目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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ネイビスとの勝負

「随分と下るから広いとは思っていましたが、これ程までとは思いませんでしたな」

「僕の館にもあるけど、こんなに広くない……」

「かなり物理・魔法耐性に特化した造りになっていますわね。確かに、これなら大暴れしても問題無さそうです」

 

 パチュリーの後押しもあり、ネイビスからの実戦形式の勝負のお願いを受ける事に決めた私は、皆と一緒に実際に勝負をするための地下室へと訪れていた。

 

 来た時の反応を見るに、ネイビスたちの館にも地下室はあるらしいけど、うちの館の地下室程は広くないと言う事が分かった。ついでに言うと、パチュリーの大図書館の広さにも大層驚いていたから、図書館もここよりは広くないのだろう。

 

 紅魔館を建てた人物は、何を思って他の吸血鬼の館よりも地下スペースを広く造ったのだろうか。まあ大方、亡き母様と父様から依頼されたと言うのが有力な説だろうけど。

 

「なあ。そんな事はどうでも良いから、さっさと勝負させてくれよ。天使様も早くオレと戦いたそうにしてるぜ?」

「ネイビスの言う通り。そんなに見たいなら、レミリア姉様は今日は用事で居ないから、勝負が終わった後にフラン姉様に許可取って、適当に見れば良い。だから、今は観戦態勢を整えて。早く戦いたいし」

 

 なんて事を考えていると、地下室やパチュリーの大図書館の話で盛り上がっている、ネイビス以外のレイブン家関係者に対して『天使様が戦いたそうにしてるぜ?』とネイビスが言い、早く観戦態勢を整えろと促し始める。

 

 確かに、早く事を済ませたいとは思っていたから、ネイビスの言ってる事は正しいと言える。なので私もそれに便乗し、盛り上がるレイブン家の面々に早く戦いたいから、観戦態勢を整えて欲しいとお願いをした。言い方的に戦いが好きそうなイメージを持たれそうな気がしたけど、この際それはどうでも良い。

 

「あら、失礼したわね」

「分かった……フラン。これが終わったら、図書館で本を少し読ませてもらっても良い?」

「見学なら別に良いけど、図書館の管轄はパチュリー……えっと、さっき見た椅子に座って本を読んでた紫髪の魔女さんだから、その人に聞いてね!」

「うん……」

 

 2人で早くしてくれと言ったのが効いたようで、戦わずに観戦するレイブン家の面々は、素早く流れ弾が来ないような場所へと移動し、叔父さんが万が一の時のためにドーム型の光る障壁を張り、万全の観戦態勢を整えてくれた。これで、心置きなく勝負に専念する事が出来るだろう。

 

「よし。ミド兄たちも観戦準備が出来たみたいだし、やろうぜ! 天使様」

「うん、分かった」

 

 そして、こちらの戦闘準備もほぼ同時に整い、既に準備完了していたネイビスが掛け声をかけた事で、姉様2人以外では初めての実戦形式の勝負が始まった。

 

「これでも食らいな!!」

「っ!?」

 

 すると、ネイビスは先制でいきなり、強力な風に氷弾を乗せた魔法攻撃と言う、全く予想していなかった一手を繰り出してきた。

 接近戦か遠距離からの弓を使った攻撃を想定してたため、一瞬たじろいでしまうも、これは難なく避けるか魔法弾で迎撃を試みる事に成功する。

 

 しかし、それに乗じていつの間にか後ろに回り込まれかけていた事に能力で気づく。幸いにも攻撃されるギリギリのタイミングであったために、即座に後ろへと振り向いて攻撃をすんでの所で回避してすぐに雷を降らせて反撃、危なげではあったものの、対処する事は出来た。

 

「ぐっ……流石は天使様だぜ。余裕で対処されちまうとはな。接近戦は今一つか?」

「……」

 

 ただ、私が今反撃で当てた魔法である『降雷(こうらい)』は、彼が咄嗟に防御と回復に妖力を回したのか、それなりのダメージしか与える事が出来なかった。まあ、本人にはそれ相応の衝撃を与える事には成功したから、良しとしよう。

 

 その後は身体強化系の魔法を使い、ただでさえ高かった基本スペックを強化し、彼は私に対して何とか攻撃を当てようと試み始め、更に拳に凍てつく冷気と吹きすさぶ風まで纏わせると言う芸当まで見せた。

 

 この攻撃の強さと言ったら驚異でしかなく、咄嗟に出した防御魔法陣であれば2発程度であっさりと砕かれ、生半可な魔法弾では勢いを止める事は不可能、たまに反射回避が発動する程である。レミリア姉様やフラン姉様と練習で戦っていなければ、対処しきれずに大ダメージを受けていた事が、容易に想像出来た。

 

(当たるスレスレの回避はやっぱり怖い……なら!)

 

 そのため、万が一に備えて新たに開発した防御魔法の1つである戦女神の護衣(アイギスベール)を発動、強度の違う防御魔法術式を特定の順番で組み込み、衣型に成形させた魔力を自分自身に纏わせる。これで回避出来ずに被弾したありとあらゆる攻撃によって受けるダメージを一定程度は遮断出来るようになり、元々の防御力が弱い私でも戦いやすくなるだろう。

 

 勿論、維持には自分の魔力が必要であり、これで完全にダメージを遮断出来る訳でもないから、当たらないに越した事はない。例を挙げると、練習の時にレミリア姉様のグングニルやフラン姉様のレーヴァテインを避けきれずにまともに食らった際、これを使っている状態にも関わらずかなりのダメージを受けたのが記憶に新しい。

 

「光の衣……こいつはまるで――」

「今っ!」

「うぉぉっ!?」

 

 で、ネイビスがこの魔法に何故か一瞬動きを止めると言う行動を見せたため、この隙を逃さずに『神弓(しんきゅう)イチイバル』と『誘導陣術(インディクションサークル)』を発動、20本に増やした誘導雷矢であらゆる方向から攻撃を仕掛けた。

 詠唱なしで発動させたせいで負担がとてつもない事になったけど、何とか持ちこたえる事が出来た。これも、姉様2人との練習や魔法の改良を怠らなかったお陰だから、今後も余程の事がない限りは続けていこうと心の中で誓う。

 

「すぅ……天より降りし雷の雨、かの者に神罰を……『降雷(こうらい)』」

「ちょっ……あぁぁぁ!!」

 

 そして、今の超絶負担のかかる行為により、これ以上の戦闘継続はもしかしたら命に危機を及ぼしかねない領域にまで達してしまう。そのため、詠唱をしっかりと行った降雷(こうらい)を発動、ある程度狙った場所へと降らせる性質を持たせた上で、残っていたイチイバルと同時に最後の攻撃を仕掛ける。これを耐えられた場合、本格的に負ける可能性が出てくるけど……

 

「ふぅ……ふぅ……降参だ。今のオレじゃ、これ以上やったらヤバいからな」

 

 この攻撃を終えた後に、ボロボロになったネイビスが私に対して降参すると申し出た事によって、その心配は杞憂に終わる事となった。

 

 こうして、この勝負は私の勝利で幕を閉じる事に成功した。




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