翡翠の弾丸~ゾックはかく戦えり   作:スナ惡

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10万文字突破ありがとうございます。

コロナ自粛でフラストレーションがたまったので、仕事は忙しかったのですが、思わず書き始めました。
アイディアは結構前からありました。
今、調べたところ2017年5月1日にテキストエディタに「翡翠の弾丸」フォルダが作られていました。
そして書き始めたのが2020年ですのでまるっと3年構想したのかと言うと全然そんなことはなく、むしろ、アイディアは有ったけど、エピソードが浮かばないまま、3年たったのが正解です。
難航したのは主人公の像で、ガンダムといえばアンバランスで心の不自由な主人公がいないとはじまらないなという印象がありますので、そうした条件を満たしながら、動いてくれるキャラクターを何とかひねり出せないかなと言うのが北条太郎さんです。
ガンダムの二次創作なのにいつまでたってもモビルスーツが戦わないとがっかりされた方には、へそ曲がりが書いておりまして申し訳ありません。
とりあえずお詫びいたします。
10万文字ブースとが起きないかなと淡い期待を抱きながら書いておりますが、少しずつしおりが増えたりとても嬉しいです。
ありがとうございます。



ビンゴ

その場所は元公設市場だった場所だ。

青果を扱う市場とはやや違う雰囲気で、2階建てのひどくぶっきらぼうな見た目の建物が並んでいる。

それも、全く同じ形の建物が整然と並んでいる。

人通りは少なかったが、まだ問屋業を続けているテナントは有るようで、細く明かりが漏れているシャッターもある。

二人は観光客向けのレンタカー業者で借りたオープンカーでその問屋街に近づいた。

入り口に警備詰め所があってぎょっとしたが、近づいてよく見るとずいぶん前のポスターが貼りっぱなしになっている。

どうやら無人で長く使われていないだろうことが分かった。

二人はその元詰め所の前に車を路上駐車して降りた。

「ロビンさん、ここ来たことある?」

「ない。ホセくんは?」

そう聞いてきたタニアは変装用にメガネをかけていた。

「ない。」

元市場と言うだけあって、ズムシティの中心街からさほど離れてもいないのに、二人とも見たことも聞いたこともない場所だった。

ホジョウは古着のフライトジャケットを着て、ロビンはハンドバッグを持っている。

ライトが切れかけて点滅している場内案内板を見るとお目当ての建物の位置を再確認した。

きれいに碁盤の目に切られた広い道路は身の隠しようがない。

二人は車に戻ると、ゲートが開きっぱなしになっている場内へ入っていった。

進むと、シャッターを開けた店もある。

玩具問屋のようだ。

「ホセくん、多分あそこ。」

「そうだね。」

建物の前にオープンカーを横付けすると、アイドリングは止めずに降りた。

「郵便ポストが。」

タニアの指摘にホジョウは頷いた。

隣の空き家になっているであろうテナントの郵便ポストからはダイレクトメールやチラシがあふれているが、社団法人ズムシティ放送委員会の方のポストはそんなことはない。

看板の明かりはついていないが2階の窓の端から細く明かりが漏れ、話し声が聞こえる。

板がガラス窓の内側から貼られているようだ。

そして、閉じたシャッターの上に監視カメラがある。

これは建物に対して新しすぎる。

恐らく最近つけたものだろう。

ホジョウは監視されているとは感じていたが、向こうから出てきてくれた方が話は早いなと考えていた。

「ホセくん、カメラついてる。」

「うん、気づいてたよ。」

2階の話し声が止んだ。

ホジョウがしばらく監視カメラを見上げているとシャッターの奥から階段を下りる足音が聞こえた。

「御用でしたらお間違えじゃないですか。」

タニアが身構えてホジョウの前に立つ。

ホジョウは丁寧に押しのけて自分の後ろに立たせた。

「社団法人ズムシティ放送委員会さんに用事がありまして。」

ホジョウがそう言うと、ドアの向こうから

「ここにはもうないよ。」

と返答が帰ってきた。

ホジョウは「はいそうですか」と帰ろうかとも思ったが、やや声が高圧的だったので、もうちょっとつついたら出てくるかなと思った。

「ありますよね?」

「はあ?」

ホジョウは狙い通り相手がイラつくのを声で感じ取りながら、こういうやつはヤダなと感じていた。

「こちらに住所の登録があるんですよ?社団法人ズムシティ放送委員会。ここにありますよね?」

どうもドアの奥には二人いるようだ。

ぼそぼそ低い声で会話している様子だ。

立て付けが悪そうな金属サッシのドアがギイと音を立てて開くと、一瞬ドズル中将かと思うほどの巨漢の強面が出てきた。

公国軍の戦闘服の上着を脱いでいて、Tシャツ姿だ。

「ここにはないって言ってるだろうが、つべこべいってねーで失せろ。」

ホジョウが見知った顔が出てきた。

士官学校時代に短期間だが戦闘教官をやっていた男で、口の悪い候補生達から「校長モドキ」と呼ばれていた男だ。

粗野で行動に問題があり、ドズル校長を怒らせたか何かで教官を降ろされたと聞いている。

ホジョウはバレるかと思ったが、向こうはホジョウの素性にまったく気づいていないようだ。

ただ、こいつの体が大きいせいで、もう一人いるはずの後ろの人物が見えない。

「今でもこの住所で郵便が届いてるんですから、ここが放送委員会のはずなんですよ!」

わざと食い下がって、後ずさりしてみると、案の定、距離を詰めてきた。

扉から体が出てきたので、奥が覗けそうだ。

見てみると、奥のもう一人は全く見知らぬ男だが、そちらは上着も着ていて襟に階級章もついているようだ。

ホジョウはここで迷った。

放送委員会の建物は中に軍人がいて、少なくとも一人は元教官なので名前はすぐ調べられる。

それを成果として引き下がるか。

「…た」

ホジョウはその声を聞き逃さなかった。

「今、奥のほうで『タ』って聞こえましたね。」

「何にも聞こえねえよ!」

ホジョウは校長モドキを押しのけて中へ押し入ろうとする。

校長モドキは無理矢理に扉を閉めようとする。

「あー、もうめんどくさいや。」

ホジョウは細かいことは気にしないことにした。

「おおおおお!?」

校長モドキが奇声を上げる。

手首の関節が外れたのだ。

「ちょっとオッサンもどいて。」

ホジョウは乱暴にもう一人の人物を前蹴りで通路の奥へ蹴りこんだ。

その人物が、銃を抜こうとするのが見えたからだ。

軍服の男性は体勢を崩して奥へ吹っ飛んだ。

ホジョウはそのまま追いかけて、仰向けに倒れる男性のみぞおちを踏みつけた。

ボディーブローで人間を気絶させるには、アバラが折れる程の衝撃が必要なので、それだけの衝撃を与えたのだ。

「はじめちゃった…」

もうこうなったらタニアはホジョウがやり残した仕事をやるしかない。

手首を折られたデカブツが痛みにうめきながらも立ち上がったところにアッパーカットを入れて気絶させて、ホジョウについていった。

すでにホジョウは二階に上がっていて、その二回からは何かが吹っ飛ぶ音と、「うおー、なんだお前!?うわー!!」と言った叫び声が聞こえる。

「ロビンさん、この人のロープほどいてあげて。」

ホジョウは銃を構えた男の手首に投げナイフを投擲しながら言った。

タニアが上がっていくと3人大の字になって倒れている部屋の真ん中に、椅子が置かれて、そこにロープできつく縛られている男性がいた。

「あんた、ヒゲ面!」

フォン・ブラウン市でホジョウが接触したヒゲ面だ。

「なぜここに…」

「コッチのセリフよ!」

ホジョウはちょうど2階にいた4人目のならず者の手首に刺さったナイフを回収したところだった。

「うわー、痛そう…」

「ヘマこいちまった。」

ホジョウが知る限り、このヒゲ面がヘマをこくのは2回目なので、これが彼の日常ではないかとの疑問もわいたが、どうやら、このヒゲ面は敵の敵で味方らしい。

しこたま身動き取れない状態で殴られているようで、顔が腫れている。

縛り付けられた椅子からやっと開放されると、フラフラと立ち上がった。

「ロビンさん、仕方がないから、こいつら縛っておこうか。」

「仕方がない…ね。そうね。」

全員縛りあげる。

「一番階級が高そうなのはどいつかな?」

「ホセくんが1階で踏んづけてたやつだと思う。」

ホジョウはアバラがイっていることに不安を覚えながら、そいつの目を覚ますことにした。

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