巨蟲列島 蟲姦お断り!【完結】   作:灰色の空

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原作を読んでいることを前提の書き方になっている気がします
難しい物です


相互理解は不可能か?

 

『ここで何が起きたのか、外にある死体と君の恰好を見れば悲惨な事が起きたのは間違いない』

 

『……』

 

『だが、一体何が起きたんだ?あの死体は…それにあの死骸の数々は…君がやったのか?』

 

『……』

 

『すまない。不躾な事を聞いているというのは分かっている。それでも何が起きたのかを知らないと』

 

『…知りたいの?』

 

『あ、ああ。…人間は知らないものを恐れる。知ってしまえば恐怖も無くなる。この惨状を生み出した物を知らなければ…皆が恐怖に蝕まれるだろう』

 

『…そう。でもね、世の中には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 知らなくても良い事がある…んだよ?」

 

 自分で呟いた声で意識が覚醒した。目の前には知らない天井、どこかの和室だろうか。体を起き上がらせれば掛け布団がずり落ちた。どうやら誰かが布団で寝かせてくれたらしい。

 

「ここは…あー確か俺、寝落ちして…」

 

 状況を確認しようと最後の記憶を掘り起こす。思い出せるのは織部さんの言う安全な所へと移動して生存者を見つけた事、それで集落の中で個性的すぎる生存者を発見して…

 

「で、眠気に負けて寝落ちしたと。はぁ体力無いなぁ俺」

 

 疲れたと言ってもせめて仲間たちの安否を確認してから眠ればよかったのに。そんな溜息をついたときふすまが開かれる、

 

「あ、起きたんですか」

 

「ようやく目ぇー覚ましたか」

 

 現れたのは白川さんとアキラだった。取りあえず見知った顔が見れて一安心。

 

「あーおはよう?俺どれくらい寝てたんだ?」

 

「大体3時間って所か。よくもまぁこんな状況でぐーすかと寝ていられるな」

 

「ははは、そう言わないでくれ」

 

 呆れた目をしてくるアキラに苦笑を返し布団から立ち上がる。ストレッチの要領で体の点検をするが問題はなさそうだ。

 

(うん、体の方は結構楽になったな。さてと…)

 

 取りあえずは皆の状況だろうか、白川さんに今皆が何をしているのか聞けば、何とも驚くべき答えが返ってきた

 

「はぁ!?診療所に食料を取りに行くって…マジかよ」

 

「本当です。中城先生には逆らえなくて…織部さん達八人が向かったのですがまだ帰ってきていません」

 

 診療へ行ったメンバーは伊能に織部、委員長達だった。安否が心配だが伊能と織部さんが居るのなら大丈夫…だと思いたい。

 

「はぁ…そりゃ食料が少ないのは事実だけど普通危険な所に取りに行かせるのかよ?」

 

 愚痴を言うみたいになってしまったが、この島にいる以上どこもかしこも危険だという事は知ってる筈。それなのにまた食料を探しに行かせるって…もしかしてかなり嫌な先生だったのか?

 

「織部さん達もそう言ったんですけど話を聞いてくれなくて」  

 

「そりゃ何とも非情な事で。あのさぁ二人とも聞きたんだけど」

 

「何でしょうか?」

 

「何だよ?」

 

「中城先生ってそんな事を平然と言い出す人だったの?」

 

 世の中全員が全員いい人だとは限らない。偶々俺が出会った人たちが良い奴らだっただけで、もしかしたら中城先生は善人ではない可能性もある訳で…

 

 もしそうならば俺も()()()()()()()になる。

 

「違います。学園にいたときはもっと温厚な人で人の話を聞こうとしないような人ではありませんでした」

 

「普通だな。誰かを毛嫌いするわけでもなけりゃ贔屓するような先公でもない、マジでフツーな人」

 

 なるほどなるほど、つまり一般的な模範教師だったと。…となると生死が掛かった多大なストレスでおかしくなったと考えるべきか

 

「蟻原おまえ、なーに考えてんだ」

 

「ちょっとあの先生の事。あのままだと面倒事が増えそうだからね」

 

「話に行くんですか」

 

「おう、俺の事情もあるしな」

 

 今現在生徒達を死地に追いやる時点で結構なマイナス判定ではあるのだが、今後の為にも話をした方がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話がしたい…ですか?」

 

 と言う訳でやってきました。突然現れた俺に訝しむ様な視線をする中城先生に、眉を吊り上げるような敵意を向けてくる青山。ふむん?俺まだ何もしていなんですけど。

 

「ええ、ちょっと折り入って話したい事がありまして」

 

「貴方、突然寝たかと思えばいきなり先生の所へやってきて何なのよ」

 

 妙に突っかかる青山。まぁ確かにその通りだ、いきなり寝て倒れた男が次は先生に会いに来るなんて…おかしいかな?

 

「実はですね。俺がこの島に来る前…正確には転校してくる前の事を教えて欲しいんですけど」

 

「…どういうことですか」

 

「俺、実は記憶喪失みたいなんですよ」

 

 流石にこの言葉は予測できていなかったのか中条先生は目を見開き…またいつもの感情を見せない目に戻った。もしかして冗談かと思われたかもしれない。現に青山は俺に突っかかってくる。

 

「はぁ?一体何を言ってるの貴方。寝ぼけているんじゃないわよ」

 

「この島で目を覚ます前の記憶がありません。自分が誰かを知るために人を探していてアイツらと出会いました。…まぁそれで分かったのが俺が修学旅行直前に転校してきたという事ぐらいしか知らないんですけど」

 

 だから教師である貴方は何か知っていますよね。と目で訴え掛けるが…反応は無い。寧ろ呆れた目で返されてしまった。

 

「このような状況でどうしてそんなふざけたことが言えるのですか」

 

「ふざけてはいません、本当に記憶が無いんです」

 

「ふん!そんなこと言って先生の気を引こうとしているんでしょう!先生こんな男は放っておきましょう!」

 

 ………なーんで俺の言葉一つ一つに青山が口を挟んでくるんですかねぇ?温厚な俺だがこれには流石にイラつく。取りあえず放っておこう、今俺が話をしているのは中城先生だ。

 

「…信じるも信じないもどっちでもいいです。ただ教えて欲しんです、俺がどこから来たのか。流石に転校生について職員会議位はありましたよね?」

 

「…確かに転校生である貴方に関しての会議はありましたが、何故私が貴方の冗談を真に受けなければいけないのですか」

 

 なんか目線がきつくなった。これは…どう判断するべきか、俺の事を知っているのか?それとも対して知らないのか?判断に困る。

 

「うーん本当の事を言っているだけなんですが…まぁいいや。気が向いたら教えてください」

 

 聞こうにも相手が教えてくれないのなら仕方がない。教えてくれるその時が来るまで待とう。 

 

「話はそれで終わりですか」

 

「いえ、まだあります」

  

 あ、無表情だった顔がうんざりとするかのように歪んだ。隣の青山も一緒だがこいつは放っておこう。

 

「なんで生徒を危険な所へ行かせたんですか?この島が異常なことくらい知っているでしょう」

 

 当然の疑問だった。この島は危険な場所だとこの家に籠城していることから絶対に解っている、それなのにわざわざ生徒を死地へ向かわせるなんていったい何のつもりだろうか。

 

 そう考えての直球過ぎる質問だったが、返事は何とも澄ました顔で返してきやがった。

 

「決まっているでしょう、生存者が増えればそれだけ食料が必要になります。彼女たちは皆が生き残るために食料を取りに行ってもらいました」

 

「それはアイツ等の命により必要な物ですか」

 

 確かに食料は必要だ。あと何日間この島に居なければいいのか分からない以上必要なのは理解している、だが果たして虫がいると分かっているのかで取りに行くほどの物だろうか。俺にはそうは思えない、一応リュックの中には人数分には満たないが食料は入っている。分け合えば少しはもつはずだ。

 

「別に生徒達を命を賭けて守れとは言いませんが死地に追いやるのは教師として正しい事ですか?俺は違うと思うのですが」

 

「蟻原君。私は皆の事を考えて言ったまでです。貴方達の事を考えている教師であり大人の意見が理解できないんですか」

 

「申し訳ありませんが、今現在の俺は貴方の生徒だった記憶はありません、偶々この島で出会った生存者の一人であり、他人でもあるんです。そんな俺には貴方の考えが理解できません」

 

「では他人だと言う貴方が私達学園の生き残りの行動に口を挟むのは止めてもらえませんか」

 

 …コノヤロウ。皮肉で返したら皮肉で返しやがった。記憶のない俺からしてみれば他人であるアンタの言う事は聞けないと言えば他人のふりをするのなら学園関係者の行動に口出しするなと…なるほどこいつは分が悪い。ここは素直に退散するとしますか。

 

「…はぁ。ちょっと気が立って出過ぎたことを言いました。すいませんでした」

 

「分かったのなら黙っていなさい。子供は大人の言う事を聞いていればそれでいいのです」

 

「そうよ、アンタ達は先生の言う事を聞いていればいいのよ」

 

 素直に謝って頭を下げれば何とも得意げな顔をされた。歯向かおうとする人を撃退できたと思って悦に浸っているのだろうか。…胸糞悪いから嫌味でもかましてやろう。

 

「分かりましたよ先生。あ~それと一ついいですか」

 

「まだ何か」

 

「初めて見た時からずっと思っていたんですけど、何でそんな()()()()()()()()()で俺達を見るんですか」

 

 てめーの目付きは人殺しの目付きだよっ!と言いたかったのだが言い間違えてもう人を殺した風な言い方になってしまった。内心言い方を間違えたと焦ったがここで、中条先生と青山に変化が見えた。

 

「っ!アンタ先生にいきなり何を言い出すのよ!」

 

「……」

 

 青山は一瞬肩を跳ね上がらせ、まるで秘密の隠し事がばれてしまったのを隠すようなそんな怒り方をした。

 

 先生は目線を泳がせた、表情は分からないが一瞬見えたその目からは『強い恐怖と僅かな後悔』の感情が見て取れた。

 

(…これは…)

 

 ひとまずこの場は退散しよう、これ以上突っつくと伊能たちに迷惑がかかるかもしれん。

 

「いやいや冗談ですって。只のジョークじゃないですか。そんな先生が人を殺せるような人には見えませんって」

 

 現在進行形で誰かが犠牲になるかもしれないけどな!そんな事は口には出さず、その場から逃げるように部屋から出る俺。

 

「……アイツ」

 

「青山さん、怒ると悟られますよ」

 

「…はい」

 

 青山のそんな声と先生の声が聞こえたが取りあえずは無視することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?中城先生や青山さんの様子に変わったことは無かったって?」

 

 所変わって先生たちと一緒に行動していたうちの一人鈴木さんに話を聞いてみる事になった。碓氷っていう男?あれは生理的に無理。男には優しい俺だが、アレは無理。兎も角あの2人の様子だと何かがあったに違いない。俺の読み通りなら…

 

「うーん。そう言えば野沢先生が居なくなってから一緒に居るようになったような気がする」

 

「うん?野沢?」

 

 どこかで聞いた名前だ。さて、どこだったか。割と最近聞いた名前だったような?

 

「美術部の先生だよ。髪の長いジャージを着た先生」

 

「あ」

 

 そう言えば居た。マダニの巣で俺が付き飛ばして殺した女性だ。あーと言う事は?もしかして?

 

「その野沢先生って何処でいなくなったの?」 

 

「確か食料を探しに出かけた時だったかな。青山さんと一緒に探しに行って、中城先生が迷子になっていた青山さんを見つけた時には居なくなったんだって」

 

 ほうほう、青山と食料を探しに行って、その後青山は中城先生が見つけたが野沢の方は行方をくらましたと。ふーん

 

 あの二人の表情を考えると?となると…後は動機かな

 

「なんか中城先生と野沢先生って口論でもしていた?」

 

「口論ってほどじゃないけど救助隊が来るまでどうするかを話していたかな」

 

「具体的には?」

 

「中城先生は虫に見つからない様に安全な場所を探して救助が来るまで隠れていた方がいいって話して、野沢先生は叫んで目立った行動した方が虫が寄って来なくて救助隊に早く見つけてもらえるんじゃないかって」

 

「へぇー意外と考えていたんだなぁ」

 

 これは…さて、どっちの意見が正しいと考えるべきか。人によってさまざまだが俺としては隠れて行動した方がいいと思うな。虫って大体音に反応して襲ってくるもん。

 

「ちなみに鈴木さんはどっちの意見が正しいと思った?」

 

「私は…どっちもが正しいと思ったかな」

 

 あ、この娘場の状況に流されるタイプだ。押しに弱いそんな子だ。って鈴木さんの事はどうでもいいんだよ。

 

「そう言うのは無しでって言ったら?」

 

「中城先生の意見」

 

「その心は」

 

「…野沢先生ってなんか青山さんの事を気持ち悪い目で見ていたから…私あの人が苦手」

 

 はぁーん これは…ふぅん。あの青山の中城先生に対する狂信っぷりを考えると。動機はそう言う事ですかぁ。なるほどなー

 

「そっか。ありがとうね鈴木さん。いきなりいろいろな事を聞いて」

 

「ううん。別に暇だったからいいけど、一体蟻原君は何をしているの」

 

 首を傾げる鈴木さんに俺は茶目っ気たっぷりにこう返すのだった。

 

 

 

 

 

 

「探偵の真似ごと。…まぁこの島から脱出するまでの暇つぶしだよ」

 

 

 

 

 

 

 

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