の魔法も実用化しようと思えば出来るところまで到達し、パチュリーとの話も一段落して暇になった事も、迷いを後押ししている要因となっていた。

 

「リィ、迷ってるのなら受けたらどう? 魔法の研究成果がレミィやフラン以外の存在にどれだけ通用するか試す良い機会だからね。私なら、きっと受けるわ」

「なるほど……確かに」

 

 なので、さてどうしたものかと考えていた時、 パチュリーから『迷っているなら受けたらどう?』と、そう私に言ってきた。曰く、今まで私が開発してきた魔法がどれだけ通用するか試す良い機会でもあるかららしい。確かに、言われてみればその通りである。

 

「じゃあ、フラン姉様。ネイビスからのお願いを受けるから、待ってる所まで案内をお願いね。それと、行ってくるね。パチュリー」

「うん、分かった!」

「ええ、頑張ってきてね。リィ」

 

 それに、これは何かと恩があるレイブン家に対して、少しでも恩を返す良い機会でもあった。ただ、兄の方の『ミドナ』ならともかく、姉様2人や館の皆でもないくせに馴れ馴れしく接してくる節のあるネイビスの相手は、正直言ってあまり気乗りしない。

 けどまあ、良い事もあるんだからしょうがないと割り切ってお願いを受ける事に決め、雷弓を出した上でフラン姉様の案内の元、伯爵以外のレイブン家の皆が待つ所へと向かった。

 

「おっ! 天使様が雷弓まで持ち出してるって事はもしかして、オレの頼みを聞いてくれるのか?」

「まあ、暇だったし」

「そうか。天使様の強さはお父様やお母様、他の吸血鬼から良く耳にするが、決して負けるつもりはないぜ! 覚悟しといてくれよな!」

「勿論、私もそのつもりだから」

 

 そして、レイブン家の面々が待つ部屋へと入った瞬間、椅子に座って待っていたネイビスが、相変わらずの感じで話しかけてきた。かなり強い妖気を放ち、見た感じ強そうな手甲のような装備を付け、弓を携えている事から、かなり本気である事が伺える。

 

 レミリア姉様やフラン姉様との手合わせのお陰で、ある程度は接近戦にも強くなったとは思うけど、ネイビスは接近戦が非常に得意な吸血鬼で技術もあるから、決して油断する事なく自分の間合いで勝負を挑もう。

 

「張り切ってるね……まあ、頑張って。ネイビス」

 

 話しかけてきたネイビスと会話を交わしながらそんな事を考えていると、今までこの様子を黙って見ていたミドナが口を開き、ネイビスに話しかけ始めた。張り切っている弟を見て、エールを送りたくなったようだ。

 

「そりゃな。見てなよ、ミド兄! この手合わせにオレが勝って、ミド兄と同じ位強い奴だって、お母様と叔父から認めてもらうからな!」

「……うん」

 

 そんな感じでミドナからエールを送られたネイビスは、それに対して非常に喜んだ様子を見せ、勝って母親と叔父さんから認めてもらうから見ててくれよとお願いをしていた。兄弟同士の関係は、私と姉様2人のように良好であるらしい。

 

 ちなみに、その話の中でネイビスよりもミドナの方が強いと言う事実も判明した。更に、彼は私やパチュリーと同じ魔導師タイプである事から、仮にもし今回のような流れで勝負する状況になった場合は、より注意しなければならないだろう。

 

「お話が終わったなら、皆でそろそろ地下室に行こ! 私やお姉様、リーシェが盛大に暴れても平気なように造られてるから、ネイビスも安心して勝負出来るよ!」

「うん、分かったよ。フラン姉様」

「おう! 色々とありがとうな!」

 

 そうして、ネイビスとミドナの兄弟同士の会話が終わった後、フラン姉様に行こうと促された事によって、勝負をしない観戦者も含めた全員で地下室へと向かっていった。




ここまで読んで頂き感謝です。お気に入りや評価をしてくれた方に感謝です。感想を書いて下さった方も、ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。