目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です。

アンケートについては、12月13日(日)の21時まで行います。


逃れられぬ運命

「うーん……無謀とは分かってはいたけれど、やはり手詰まりね」

「確かに手詰まりね。どうにかしたい気持ちもない訳じゃないけど、諦めるしかないわ……本当、リィには悪いけど」

 

 とある日の深夜、私はパチェと一緒に無謀とも言えるある事を試みていたものの、案の定全く望み通りに行かず、八方塞がりの状態となってしまっていた。それは、日に日に弱っていくエルをどうにか元気にしてあげると言うものである。

 

 ただこれが、何らかの呪いや状態異常であればパチェの魔法で回復させる事が可能になり、病気であればこの間一時期に連れてきた医学に精通した人物による上手い対処は出来たけど、如何せん『寿命』が関わっていると言う訳らしいと判明したため、どうしようもなくなってしまう。

 

 本来ならば可能だった、吸血鬼や種族としての『魔法使い』にしてしまう負担のかかる方法も、同意を得ていない上に歳を取りすぎたお陰で出来なくなった。せめて、20~30年前に思い付いて実行していれば間に合ったのにと、今更思った。

 

 だから、私とパチェは最初こんな試みはせず、最期まで穏やかに過ごしてもらえるように水面下で動いたりするに留めていた。しかし、日に日に弱っていくエルのために趣味の魔法研究に使う時間をほぼそっくりそのまま使っている、憔悴したリーシェを見て居たたまれなくなったから、無謀とも言える試みをやらざるを得なくなった訳である。

 

「大丈夫よ、パチェ。私や貴女が強い悪意を持ってエルを死なせない限りは、リーシェは恨みを持ったりはしないでしょうし」

「まあ、私もそこら辺は心配していないけどね。それよりも、やはり問題はリィ本人よ。あの子の見せてる様子から鑑みると……エルが死ねば、間違いなく不味い事になるわ」

 

 そんな感じで、何故エルの延命方法を探そうなどと試みるに至ったのかについて改めて振り返りつつ、今ここには居ないリーシェに何だか申し訳なさそうにしている、親友のパチェを安心させるための言葉を贈ると、それよりもリーシェの方が遥かに心配であると返してきた。

 

 確かに、その通りである。少しずつ弱っていっているとは言っても、全く動けないとか話せないとかもなく、病気などで苦しんでたりする事もなく元気で会話も可能な状態なのに憔悴しているから、本当に死んでしまえばどうなるかは想像に難くない。

 ただでさえ、2回も親しくしていた者の死を経験し、そう言う事象に対して非常に過敏になっているのだから。

 

「ええ。お母様や幽閉時代に親しかったメイドの死を経て、リーシェは私とフランを含めた館の皆の命がなくなる事象には当然として、あくまでも()()()()()()事象に対しても、凄く過敏になったからね。1回それで吸血鬼の子を消した事もあるし、この間だってリーシェが寸前で理性を働かせて止めたけど、洒落にならない惨事を引き起こしかけてたから」

「あぁ……あれね。後で聞いてみたら、リィ曰く『気づいた時には、相手を射殺すために既に弓に矢をつがえてた』って言ってたわ」

「やっぱり?」

 

 頭の中でそう思いつつ、覚えている限りでは2回あったリーシェのその()()に起因する出来事について、パチェと会話を続ける。

 

 1回目のあの時も結構焦ったけど、2回目のレイブン家とも交流のあるとある吸血鬼一家が訳あってうちに来た際、そこの子の例え方がかなり悪かっただけの、私に対する悪意なき発言を聞いたリーシェが、無表情で容赦なく射殺そうとした時は本当に焦った。

 

 本人が寸前で何とか止めて泣きながら謝り、相手もリーシェの情報をかなりの精度で得ていたからか、その子の例え方の悪さを強めに指摘した後に謝罪を受け入れてくれて、事なきを得たから良かったけど。

 

「はあっ、はあっ……お姉様、パチュリー! エルとリーシェが大変なの! 早く来て!」

「「へっ!?」」

 

 そうして、会話が佳境に達し始めた時、明らかに不味い事が起こったと分かる位に慌てたフランが、私の部屋の扉を吹き飛ばしながら走って入ってきた。

 何となく……いや、完全に何が起きたのかは分かるけど、念には念を入れて聞いてみる事に決め、フランに話しかけた。

 

「えっと……簡単に言うね。エルが死んじゃって、それを見届けたリーシェがおかしくなったの。無表情だと思ったら突然満面の笑みを浮かべて狂った様に喜び始めたり、そうかと思えばエルにすがり付いて叫ぶように泣いたり……」

 

 すると案の定、フランはエルが死んだ事とリーシェがおかしくなったと言う事を、私に伝えてきた。まあ、そこまでであれば何とか想定の範疇に入る感じではあったけども、どう言う訳か妙な予感が付きまとって離れない。

 

「分かったわ。パチェ、行くわよ。一応、()()()()()()()()()()()を整えておいて」

「ええ、レミィ。任せて」

「フランも、いざと言う時は覚悟を決めて。私も、覚悟は決めるから」

「……」

 

 なので、私は万が一の事態を想定してリーシェと本気で戦う覚悟を決め、パチェとフランにも同様に戦う覚悟を決めて欲しいとお願いを持ちかけると、魔法か何かで無理やり押さえつけられているかのように重たい身体を動かし、一緒にメイドたちの部屋へと向かった。




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