それでは、本編をお楽しみください。
階段を降り、あの冷たい廊下を通る。ポケットの中に手を入れ、レミリアからもらった何かを見ている。
羽竜「・・・これで心の開放ができるのか?」
それは、まるで水晶のように透き通っている宝石をつけた指輪だった。もしこれを彼女、フランの指にいれなくちゃならないとするなら、とても、いやめちゃくちゃ骨の折れる作業になるんじゃないか。まぁ、物理的に折られないことを祈るしかないな。あれこれ考えているうちに、扉の前についていた。
羽竜「そういえば、襲われたときの対処法聞いてなかった」
一度戻ろうとしたがここで戻ると、なんだか逃げてきたような気がしてならなくなる。
羽竜「・・まぁ、どうにかなるか」
宝石をポケットの中に戻し扉を開け部屋に入る。完全にノープランってわけでないが実際さっきのこともあってどの行動が最善ルートになるか全く予想できない。
???「誰?」
ふと誰かが、小さな、耳を澄ませてなければ聞き取れないぐらいの声で話しかけてくる。驚きながらも声の方を見てみると、そこには、さっきまでと違う、まるで別人のように部屋の隅に座り込んでいる。フランの姿があった。
羽竜「えっと、この場合はどう返事をしたらいいものか」
僕の声を聴いた彼女は、少し身を震わせながらも受け答える。
フラン「あぁ、さっきの。って言ってももう数時間ぐらい前だったか。何しに来たの?」
あの時の雰囲気とはまるで違う。これが本来の姿。そして、数時間前に会ったあの姿が言わば狂気の姿。そうとわかると、なんだかとても罪悪感を感じてしまう。本来の彼女は見るからに寂しさで包まれているオーラを感じる。いや、見えているわけではないが例えるならの話で。
羽竜「・・・約束、忘れたの?」
出来る限り穏やかに、敵意を与えて怖がらせないように問う。
フラン「約束?あぁ、ここに連れてきた理由だったね。」
彼女は顔を上げることなく話し続ける。
フラン「私ね、ずっとお友達が欲しかったの。けど、いつも私の魔力が邪魔する。私を一人にしようとする。そして、私の体を使って、この目に人の血を、肉を、耳には悲鳴を、そして命を弄ぶあの悪夢を与えてくる。」
フランの震えはさらに強まる。
フラン「だけど、今日は、闇夜だから。毎年、この日だけはあいつも出てこなかったから。だけど・・・」
そこまで行って話は止まる。いや、止まったのではなく彼女は涙をこらえている。
フラン「それも全部、自分の信じた願いでしかなかった。現に私は体を操られあなたをこの牢獄に入れてしまった。・・・もう、嫌だよ。もう、誰も私の目の前で死んでほしくない!けど、私はこの呪いからは逃れることができない!もういっそ私は死―――。」
そこまで言って、彼女の言葉は止まる。いや、止めさせた。初対面の人にされるのはどうかと思ってためらうべきなのかもしれないがこれが一番手っ取り早い。僕は彼女をそっと抱き、包み込む。その体はとても冷たく。これまでずっと独りぼっちだったことを表しているように感じた。
羽竜「死ぬなんて言っちゃダメ。それだけは何があっても言っちゃいけない。たとえそれが自分を苦しめているものが原因でも。」
フラン「だったら、・・・だったらどうすればいいっていうの!誰も私に近づかない、そして私からも近づけない。・・・あなたならこの悪魔をどうにかすることができるの?」
半分は感情任せに、そしてもう半分は望むかのように聞いてくる。これにどうこたえるのがベストなのだろうか。いや、この答えにベストは存在しない。彼女の気持ちに最善や最悪の天秤をつけてはいけないのだ。
羽竜「・・・簡単な話だよ。」
僕の答えが意外過ぎたのか彼女はうつむいていた顔を上げる。その顔は涙でしわくちゃになっていた。
羽竜「僕は死なない。絶対君の前で」
フラン「そんなの無理だよ。今回はたまたま生き残れたけど毎回同じように―――。」
羽竜「いいから。僕を信じて」
そこまで言って、やっと彼女は少し笑う。
フラン「わかった。だったらあなたを信じる」
この時、指輪の宝石の中に一つの魔法陣が生成された。
一応今回で過去辺は終了にしようと思っているですが正直まだ処理しきれていないところが自分的にはあるのでどうするかすみません。次回投稿するときに決めさせていただきます。
中途半端な投稿主ですみません。それでも、温かい目で見守っていて欲しいです。
ご愛読ありがとうございました。