翡翠の弾丸~ゾックはかく戦えり   作:スナ惡

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ガウの機影は真っ直ぐ南の空の端へ消えていった。

ホジョウが束ねるキャルフォルニアベースの補給班一同は深呼吸して肺から疲れを吐き出した。

「あと2機、ジャブロー攻撃の中継地点として補給にきます!準備を!」

一息つく間もなくホジョウがクルーを追い立てる。

やはりガウ型の補給爆撃機がキャルフォルニアベースに着陸する。

クルー達がガウの大きく開いたメインハッチに物資を積んだリフトで殺到する。

ホジョウがクルー達に檄を飛ばしていると、ホスマン司令と1kmの道のりをやっと帰ってきたコーエン博士が基地の給水塔に登っているのが見える。

ホジョウは二人が何の話をしているのかすぐに察した。

ガウ型は乗艦人数も多いため、艦内で使う生活用水の補給も多いのだ。

普段全く意識しない基地の貯水タンクの残量を調べているのだ。

ホジョウの端末が鳴る。

「ホジョウです!水ですよね!?今、司令と博士が上がって行かれるのを見ておりました!」

ホスマン曰く、もう1艦に水を補給するほどはないという。

「鹵獲した連邦軍の車両の中に給水車があったはずです!あいつなら海水を真水に変えれるはずです!」

ホジョウは通話を切ると、生産部門のほうへ顔を出して手が空いている人間を探しはじめた。

「誰か連邦のガソリン車を動かせる方いませんか!?」

運よく年配の工員の1人が地球でライセンスを持っていたらしい。

基地内で運転免許なぞこの際どうでも良いのだが、一台しかない貴重な給水車を壊すわけには行かない。

スクラップとゴミの中間みたいなモノが置いてある倉庫の給水車にたどり着いた。

「大尉、多分かからんよ?エンジン。」

イグニションキーを回してもうんともすんとも言わない。

「ちょっと、これ押して。」

「『押す』?」

年配の工員が運転席に乗ったまま頷いた。

「エンジンスタートするための電圧が足りないから、無理矢理人力で車を押してエンジンかけるの。」

「なんですかそれ!?」

ホジョウは言われるままに大きな給水車を押した。

「こいつ、動きますね!?」

「車輪ついてんだから当たり前でしょ?…うーん、プシュっともいわねーな。」

何度もイグニションキーを回すがやはりうんともすんとも言わない。

工員はそう言うと自分の端末で誰かに通話をかけている。

「多分24V直流。いつでもいける用に順備しておいて。ワニ口のでかいヤツつけて。そう。」

そう言って通話を切った。

「これ重いですね!」

ホジョウはあっという間に汗だくになった。

「大尉すまねーな。誰かがハンドル持ってないと。このまま工作できるところまで持ってきましょう。…押すの代わりますか?」

「私、押します!一向に構いませんよ!」

工場ラインの端にある検査部棟が近づくと技術畑の人間がバラバラとやってきた。

そして、1人で給水車を押していたホジョウを助け始めた。

「あー軽い!みんなで押すと軽い!!」

ホジョウが額に玉のような汗をかきながら、しみじみと言った。

自然と笑い声も出る。

結局、ガソリンエンジンもバッテリーも全部バカになっていたらしい。

直接、工場の電源から動力を引っ張って動かした。

努力が功を奏して、3機目のガウにもたっぷり水を積むことが出来た。

3機目が飛び立った頃には14時を回っていた。

そして、その日の夜、ジャブロー攻略作戦が失敗に終わったことが報された。

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