ホジョウは大急ぎでフォン・ブラウン市のペトローニ女史に電話をかけた。
「フォン・ブラウン第1天文台の様子を見張ってください。」
「ホジョウ少佐、『天文観測所』です。」
タニアにツッコまれた。
「すいません、天文観測所です。テロがないかとか、あとは、緊急メンテナンスとか。」
「停電も怪しいですね。」
マイにツッコまれた。
「あとは、停電もないかとか…他何かあります?」
「担当の従業員が無断欠勤も怪しいでございますね。私のゼミでも昔、担当者の院生が…」
アブドルアジース博士が思い出話をはじめた。
「スタッフの無断欠勤も。」
「あとはテロじゃな。」
「ゴンザレス博士、それはもう言いました。」
ペトローニ女史は天文観測所にも派遣会社のザイオンイヤーから事務員が派遣されているので、逐一、監視して情報をくれるそうだ。
「ホジョウ大尉、一件、私も電話を失礼させていただいてよろしいですか?」
「構いませんよ。」
「おじいさま、失礼なのは階級の間違いですよ。」
「それは、大変に失礼いたしました。」
「それも構いません。」
アブドルアジース博士がどこかに電話している。
「ご無沙汰しております。例のデギン陛下つきの別室のお話でご協力いただけないかと。コロニーはサイド1から移動して地球めがけて落ちるのですが、迎撃するためにはどの地点で待ち構えるのが得策かとおたずねしたい所存でございます。」
マイが「おじいちゃん、サイド5でしょ?」というのを博士は電話しながら片手で制した。
「ありがとうございます。もし、再び生きてお会いできましたらそのときはゆっくりお話でも…失礼致します。」
といって電話を切る。
「暗号でございます。私と今お電話した博士の間で決めておりまして、地球を標的にコロニー落しをする場合、L1、L3、L4、L5のいずれかのラグランジュ点のコロニーが選ばれると予想して、『サイド』の後ろにラグランジュ点の番号をつなげて言いますと、符合する数字が1つもございませんので暗号になるのでございます。博士は『サイド3からスイングバイして迎撃』が最も適切だとおっしゃいました。ですから、L3と読みかえることが出来ます。サイド7がゾック・ゼロの最適な待機場所になります。」
一同、納得したが、問題が1つ浮上した。
サイド7は地球連邦の勢力圏だ。
「厳しいなー…厳しいですよね…?」
ホジョウは唸ったが、マイは涼しい顔をしている。
「ホジョウ様なら大丈夫だと思いますよ?聞いた話ですと、赤い彗星のシャア様はサイド7のグリーンノアコロニーにザクで乗り込んだ上、連邦の宇宙要塞ルナツーに乗り込んだそうですよ?シャア様に出来て、ホジョウ様に出来ないってことはないと思います。士官学校の一年後輩ですよね?」
「無茶言わないで下さいよ…」
今度はタニアが畳み掛ける。
「ホジョウ少佐は素手のドツキ合いだったら公国軍最強だと思います。恐らく赤い彗星なんてメじゃないですね。」
「モビルスーツと素手を比べないで下さい!」
ゴンザレスも黙っていない。
「ホジョウ少佐、今、行かなかったら一生後悔すると思うんじゃが。」
「痛いところつきますね。」
「ホッホッホ」
アブドルアジース博士は目を細めて笑っている。
「分かりましたよ!行けばいいんでしょ?行けば!敵陣、サイド7にモビルアーマー抱えて乗り込みますよ!」
「よく言った、ホジョウ少佐!」
「言わせたんでしょ!装備と物資の点検しますよ!」
そうしているうちにホジョウの実家から兵士が10人届いた。