巨蟲列島 蟲姦お断り!【完結】   作:灰色の空

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ここから原作2巻目でございます。
それでは始まり始まり~


診療所に到達!

《蟻原》

 

「おいおいまだ暗いじゃねぇか。疲れてんだもう少し寝かせろよ」

 

「移動するのなら今がチャンスなんです。今なら舗装路を使って医療施設に移動できます」

 

 まだ日の登らない暗闇の中、俺達は陣形を組みながら医療施設を目指していた。上条が文句を言うが織部さんが言うには夜明けの前のこの時間帯が移動するにはちょうどいいらしい。夜行性の虫は動きを潜めてアゲハや蜂は太陽光で体が温まるまで活動を抑えるのだとか。

 

「それにしても蟻原君がライターを持っていて良かったです」

 

「ふふっ そう褒めたって何にも出ないぞ白川さん」

 

 俺が持つたいまつを見ながらほっとするのは白川さん。織部さんが作った簡易松明に偶然俺が持っていたジッポライターで火をつけ即席の明かりを手に入れたのだ。これで暗い所もある程度は移動できる。

 

「でもさ織部さん。明かりをつけると虫が寄って来るんじゃないの」

 

「虫が寄ってくるのは懐中電灯の明かりです。松明の火の明かりには虫はほとんど寄ってきません」

 

「へぇ~やっぱ睦美ちゃんの知識は有用だねぇ~」

 

「本当だな。お陰で私も随分と助けられた」

 

「火の明かり…ね。そういえば蟻原君何であんな高そうなジッポライターを持っていたの?」

 

「分かんない。って普通高校生がライターを持つわけないから…誰かの贈り物だったりして」

 

 とこんな感じで虫の生態について織部さんから話を聞きながら雑談を交えて歩く。

 

 バァッサッバァッサッ!

 

「ひっ!今度は何!?」

 

「分かりません、こんだけ大きい音だと何か巨大な虫が飛翔している可能性が…」

 

「…静かに歩いて行けば問題ないよね」

 

 何やら巨大な虫の羽音のような物を聞いて皆でビビりつつひたすら歩いて数十分。開けた空間で俺達は遂に医療施設を発見することが出来た。

 

「へへっ虫と遭遇しなきゃ簡単につくじゃない」

 

「町の病院みたいっ ここなら安全ね」

 

「すげぇ…想像していた島の診療所とは大違いだ」

 

 喜ぶ甲斐に皆も同意する。それほどまでに安心と建物の大きさに驚いたのだ。

 

 

「な、なぁ伊能。普通島の診療所ってこんなに大きい物なのか?」

 

「…ううん。この島は確かに結構大きいけど診療所がここまでの大きさは考えられない、かな」

 

 思わず伊能に確認してしまうのはそれほど設備が整えられているように見えたからだ。まず大きさが凄い、三階建てだ。ここでもうなんかおかしい。普通島の診療所はちょっとした一戸建ての大きさのはずだろ。それがなんで三階建て何だ?

 

「オマケにヘリポートに大きな鉄塔型の電灯か…」

 

 病院ならあってもおかしくないのかもしれないけどなーんかきな臭い。何だろう、何かの研究施設みたいだ。

 

「シンメイ製薬メディカルセンター、ね」

 

 一応名前を覚えてはおくが…そうこうして居る内に皆中へと入っていく。何やら嫌な予感がするのを感じながら俺もメディカルセンターへと入るのだった。

 

 

 

 

 

 中は案の定広かった。流石はメディカルセンターか?しかしだからと言って受付近くに超巨大な水槽があるのはどうなんだろう?疑問に思いつつも兎も角今は目的の物を探さないと。

 

「虫女!アキラを助けるにはどうすりゃいいんだ!?さっさと教えろ!」

 

「落ち着け上條。確か探すのは生理食塩水だったっけ?」

 

「その通りです。ジカバチの毒を薄め体外に排出させるためには生理食塩水が必要なのです。多分治療室か薬剤室に置いてあるはずです」

 

「治療室か薬剤室ね。行くぞ上條」

 

「指図すんじゃねえ!さっさと付いて来い!」

 

 食塩水があれば委員長もアキラもひとまずは平気だろう。とにかく急ぐため上条と一緒に薬剤室へ向かう。分かりやすく薬剤室とネームプレートがある部屋を見つけ扉を蹴破り、薬品を片っ端等から探す。 

 

「食塩水、食塩水っ!何処だコラァ!」

 

「確か点滴用のパックで名前が書いてあるはずだ。上條はそれを探してくれ」

 

「ああ!?テメェはどうするんだよ!」

 

「薬品だけあっても駄目っしょ。確か針とひっかける台がセットになったものがあって…他にも包帯とかも必要かな」

 

 そんな事を言いつつ目的の物はすぐに見つかった。流石は怪しくてもメディカルセンター。治療に必要なものがすぐに見つかるなんて滅茶苦茶運が良い。

 

「あったぁぁあ!!虫女あああ!!!」

 

 上條の方も見つける事に成功したのか勝利の咆哮をかましている。生理食塩水の入ったパックを持てるだけ持って上條と合流しこれまた急いで受付ホームへと向かう。

 

「あったぞ織部さん!」

 

「これでアキラは助かるんだよな!?」

 

 扉を蹴破る勢いで目的の物を持って来たらそこにはベンチイスに寝かされていたアキラと委員長。すぐに点滴出来る様に上着を外してあるのが大変段取りがよろしい。

 

「準備は万端だよ!設置するから貸して」

 

 段取りの良い伊能に薬を手渡し、点滴の準備を済ませ後は注射をするだけになった。ところがここで問題が起きてしまった。

 

 注射針を持つ織部さんの手が震えてしまったのだ。

 

「早くしろよ!」

 

「やり方は分かっていますけど実際に点滴をしたことが無いから…血管に上手く刺せなくて」

 

 当たり前だが俺達は高校生で織部さんもそれは同じだった。人に点滴をする機会なんてなく俺の無い記憶を探っても血管に注射を刺すなんて芸当は出来なかったのだ。

 

「…伊能は出来るか?」

 

「ごめん。ほぼ勘になっちゃう」

 

 頼みの綱の伊能も同じだ。これでも適当な所に注射針を刺してしまう事になる。確か血管以外の所にさしてしまうとマズいんだったか…?医療知識のない俺ではどんな事が起こるか分からない。さて本当にヤマ勘で刺そうかと検討を始めたところ以外にも白川さんが名乗り出てくれたのだ。

 

「わ、私がやります」

 

「できるのかっ!?」

 

「家に糖尿病のおばあちゃんが居るので何ども血管注射をした覚えがあるので…」

 

 やったことが無い人間と何度か経験のある人間。これはかなりの違いだ、どうしても未経験では勘に頼ってしまうから知識と経験がある人間がやった方が良いのは当然だった。

 

 慣れた様子で注射針を持ちアキラの右腕に針を近づける白川さん。少し躊躇しているのは…明かりか。ジッポライターを点火させ明かりになる様に近づけさせるが…

 

「ごめんなさい蟻原君。火の明かりが揺らめいて見えにくいです」

 

「ご、ごめん」

 

 駄目でした。このジッポライターではちょっと見えにくいか。今はまだ夜明け前だ、薄暗い中では注射はやりにくい。はてさてどうしようかという事で不意に室内に電気がともり始めた。

 

「どう?明りついた?」

 

 言葉と同時に現れたのは段ボールを抱えた甲斐だった。そう言えば先ほどから姿を見ていなかったと思ったら、別の所を探索していたのか。

 

「地下にあった自家発電装置を動かしてきた♪」

 

「おお、やるじゃないか甲斐。ありがとな」

 

「…アンタが頑張ってるのならまぁ俺も少しは」

 

 少し気恥しそうに言うがお陰で助かった。白川さんも明かりがついたおかげで血管がみえたのか澱みなくアキラに注射をしている

 

「無事に出来たと思います。次は委員長をしますね」

 

「白川さん!有難う!」

 

 嬉しそうにするのは織部さん。経験のない注射を白川さんのお陰でせずに済み委員長もこれで無事だと思えば明るくなるか。

 

「ふぃ~これでアキラも一安心か。マジで焦ったぜ」

 

「お疲れ上條。これでお前の親友も安心だな」

 

「へっ まぁこの俺様がリーダーをしていたからな。後はアキラさえ復活したら余裕だ」

 

 心底嬉しいのかアキラに向ける視線はどこまでも優しい。きゃんきゃん騒ぎ人には高圧的な態度の上條だが身内には情深い奴なのだろう。

 

「皆腹減ってるっしょ。色々あったから持ってきちゃった」

 

「おめぇ使えるなっ」

 

「わぁ ありがとう甲斐君!」

 

 甲斐が持っていた段ボールの中にはどうやら食料品の様で神野や三浦さんも嬉しそうに声を上げている。飲まず食わずでやってきたんだそりゃ腹も減るのは道理だ。これで少しは気分や疲労も回復できる。

 

 

 

 皆が食料品が入った段ボールを見ている中、俺はアキラに近づいていた。眠っているアキラの呼吸は穏やかだがどうしてか嫌な気分がぬぐえない。

 

「どうしたの蟻原君。何か気になる事が」

 

「伊能か。…海岸でアキラに服を着せていた時になんか腕の所が気になってな」

 

 伊能がカロリーメイトを片手に聞いてくるのでおざなりだが返事を返す。安静にさせておかないと駄目なのだが念のためにとシャツを捲り上げる

 

「おい蟻原、なにアキラをまさぐってんだテメェは」

 

「…え、もしかして蟻原君ってソッチの方の」

 

 なにやら後ろでごちゃごちゃと言われているが気にせず念のため点検する。杞憂だったら俺が謝ればいい、でももし何かあった場合は…その考えが功をなしたのか俺は見てしまった

 

「…ん?これって…っ!?織部さん!」

 

「どうしたんですか蟻原君!」

 

「こいつを見てくれ!これは一体ナンなんだ!?」

 

 アキラの左腕の中そこにソイツは居た

 

 皮膚を盛り上げながら這いずるようにうごめくナニカ。皮膚のすぐ下にいるのかうごめくその姿が浮き出ている。余りにも気色悪さに反吐が出そうだ。

 

「ひぃ!?なにこれっ!?」

 

「うわっなんだこりゃ!?」

 

 悲鳴が出てくるもの仕方がない。だって人の腕の中をもぞもぞと動くナニカが居るのだ。直径や太さは…大体人の小指ぐらいだ。  明らかにヤバイもんがうぞうぞと動きながらゆっくりと徐々に腕から二の腕へと進んでいこうとする

 

「こ、これは寄生虫!?でもこんな大きさの寄生虫なんて」

 

「寄生虫ってマジか!?おい虫女、アキラはどうなってるんだ!?」

 

 織部さんの顔色が一気に青くなった。確かにこんな大きさの寄生虫なんて見たことが無いのかもしれない。真っ青になりながら何の寄生虫かを呟いている

 

「これはレウコクロリディウム?生水や木の実の表皮から体内に入って感染をしたの?でもこれほどの大きさの」

 

「織部さん!解説はいいから取り除くにはどうすればいいの!」

 

 伊能の言葉にびくりと肩を上げる織部さん。しかし真っ青なその口からは解決策が出てこない。…流石に寄生虫の知識はあってもこんなデカさの寄生虫の緊急事態の対処は浮かばないか!?

 

「放置して置けば絶対にマズいよな…」

 

「…レウコクロリディウムは蝸牛(カタツムリ)の触覚に寄生し脳を支配する寄生虫です。最後は鳥類に捕食されるために」

 

「うるせぇえええ!!!そんな事はどうだっていいんだよ!さっさとアキラを助けやがれ!」

 

 上条の絶叫が響き渡る。今刻一刻と寄生虫がアキラの脳へと歩み進んでいるのだ。後数分で脳へとたどり着きこのままだと…………仕方ない、か。

 

 アキラに近づき深呼吸を一つ。今度はラマーズ法は出てこなかった。

 

「おい…?お前一体何して」

 

 

「許せよ、アキラ」

 

 

 

 

 

 

 謝罪は一つ。覚悟を決め俺はアキラの腕、正確にはレウコクロリディウムのいる場所をアキラの肉ごと引きちぎった。  

 

 

 

 

 

 

 




この頃思う事。

主人公が動けばほかのキャラの活躍が減ってしまう。(織部に甲斐)
空気になってしまう人が存在する。(現在は神野に三浦など)
スムーズに書くには仕方ないのですかね?

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