「超音速でミサイルとゾック・ゼロを合体させる!それしかない!軌道を計算する!2分くれ!ホジョウ少佐は計画通りの軌道でスピードは保ってくれたまえ!」
「了解しました。」
再び固唾を呑んで見守る2分がはじまった。
「よしいけるぞ!ジャブロー、ミサイルは全て今から送るセッティングをしてくれ。データの規格に合うミサイルは全て指定の軌道で発射してくれ。」
「…データが来たぞ!よし、これをコピーして回せ!少し特殊なタイプだが基地中探せばあるだろう!」
ホー博士はホジョウに呼びかけた。
「ホジョウ少佐、こちらから送った航行計画に変更だ。ラモックス・ザ・スタービースト号はルナゲート2号経由で途中から遠隔操作に切り替える。大気圏突入前にはゾック・ゼロに乗換えだ。」
「了解!」
ホジョウは艦に送られてきた航行計画を見た。
タニアが覗き込む。
「すごいじゃん!これが終わったら結婚しよ!」
「うん…生きて帰れたらね?」
タニアは朗らかだ。
「これ失敗したら祝ってくれる人類半分ぐらい居なくなっちゃうんだから、今から失敗すること考えても仕方ないって!」
開き直りだ。
航行計画にはめちゃくちゃなことが書いてある。
「とにかく、艦の中でゾックを転回しなきゃ!ゾックに乗り込んで!…いや!外から見てて!」
ゾックが中で180度転回するには、格納庫の内壁を多少壊さないと回れない。
「お願いします!アイアンネイル様!奇跡を起こして!!」
ゾックが両手をゆっくり広げると、艦が不気味な振動を立てて、格納庫のメインハッチが飛んでいった。
そのまま、艦から落ちないようにゆっくりと回る。
最後に、残った格納庫の内壁に両手のアイアンネイルを突き立てて、艦にゾックを固定した。
これまでは後方のメインハッチを開けると、ゾック・ゼロの頭が見える状態だったが、今はメインハッチのあったはずの場所に足の裏が見えている。
「ホジョウくん!ばっちりだよ!」
「よし、一旦そっち戻る!」
ホジョウはずいぶん見晴らしのよくなった格納庫であったはずの場所からブリッジに戻った。
「今から遠隔操作受け入れ開始します。ルナゲート2号お願いします!」
「はい、こちらルナゲート2号。急にハッキングを受けそうになっておりますが、ウイルスを送り返して対処しております。ラモックス・ザ・スタービースト号の遠隔操作は問題なく、完璧にやれると思います。ラモックスをハッキングしようとされた皆様は夜道に気をつけてくださいね?」
ホジョウとタニアはゾック・ゼロに乗り込んだ。
「ゾック・ゼロ起動します!」
久しぶりの機動だ。
モビルスーツの操縦はタニアも訓練している。
ゾック・ゼロは色々勝手が違うが、全く手も足も出ないわけではない。
「こっちなら、私もお手伝いできるから!」
「頼りにしてます!」
ホジョウは早速、通信画面を開いた。
「ゾック・ゼロ起動しました。」
「カウントダウン6分前だ。ここから忙しくなる。短いがトイレに行くなら今のうちだぞ。」
ホー博士が声をかけた。
モノアイを動かして周囲を見ると、貨物室に空いた隙間に青い地球が大きく見える。
大気圏が近い。
「ルナゲート2号!地球大気への進入角が甘くなると貨物船もろともゾック・ゼロまで宇宙へ弾き飛ばされるぞ!」
「こちらルナゲート2号!5秒間隔で角度監視中!ラモックスが機体の損傷のせいで制御が安定しません!」
ホジョウとタニアはホー博士とマイのやり取りをまるで他人のことのように静まり返った気持ちで聞いていた。
「あ、ホジョウくん優しい顔してる。」
「タニアさんこそ。」
二人に今できることは信じることだけだ。
「くそ!ラモックス・ザ・スタービースト号の機体剛性が足りないんだ!」
コーエンが悪態をつく。
「ルナゲート2号!進入成功だ!フルスロットル!オーバーヒートするまで噴かせ!!」
「もうやっております!!」
ゾック・ゼロも激しく揺れ始めた。
ラモックス・ザ・スタービーストがその役目を終えようとしているのが分かる。
「ホジョウ少佐!オーバーヒートきます!!」
「頭部メガ粒子砲、発射用意!」
タニアが頭部メガ粒子砲のスタンバイを終えた。
「今です!」
「タニア上曹!」
「発射!」
マイの叫ぶ声にタニアがトリガーを弾く。
ゾックの頭部メガ粒子砲が大気圏をフルアクセルで落下するラモックスを貫いた。
「ゾック・ゼロ!発進!」
砕け散る、ラモックス・ザ・スタービーストを切り裂きながら、ゾック・ゼロは再び地球へ舞い戻ってきた。