鬼が始めた妹探し生活   作:琉鬼

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大変遅くなってすいません!
なかなか続きを考えるのに時間がかかってしまいました……


4話 出会い

「スゥ……スゥ……」

 

静かに寝息を立てながら寝ているリアム。

そんな中外から、ペタッペタッという足音が聞こえてくる。

 

「ん……なんだ……?」

 

その足音で目覚めた彼は、その音を集中しながら聞いた。

そうすると足音は小屋の前で止まり、その足音の主はガチャリと音を立て小屋に入ろうとした。

 

「待て……。ナニモンだ?」

 

リアムは入ってきた何者かにそう問いかける。

 

「あ……すいません!空き家かと思って一晩ここに泊まろうと思って……」

 

何者かはリアムにそう返した。

暗くて顔は見えないが、声を聞く限り女性。恐らく同い年ぐらいの少女だろう。

どうやら敵対心は無さそうだ。

 

「はぁ……。気にしなくていい。別に俺の小屋じゃねえしな」

「え?それじゃあなたは何故ここに?」

「あんたと同じ理由だ。一晩だけ寝かせてもらおうと思ってな。鍵もかかってなかったし、多分空き家なんだろ」

「あ、そうなんですね。……私もご一緒しても大丈夫ですか?」

 

初対面の男相手に全く警戒心を抱かない彼女に少し呆れるリアム。

 

「あのさ……。初対面の俺が言うのもなんだけど、相手を簡単に信用しない方がいいぜ?」

 

リアムがそう言うと彼女は少し笑いながらこう言った。

 

「大丈夫です。私……、共感の加護を持ってるので、あなたの感情を読み取れるんです。今のあなたの感情は心配……。敵対心を持ってないことは分かるので」

「さいですか……。まぁいいや。あんた名前は?」

「ルナです。ルナ・モーネ」

「俺はリアム。さっきも言った通りここは俺の小屋じゃねえ。休むんなら勝手に休みな」

 

彼はぶっきらぼうにルナと名乗った彼女にそう言った。

 

「ありがとうございますリアムさん」

 

感謝の言葉を述べるルナ。

 

「なぁ……。ひとつ聞いてもいいか?」

「はい、なんでしょう?」

「見たところあんた一人みたいだが……、こんな時間に女一人で何やってんだ?」

 

リアムはルナに素直に聞きたい質問をぶつける。

 

「実は……私、最近家族を亡くして……。色んなことを知りたくて旅をしてるんです」

「悪いこと聞いたな……。すまん」

「いえ……。リアムさんこそこんな所で何を?」

「俺は……妹を探してんだ」

 

リアムはこれまであったことをルナに話した。

村から追い出された話。

村を見に行ったら村が全滅していた話。

親からの手紙の話。

妹の話。

話し終わってリアムがルナの顔を見ると……。

彼女は泣いていた。

目から大粒の涙を流しながら。

 

「おいおい……。なんであんたが泣いてんだよ」

「だって……、そんな悲しい思いをして……旅をしてるなんて……。私だったら耐えられない……」

「……一度も会ったことないとは言っても、俺は兄貴だからな。妹のために動くのは当然だろ。親父とお袋にも約束したしな」

「……あの、一つお願いがあるのですが」

 

ルナからお願いという言葉が出て、リアムは少し身構えた。

 

「なに?言っとくが無理なことは出来ねえぞ」

「私も一緒に連れて行ってくれませんか?」

「はぁ!?」

 

いきなりのお願いで少し動揺するリアム。

 

「いきなりどうした!?初対面の男相手に一緒に連れていけって!」

「共感の加護であなたの感情を読めると言いましたよね?」

 

ルナは涙を拭きながら話を続ける。

 

「さっきのあなたの感情は二つありました。一つは心配。これは恐らく妹さん二人に対しての心配ですね。

そしてもう一つは……、悲しみ。ご両親を亡くした悲しみと、一人で旅をする寂しさによる悲しみですね?」

「……加護持ちだかなんだか知んねぇけど、あんたに俺の何がわかんだよ……」

 

彼女が言ったことは図星だった。

リアムはずっと自分に嘘をついていたが、村を追い出されてからずっと一人で、話し相手が欲しいと思っていた。

しかし、自分について来たら恐らく危険が伴う。

彼女と一緒に行きたい気持ちと、彼女を危険にあわせたくない気持ち。

その二つの気持ちで葛藤する。

考えてる間に、またルナが話しかけてくる。

 

「現在の感情は嬉しさと心配が混ざってますね。一緒に行きたいと思いつつ、私に危険が及ぶんじゃないかとお考えですか?」

「……加護ってのは恐ろしいもんだな。そんなことまでわかんのかよ」

「ふふっ……。生まれた時に世界から頂く加護ですからね~。

私への心配ならいりません!あなたの邪魔はしませんから……」

「……本当に危険かもしれねぇぞ?」

「覚悟は出来てます!」

 

共感の加護を持っていない彼でも、この感情は読める。

大きな覚悟。

彼女はそれを持っていた。

 

「はぁ……、分かったよ。一緒に行こうぜ」

 

リアムがそう言った瞬間、彼女はパァっと笑顔になった。

 

「ありがとうございます!実は私も一人で旅をするのがすごく怖くて!」

「俺は用心棒かよ……、ったく。ただ……、いつも俺が守れる訳じゃねぇ。自分の身を守るための力は必要だぞ?」

「分かってます!」

「分かってるならいいや……。よろしくな、ルナ」

「はい!リアムさん!」

「あ~、俺のことは呼び捨てでいいぜ。一緒に旅すんのにさん付けは違和感があっからな」

「分かりました!リアム!」

「そんじゃ明日も早えからとっとと寝るぞ」

「はい。おやすみなさい!」

 

こうしてルナという一緒に旅する仲間が増えたリアム。

これからの旅の行く末はどうなるのか……。

それは神のみぞ知るのだろう……。

 


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