目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話もレミリア視点です

それと、アンケートに回答してくれた方々に感謝致します。今後の書き方の参考になりました。


苦渋の決断

「中々厳しいわね……パチェ! 大丈夫かしら!?」

「2人のお陰で何とか大丈夫よ、レミィ! ただ、これをリィに傷を出来る限り負わせず、私たちも出来る限り負わずに無力化するとなると、相当厳しいわ!」

 

 あの後、フランの後を追ってリーシェの暴走を止めるための戦いの援護へと身を投じた私とパチェであったものの、あまり芳しいとは言える状況ではなかった。今回の目標が出来る限り自分たちが傷つかず、その上傷つけずに暴走状態のリーシェを無力化すると言う難易度の高いものだった事が、この状況に拍車をかけている。

 後は、全力で挑みかからなければ意味がないと分かっていながらも、攻撃を当てて傷つける事に対する恐れが極端な、私の心の弱さもあるだろう。

 

(フラン、凄いわね……)

 

 しかし、フランはこんな私とは違い、時折泣き叫びながらも自身の()()()()()リーシェと戦っていた。

 最初の爆発する火球を放つ魔法以外、攻撃の合間を縫ってフランが放った反撃は踊るように避けられるか、当たっても『戦女神の護衣(アイギスベール)』や余剰魔力によって迸る稲妻によって防がれ、有効打を与えられないでいる。ただ、リーシェの攻撃もフランに傷を負わせてはいるものの、あまり堪えてはいないようだ。

 

 まあ、今のリーシェとフランの魔力の総量はほぼ一緒だから、こうなるのは当たり前だと言えるけど、元々の身体の弱さと接近戦の苦手な所を加味すれば、このまま何も起こらなければフランの勝利で終わるはず。勿論、まだ見ぬ一手を隠している事も考え、油断は禁物である事に変わりはない。

 

「全く、流石はレミィの妹ね! 正直、一切使いたくなかったけど、仕方ないわ……『賢者の石』」

「くっ! 妹のフランや親友のパチェが決意を固めたと言うのに、姉である私がくよくよしてたら示しがつかない……はあっ!!」

 

 そんな感じで思考を巡らせて支援攻撃をしつつ、決意を固めて迷いなき全力の攻撃をリーシェに仕掛けているフランと、使いたくなかったらしい奥の手である魔法を使うと決めたパチェを見て、ようやく踏ん切りがつく。

 故に、私もパチェの奥の手の魔法に続いてグングニルの柄を握りしめ、能力を全力で使って本気で暴走が止まるまで叩きのめすつもりで、リーシェの所へと向かっていった。

 

「うぐっ……流石、レミリア姉様! どんどん当ててきてるし、そうこなくっちゃ、楽しくないよね!!」

「……」

 

 能力を全力で使って少し先の未来を見ているからか、何らかの防御魔法や戦女神の護衣(アイギスベール)などによって与えるダメージを激減させられても、リーシェの能力による反射回避行動でそもそも当たらないと言った事はかなり減らす事が出来た。

 

 しかし、何度も改めて思うけど……私の全力で振るったグングニルの穂先が数々の防御を突破し、太ももにかすって出来た痛々しい傷から血が流れていっても、フランのレーヴァテインによる斬撃や高威力魔法などによって激しく打ち付けられたとしても、すぐに治してそれすら幸せで楽しい事であるかのように感じているリーシェに、心が痛む。

 

 同時に、早く無力化して、エルの死がきっかけの力の暴走による苦しみから助けてあげて、今みたいに性格がねじ曲がった状態ではなく、いつもの落ち着いた笑顔の可愛いリーシェに戻さなければと言う思いがより強くなった。

 そして、それにはリーシェを一時的にでも痛い思いをさせる事を恐れず、私がより一層攻撃の手を強める必要があった。

 

「はあっ、はあっ……レミリア姉様、フラン姉様、パチュリーまで一緒に遊んでくれてる……凄い、凄いよ! 私、こんなに感激した事ってなかったかも!」

「っ! そう……」

 

 そんなこんなで時折泣きたくなりそうになるのを抑え、フランと連携してリーシェの魔力を少しずつ削ろうと試みる。やはりと言うべきか、私の力の入れ様や動きに合わせて、リーシェも能力による反射回避や防御魔法を合わせてきたから、総合的には先ほどまでと状況は殆んど変わっていなかった。

 

 ただ、余剰魔力が変換されて発生している稲妻の間隔が少しずつ延び、その量も少しずつ減ってきてはいたから、試み自体の効果は出てきてはいるようである。

 

「レミィ! フランと一緒にもう少し時間稼ぎを頼める? いつまで続くか分からないこの状況下、リィ自身の暴走した力で命を落としかねないのよ。叩きのめして無力化は不確定要素が多すぎるし……だから、致し方ないけど……一時的にある魔法で一時的に封印しようと思ったから」

「封印魔法の時間稼ぎ? なるほど、分かったわ。任せなさい。正直、気が凄く進まないけど……」

「可哀想だけど……それで、リーシェが助けられるなら……やるよ」

 

 すると、ある時にパチェが突然、私に対してフランと協力して時間稼ぎをしてくれとのお願いを持ちかけてきた。未だに暴走が続きそうなこの状況下、そう遠くない内にリーシェが自身の暴走した力のせいで命が危ない所まで達していると実感し、一時的にでも封印する事が必要と感じたためであるらしい。

 

 正直言って、如何なる理由があろうともリーシェを一時的でも()()()()なんて、非常に気が進まない。けれど、このまま暴走が続けばリーシェまでもがエルに続いて死んでしまうと言うパチェの懸念は、私も良く理解していたから、その案を了承せざるを得なかった。

 フランに至っては、この世の終わりであるかのような表情を浮かべ、少し震えながらもパチェの案を了承していた。溺愛している妹の命を考え、仕方なくと言う気持ちが強い事が良く分かる。

 

「済まないわね。じゃあ、よろしく頼むわよ!」

 

 そんなこと、私たちがそのお願いに対して了承する意を示すと、パチェはここから少し離れた場所へと飛び、万が一の防御魔法を発動させた上で大がかりな封印魔法の準備を始めた。大抵の魔法であればすぐに発動が可能なパチェですら時間稼ぎを必要とする程なのだから、相当負担のかかるものなのだろう。

 

「封印……レミリア姉様、もう遊びはおしまいなの……? 嫌だよ……!」

「くっ、そうはさせないわよ!」

 

 で、そんな話を聞けば当然、まだまだ物足りなさそうなリーシェがそれを阻止すべくパチェを集中的に狙い始めるが、既にそれは想定済みであるため、能力を併用して攻撃の軌道を逸らすか相殺して封印魔法の詠唱を邪魔させないように必死に動く。

 

「レミィ、フラン! 準備が出来たわ! 巻き込まれないように離れなさい!」

「待ちくたびれたわよ! さあ、行っちゃって!」

「……禁忌『フォーオブアカインド』」

 

 およそ5分、封印魔法の準備が出来たらしく、パチェが『リーシェの側から離れなさい!』と強い口調で呼び掛けてきたため私は咄嗟にその場を離れ、フランもその場を離れた後に『フォーオブアカインド』によって増やした分身3人でリーシェが逃げられない様に攻撃を仕掛けた上で拘束し、封印をより確実なものにする手助けをした。

 

「『光縛の鎖』からの……『封水(ふうすい)』!」

 

 そして、リーシェを確実に逃げられない状況にまで追い込んだ事を確認したパチェが、四方に展開した魔法陣から出た光の鎖で四肢を拘束して動けなくする『光縛の鎖』と言う魔法に、青色の賢者の石を媒介にした特殊な力を感じる水で球状に周りを囲う『封水』と言う魔法を使用して封印を試み、成功させた。流石、パチェである。

 一点、封じられたリーシェの体勢が張り付けのような感じになっていた事が気になったけど、この際それは気にしない事にしよう。

 

(はぁ……終わったわね)

 

 こうして、これ以上お互いに傷つく事がなく、リーシェの暴走をこう言った形ではあったものの、何とか止める事に成功した。




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