【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド 作:擬態人形P
爆発を見ながらザンスパインを操る桜井夢子はガッツポーズを見せる。
敵となった時は厄介だった秋月涼のザクII改のブービートラップが、このバトルでは見事に役に立った。自分が想いを寄せる人物の功績であるだけに思わず嬉しくなってしまう。
「やったわね、涼!」
『待って、夢子ちゃん………。シミュレーターが終わってない!?』
「え?それって………。」
ピピピピピッ!
「後ろッ!?」
夢子は気づく。背後からヅダFが左腕の「シールド・ピック」を突き立てるようにして突撃して来たのを。その白兵戦用のピックはザンスパインの背中に突き刺さり、一気に貫く。そのまま距離を取ったヅダFの前でザンスパインが爆発した。
「何で!?脆いヅダの装甲じゃ………!?」
『脆かった分、ザク・マシンガンでも即座に撃ち抜いて切り離す事ができました………。』
唖然とする夢子に藤原肇の通信が聞こえる。見ればヅダFは右膝から下が無くなっていた。肇は咄嗟の判断で右膝を破壊し、右足の爆弾を切り離したのだ。
「うそォ………。」
『さあ………これでザクとヅダの一騎打ち。勝負です、涼君!』
項垂れる夢子の前で肇は高らかに宣言した。
――――――――――
肇の宣言を受けても、涼から通信は帰ってこなかった。
味方をやられても激昂せず、こうして落ち着いている所を見せると、相当メンタルは強いらしい。
(機動力は有利。………ですが、状況や機体ダメージは圧倒的に不利ですね。)
肇は周りの状況確認に集中しながら自分の今後の成すべき行動を確認する。この場合、下手に動かず涼のザクII改が狙ってくるのを待つしかない。どの方角から来るか………。
「………上ッ!」
「ザク・バズーカ」による砲撃を回避した肇のヅダFは即座にザクII改を追いかける。ブービートラップは怖かったがこの状況ではもう気にしてられない。ひたすら「ザク・マシンガン」で撃ちながら狙うしか無かった。だが………。
「狙いが………定まらない!」
実は、肇はあまり射撃が得意では無い。以前、祭りの出店の射的をした際に、外しまくった事もある。その分、咄嗟の集中力に長けているが、この場ではあまり役に立たなかった。
『もらうよ!』
「クッ!?」
更に涼のザクII改が逃げながら「MMP-80マシンガン」を連射してくる。今のヅダFが受けたら危ない。片足がもげて機体バランスも悪くなっている中で肇は必死になっていた。
「何とか狙いを………またッ!?」
そこで今度は左足にハンド・グレネード付きの紐が巻き付く。涼に上手く誘導された事でまたブービートラップに引っかかったのだ。今度は左膝を撃ち抜き、切り離す。
「バランスがどんどん崩れる………!でもトラップは後1個あるかもしれない………!」
ブービートラップはこの暗礁宙域のどこにあるのか?それとも実は自衛手段として直接ハンド・グレネードを持っているのか?色々な事が頭の中で駆け巡り混乱しそうになる。
「………そうだ!」
しかし、突如頭の中で妙案を閃いた肇は、ヅダFの右腕から弾を前に撃ちだす。それは涼のマシンガンで撃ち落とされるが、爆発の瞬間に左目を閉じる。
パァァンッ!!
『「信号弾」!?』
緑に発光するそれを見た涼は一瞬ではあるが視界を塞がれる。
肇は左目を開き自分のヅダFと涼のザクII改の間の空間を確認。そこに最後の1つのワイヤー付きのトラップを見つけた彼女は持っていたザク・マシンガンを直接ハンド・グレネードに投げつけて無理やり起爆させる。
「これでもうトラップは………!」
『クッ………!』
肇は「ヒート・ホーク」を持って一気に突っ込む。機体はボロボロであったが加速力はあった。決めるならこの一撃に賭けるしかない。
『僕も………諦められない!』
それに対し、視界が回復した涼もマシンガンを捨て、ヒート・ホークを持って一気に迫る。
ヅダとザク。ジオンの最初のモビルスーツとして生産ラインを争った機体同士がヒート・ホークを振りかぶり………。
「せいッ!」
『たぁッ!』
互いのコクピットを貫き2つの爆発がステージ上に広がった。
――――――――――
「す、凄いんご………。」
モニターの前でファンが大歓声を上げる中、辻野あかりはこのバトルの結末を見守っていた。どの機体も持ち味を最大限に活かし戦おうとするその姿に感動すら覚えていた。
「まさか、引き分けとは………勝ちたかったですね。」
「ごめんなさい、肇さん。私がもうちょっと役に立てれば良かったです………。」
「いえ、たまたま今回、詩花さんとの相性が悪かっただけですよ。」
「ゴメンね、夢子ちゃん。勝てなかったよ。」
「何、謝ってるのよ、アタシが油断したのが悪いんだから。それに楽しんだでしょ?」
「うん、楽しかった。」
肇、詩花、涼、夢子の4人はガンプラと共にシミュレーターから出てくる。その姿にファン達は更に大きな歓声を響かせた。そして、そんな中、拍手が聞こえてくる。
「………美城専務?いつの間に?」
「偶然近くを寄ったのでな。………見事なバトルだった。」
あかり達が驚く中、専務は4人を褒め称えるとコホンと息を吐き言う。
「各事務所対抗戦になったが、感想はどうだ?」
「そうですね………。皆さん、かなり自分のガンプラとバトルの技術を練っていると思いました。………でも、勝ちたかったですね。」
「私ももう一度バトルをしたいです。もうちょっと活躍したかったですし………。」
「あ、それはアタシも同じです。油断してやられたから今度こそは!」
「僕ももう1回バトルしてみたいです。引き分けだとまだまだ物足りないですし………。」
「成程………。」
各アイドル達の意見を聞きながら専務はもう1度4人を見渡す。みんな気持ちの良さそうな汗をかいていた。
「つまり………君達はガンプラバトルを「楽しめた」のだな?」
『はい!』
「ならば、提案だが………4人でチームを組んでみてはどうだ?」
『え?』
専務の言葉に4人は顔を合わせる。
事務所が全員違う中でチームを組んでみろと言われたのだ。確かにこの面子で競い合うのは楽しそうである。だが………。
「各プロダクションの社長の許可は取らなくて大丈夫なのですか?」
「その為の私だ。根回しはしておく。そのコンビネーションや発想力。一時的な物にしておくには惜しい。」
「4人で集まってガンプラバトルを鍛えるには………。」
「346プロに自由に出入りするといいだろう。それがイヤならここのゲームセンターも使うといい。………ワクワクしないか?事務所に囚われないチームというのも。」
専務の言葉に4人は思わずうずうずした物を感じる。確かにこのメンバーでどこまで高みを目指せるか試してみたかった。
「空気を読まないのが僕の座右の銘だから、賛成かな。」
「アタシも肇さんや詩花さんとは組んでみたい………かな。」
「まあ!私も3人と組めるなら組んでみたいです!」
「じゃあ………決まりですね!」
『うん!』
肇の言葉に事務所が違うはずの4人の心が合わさる事になった。
新たなチームの誕生に、あかり達が温かい拍手を送る。
(………アレ?)
そこで涼は気づく。
熱狂的に盛り上がるファンの後ろに帽子と眼鏡を掛けた少女がいるのに。
(もしかして、あの人は………。)
少女は涼に気付くと、笑顔で軽く手を振り去って行った。
――――――――――
(どのプロダクションの子達も凄いなぁ………。これは、私達も負けられないよね。)
ゲームセンターを出た所で少女は眼鏡を取り、帽子を外して特徴的な2つのリボンを出す。
空を見上げながらさっきの試合の様子を思い出すと、笑みがこぼれた。
(これから、がんばるぞー!765プロ、ファイト!)
そう心の中で叫ぶと少女………天海春香は帰路へと付いた。
――――――――――
後日、リーダーに任命された肇によって「豊穣の色」と呼ばれる事務所混同チームが結成される事になる。この情報は各プロダクションのチーム結成への意欲をより高める事になった。