翡翠の弾丸~ゾックはかく戦えり   作:スナ惡

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実験機と試作機

キャルフォルニアベースの片隅で進行している悪巧みに公国民が、当然地球連邦の人間も気づかないままゾックの試作機は製造された。

便宜上、ゴンザレスのラボに隠されている機体は実験機と呼ぶことにする。

隠された実験機の存在に気づかないままゾックの試作機は3機作られるということだ。

「ゾックを戦線へ投入する?」

モビルスーツの配備の決定などはいまいちホジョウの手の届かない場所にあるため、ホジョウがゾックの配備を知ったのは少し後になってからだった。

「水陸両用機からなる突撃部隊の構想が持ち上がっているのだ。」

ホスマンは少し声を潜めた。

「あわよくば連邦の白い艦と白いモビルスーツを、水中戦で撃破する肚(はら)らしい。」

連邦の木馬と呼ばれている艦と、その艦に所属するらしい白い最新鋭のモビルスーツについてはホジョウも聞いている。

戦況はその木馬によってだいぶ狂わされているようだ。

「そうやすやすと水中に誘い込まれますかね?」

「分からんな。また、近く総力戦らしいのを一発やるらしい。」

「連邦の本店ジャブローを叩くのですか?」

ホスマンは首を振った。

「分からん。」

ホジョウの言うジャブローは地球連邦軍の本部がある南米アマゾンの地下基地だ。

存在は確実なのだが正確な位置がつかめない。

ジオン軍にはすでに生産ラインが稼動している水陸両用機がある。

「現在、安定供給されつつあるゴッグ、アッガイ、ズゴックに加え、最新鋭機ゾックも投入される。これは一応極秘事項だ。」

「はあ。」

極秘事項とはいえ、巨大なゾック試作機を3機も作れば関わる人間は100人を超えるだろう。

そんな都合よく情報が秘匿できるとは思えないため、ホスマンは「一応」と言い、ホジョウは「はあ」と応えたのだ。

「ところでホスマン司令。モビルスーツ用の塗装用に赤いアクリルラッカーが大量に搬入されているんですが、あれはなんですか?」

ホスマンは口を尖らせて独特な情けない顔をした。

「ペンキだけではないんだよホジョウ中尉。ペンキを持ち込んだ連中は最近流行の『特別機』を作るメカニックチームだ。」

「特別機?」

ホスマンは事情を察しないホジョウを呆れた顔で見た。

「赤い彗星の機体を作るんだよ。シャア・アズナブル少佐だよ。キミの同窓生だろ?」

「いやあ、シャア少佐の方が一つ下なんです。」

ホジョウは情けなく愛想笑いをしながら答えた。

ホスマンはホジョウの顔をまじまじと見るとため息をついた。

「ホジョウ中尉も十分にやっとるよ。比べる相手が悪い。」

ホジョウはシャア少佐と自分を比べたことなどなかった。

むしろ自分を含む2期卒業生のふがいなさとガルマとシャアを擁する3期卒業生を比べたのだ。

「おっしゃるとおりです。」

「まあ、キャルフォルニアベースはキャルフォルニアベースのやるべきことをするだけだ。」

ホスマンはそういうと立ち去った。

連邦から奪取して以来、キャルフォルニアベースはいつもなんだか前線と遠いのだ。

 

 

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