目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


思い出に残る誕生日会

「遂にこの日がやって来たわね……フラン。準備はバッチリかしら?」

「うん! お手紙もちゃんと書いたやつを持ってきたし、作った料理とかお菓子も並べて……横断幕の取り付けと言われた場所の飾り付けも、皆が手伝ってくれたから早く終わったよ! それより、お姉様の方こそバッチリなの?」

「ふふっ、勿論よ」

 

 リーシェの誕生日をより良いものにするため、フランやエルを筆頭に館の皆と協力して動き始めてから1ヵ月、遂にリーシェの誕生日当日となった。

 

 普段の食事には広すぎた食堂をフルに使い、各所からかき集めた装飾品を飾り、フランが『リーシェ、誕生日おめでとう』と書いた横断幕を目立つ場所に付けたりして会場を全力で仕上げる。

 次に、メイドたち総出で全員分の食事を作り、急いで盛り付けと配膳を終わらせた後に私とフランで手作りの料理とお菓子を作ると、リーシェの席に書いた手紙を添えて置いた。今日の準備を含めて完璧に終えるのはとても大変だったけれど、リーシェの喜ぶ顔を想像すれば頑張れた。

 

「ただ、リーシェが果たして起きてくれるのか心配なのよね。あの子、ここ最近は睡眠時間を削って魔法の研究しているみたいだから。まあ、大半は私とフランのせいなのだけど」

「あぁ……うん。今更だけど、あの伝え方は不味かったって思ったよ。凄く、寂しい思いをさせたしさ」

 

 しかし、今までの準備を完璧に終えたとは言っても、全く心配事がないのかと聞かれれば、そうではないと私は答えるだろう。何故なら、リーシェに対して遊んだりふれあったりする時間を減らしたいと伝えた際、その伝え方が良くなかったせいで余計に寂しい思いをさせてしまったからである。

 

 更に、2週間位前から寂しさが限界に達したからかは不明だけど、リーシェが睡眠時間を犠牲にしてまで魔法の研究に没頭し始めてしまった。こっそりその様子を見た事もあるけど、あまりにも鬼気迫る様子だったから、とてもじゃないけど話しかけられなかったのを思い出した。

 なので、来年からは慣れないサプライズは止めて、普通に今まで通りにお祝いに戻す方向で話は進めておこうと、そう決意を固めた。

 

「ふぁぁ……まだ眠いよ……メイドさん、そんなに私を慌てて起こしてどうしたの……?」

「どうしたもこうしたも、今日はリーシェ様のお誕生日ですよ。忘れてしまわれたのですか?」

「あっ……ごめん。すっかり頭から抜けてた」

 

 頭の中で記憶を振り返っていたり決意を固めていた時、見るからにとても眠そうな感じのリーシェが、エルといつも一緒に仕事をしている灰色の髪のメイドに連れられて、食堂に入ってきたのを見た。どうやら、彼女は無事に問題なくリーシェを起こせたらしい。

 

「リーシェ! お誕生日おめでとう。そして、寂しい思いをさせて本当にごめんなさい。実は、貴女にどうしても手作り料理のサプライズがしたくて、美味しく食べてもらえるように練習してたから、遊んだりふれあったりする時間を減らしてたの」

「そう! だからね……お姉様も私も、変わらずリーシェの事は大好きだよ!」

 

 ならば早速、生活サイクルを悪い方向へと変えてしまい、自分の誕生日の事すら指摘されるまで頭から抜けてしまう程、寂しい思いをさせてしまった事に対する謝罪をしなければならない。

 

 そう言う思いを常々持っていた私は、急いでリーシェのところへと向かってお祝いの言葉をかけた後に、フランと一緒に謝罪してからふれあう時間を減らしたいとお願いをした理由の説明を行い、決して嫌いになったのではないとアピールを必死にした。

 

「そっか。レミリア姉様もフラン姉様、私のためにそこまでしてくれたんだね……ありがとう。私も大好きだよ。だから、これからしばらくは沢山一緒に居て欲しいな」

「ええ、当然よ! リーシェ」

「勿論だよ!」

 

 結果、私とフランの伝えたい事はすぐに理解してもらう事が出来た。その時、誕生日会が始まる1ヵ月前から遊んだりふれあったりする頻度が激減した影響で、これからしばらくは沢山一緒に居て欲しいとのお願いをされたけど……言われるまでもなく、最初からそのつもりである。

 

「さてと……皆、準備は良いかしら?」

「良いよー!」

「良いですよ」

「良いわよ」

「はい、勿論です」

 

 そして、リーシェやメイドたちを含めた全員が席についた事を確認した私は、一斉に『誕生日おめでとう』の掛け声をかける計画を実行に移すために、準備は良いかと聞いたところ、全員が準備万端であると答えてくれたため、早速掛け声をかける事を決意した。

 

「じゃあ、行くわよ。せーの……誕生日、おめでとう!」

「リーシェ、誕生日おめでとう!」

「「「お誕生日、おめでとう!!」」」

 

 で、私が誕生日おめでとうと言った後にフランが全力で笑顔を見せながら言い、最後に全員がタイミング良く一斉に言う事が出来たため、計画は理想通りに成就したと言えた。いや、この時点で既にリーシェが嬉しそうにしつつも涙を拭う仕草を見せてくれたから、理想以上と言った方が正しいだろう。

 

「ねえ、リーシェ! 私とお姉様が作った料理とお菓子、どうかな? 美味しい?」

「うん、美味しいよ……とっても美味しい……! 私、今とっても幸せだよ! フラン姉様、レミリア姉様!」

「まさか、大泣きしてくれる程喜んでくれるなんて正直驚いたけど、頑張った甲斐があったわね」

「えへへ……うん!」

 

 この時点で何となく予想はしていたけれど案の定、リーシェは私とフランが作った料理とお菓子を食べ始めた瞬間、嬉し泣きをし始めた。

 

 その際、フランが料理とお菓子の感想を聞いたのを皮切りにリーシェの感情が爆発したらしく、頬を伝う涙の量がかなり増えてきたのが確認出来た。まさか、声を押し殺して泣いてくれる程喜んでくれるとは思わず、少しだけ驚いたけど……1ヵ月もの間苦労して練習した成果を発揮し、リーシェに泣く程喜んでもらえたのだから、この誕生日会は始まった今の時点で最高のものになる事が確定したと言って良いはず。

 

「レミリア様、フラン様。サプライズの手作り料理作戦、大成功ですね」

「そうね。誕生日会前までは正直不安もあったけど、リーシェの様子を見て、不安とか悩みとかが全部吹き飛んだわ」

「うん! 本当、私もあんなに泣いて喜んでくれるだなんてビックリしたなぁ……」

 

 そうして、リーシェが泣きながらもパチェや美鈴たちと楽しそうに会話を交わし、私もフランやメイドたちと手作り料理のサプライズが大成功で終わった事について喜び合っていた時、エルがとても嬉しそうにしながら話しかけてきた。今回の計画の柱の1人であるが故に、リーシェが泣く程喜んでくれている事に対して、嬉しさを感じているみたいだ。

 

 当然、私とフランもこの上ない程の幸せを噛み締めていたため、話しかけてきたエルに対しても、さっきまでしていた同じ様な話を繰り返し、盛り上がった。

 周りも相当の熱気に包まれているこの様子だと、リーシェだけでなく私やフラン、パチェや美鈴、エルやメイドたちにとっても最高の思い出となった1日である事だろう。

 

「皆、私のためにありがとう。お陰で今日、最高の誕生日を過ごせたと思ってる!」

「ふふっ、こちらこそありがとうね。こんなに喜んでもらえたから、私にとっても最高の日よ」

「私もだよ! ありがとね!」

「同じくよ、リィ」

「そうですね! 私も、リーシェお嬢様のお陰で今日は最高に楽しめたと思ってます! まあ、何より貴女が幸せだと思えた事が重要なんですけどね」

 

 私のこの予想は案の定当たっていたようで、3時間程の誕生日会の終わりにリーシェが皆に満面の笑みを見せながらお礼を言った時に、各々それに対して反応していた事から理解出来た。滅多に騒いだりしない、どちらかと言えば暗い方のリーシェが、まるでフランのように明るく元気に振る舞うのを見れば、そうなるのは必然と言えただろう。

 

 こうして、皆のお陰でリーシェにとっての最高の誕生日会とする事が出来、幸せな気分のままこの大イベントを終える事に成功した。




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