「フラン。実はね、今凄く悩んでるのよ。聞いてくれるかしら?」
「別に良いけど……お姉様、そんな険しい表情を見せてどうしたの?」
とある日の深夜、部屋で本を読んだりしてのんびりくつろいでいた時に、部屋へとやって来たお姉様から悩みを聞いてくれと言われた私は、別に良いよと答えつつも不安に駆られていた。何故なら、お姉様の表情がかなり険しいものになってたからだ。
こう言う表情をお姉様が見せる時は大抵、私やリーシェを含めた館の皆に関連した
「1ヵ月後のリーシェの70歳の誕生日、何をあげたら良いか悩みすぎて何も決まらないのよ。少し前の私の誕生日に、10年かけて開発したらしいいくつかの魔法について書かれた『私の似顔絵と手紙入りの魔導書』なんて凄い物もらったから尚更ね。フランだって、あの子の誕生日に何をあげるか悩むでしょ?」
なので、一体何故険しい表情をしているのかとお姉様に聞いたところ、私の考えた類いの理由ではなく、とても納得のいく理由だった事が判明した。確かに、リーシェの誕生日にあげるプレゼントを何にするかと言うのは、どう考えても悩まざるを得ないだろう。
「あぁ……確かに、それは悩むよね! 私だって自分の誕生日にお姉様と似たようなプレゼントをリーシェからもらったし、良く分かるよ!」
「ね? だから、何かリーシェに喜んでもらえる良いプレゼントの案があればと思ってフランを呼んだのだけど、どうかしら?」
「なるほどね。うーん……」
そう思ったため、私はお姉様からの言葉に対して強く同意する旨を伝えると、やっぱりと言った感じで頷いた後に、何かリーシェに喜ばれるようなプレゼントの案がないかと尋ねてきた。
ただ、リーシェは私やお姉様が何をあげても笑顔で喜んで受け取り、壊れて使えなくなるまで大切にしてくれる。その上、今まで誕生日の際にあげた手紙とかに至っては、開発した魔法について記すために使うつもりで用意してあった本を『大切な宝物』と名付けた上で、あげた手紙を貼り付けて保管するために転用してくれている程には喜んでもらっていた。
故に、私も逆に良いものを送らなければ失礼極まりないとより一層思ってしまい、お姉様と同じで案など何もなかった。当然、そんな状態なのにお姉様から何か案がないかと聞かれても答えられるはずもなく、唸るだけでただひたすら時間が過ぎていくだけとなってしまう。
「それなら、いつも通りにお手紙を贈った上で、サプライズで
「「手作りの料理?」」
「はい。勿論、レミリア様とフラン様が料理を殆んど経験していない事は承知していますので、リーシェ様の誕生日までの1ヵ月間私たちが手取り足取り教え、最低限美味しく召し上がって頂ける位には仕上げてみせます」
しかし、いつの間にか部屋へと入ってきていたエルが提案してきた
「なるほど……決めたわ! エル、よろしくお願いするわね」
「えへへ……頑張って料理を作れるようになって、リーシェに去年よりも喜んでもらえるように頑張るから、お願いね! エル!」
そして、お姉様も私と同じ事を考えていたらしく、満面の笑みでエルによろしくと言っていたため私も決意を表明して、料理を作れるようになるための練習をする事がこの場で確定した。
(とは言っても大変そうだなぁ……色々な意味で)
ただ、このサプライズを成功させるには、誕生日当日まで対象であるリーシェ本人に察されないようにしなければならないと言う、非常に難易度が高い『仕事』をこなす必要があった。まあ、万が一バレたり察されたとしても喜んではくれると思うけど、やはりサプライズを成功させた方が、喜びは大きいだろう。
「お任せください。しかし、サプライズと銘打つ以上はリーシェ様にこの計画が露呈しては不味いですし、練習する時間なども考えなければいけないですね」
「そうね。まあ、あの子は私やフランが呼ばない限りはあまり部屋の外に出ないし、食事の時間付近とか寝る時間付近じゃなければ多分、問題ないと思うわ」
「うん! でも、全く自発的に出ないって訳じゃないし、たまにパチュリーがリーシェを連れ出したりする事もあるから、気を付けるに越したことはないと思うよ!」
そんな事を頭の片隅で考えながらお姉様やエルと一緒に、リーシェの誕生日にサプライズで手料理をプレゼントするために気を付ける事、当日の誕生日会の大まかな進行計画、練習光景を見られた場合の最もな言い訳の選考などの重要な話し合いを1時間程度行った後、早速今から秘密裏に動き始める事に私たちは決めた。
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