翡翠の弾丸~ゾックはかく戦えり   作:スナ惡

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横槍

ホジョウたちがアブドルアジースの住むマンション前にたどり着くと、先客がいるらしい。

乱暴にマンションの面した道路に車が停めてあって、中に明らかに粗暴そうな運転手が一人で待機している。

ホジョウは窓をノックした。

「身分証見せて。」

そう言いながら先ほど貰ったばかりの公王庁の身分証を見せる。

男は車を急発進させた。

「ロボ!」

「イエッサー!」

タニアはアサルトライフルで逃げた車を銃撃する。

車は操縦を焦り手ごろな立ち木に衝突して刺さった。

「運転手を抑えて、生死は問わない!私は上に上がる。」

ホジョウはマンションを駆け上がるとアブドラアジース宅の前から二人の男が走って逃げるのが見えた。

マンションには階段が2本ついていて、各階は通路でつながっている。

「人手が足りなかったな。」

ホジョウは階段を駆け下りると地上を走って逃げる二人組みを追い始めた。

ホジョウは走りながら携帯電話を取り出す。

ダイヤルした先は警察だ。

「こちら公王庁警備隊のホジョウ少佐だ!スパイ容疑で捜査中、遭遇した二人組みが武器を持って走って逃走中!位置は私の端末で確認してく…うわ!撃ってきた!」

振り向きざまに拳銃を撃ってきた。

「少佐!」

追いついたタニアのオープンカーに飛び乗る。

後部座席にはダクトテープで拘束された男が横たわっている。

遠くから警察のパトカーのサイレンが聞こえてきた。

流石に車なので逃げる男たちにかなり肉薄したが、二手に分かれて逃げようとしている。

交差点で左右に散開して逃げる、左側をホジョウは追う事にした。

「曹長!降りる!停めて、右のを追って!」

ホジョウは再び走り出すと正面からパトカーがやってくる。

結構な街中まで来てしまった。

拳銃を持って走る男に民間人が立ちすくむ。

目の前を逃げる男は、足がすくんでいる女性に掴みかかった。

次の瞬間、男の身体には3本のナイフが突き立っていた。

そのまま倒れこむ。

「無傷でつかまる気はないのか…」

倒れた男は血だまりを広げながら、地面に倒れて悶えている。

ホジョウはそちらは警察にまかせて、タニアが追っている方へ向かうことにした。

電話をかける。

「ロボ上級曹長!今どちらに!?」

「目標は盗んだバイクで環状14号を西に逃亡中です。」

ホジョウは走って追いつかないことを悟って、警察のほうへ引き返した。

スペースコロニーの主要な道路は縦貫道と環状道がほとんどだ。

円筒形のコロニーに対してタテに走るのが縦貫道で、それに直角に走る道路は全て円形になる。

「のせてください。もう一人は西向きに盗難したバイクで逃げているようです。オープンカーが追っています。」

パトカーの助手席に乗せて貰うとタニアと標的を追いかけることにした。

環状道を真っ直ぐ走って逃げているようだ。

「EMPを使用してもよろしいですか?」

「お願いします。」

運転する警官は無線で連絡を行っている。

「環状14号西行き、目標はオートバイ、見えていますか?どうぞ。」

ー目標、見えています。どうぞ。

ズムシティの交差点監視システムだ。

ホジョウはタニアにもう一度電話した。

「タニア上曹、EMPを使用する。追尾距離を空けて。」

くどいようだがコロニーの内部は円筒形なので、環状道の先を走っている車はなだらかな坂道を登っているように見えるし、実際、登っている。

一周およそ19kmの終わらない登り坂だ。

なのでかなり先を走っている車も見えることになる。

実際に、バイクは見えないがタニアのオープンカーは見えている。

タニアの車が交差点で停まった。

「決まったようですね。」

ほどなくして追いつくと、タニアが交差点で腕組みして立っていた。

EMPで急停車したバイクが交差点のガードレールに刺さっていて、運転していた男性は、角のクリーニング屋のガラスに突き刺さっている。

「救急車は手配しました。」

「ありがとう。」

とりあえず気を取り直してアブドルアジース博士と孫娘のマイを保護すると、公王庁に帰ることにした。

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