【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド 作:擬態人形P
「お、終わった~~~………。何とか勝ったよ~~~………。」
シミュレーターでのガンプラバトルを終え、チーム「和装の美少女」の桃井あずき・白石紬・社野凛世・関裕美の4人はシミュレーターから出てくる。
反対側からは、チーム「クロックワークメモリー」の岡崎泰葉・斉藤洋子・神谷奈緒・中野有香も同じように出てきた。
「凛世さん、ドーバーガンを落としたのはあずきちゃんとの連携を狙ってたのですか?」
「いえ………そこまでは考えて無かったですね。あずきさんの機転のお陰です。」
「そ、そう言われると嬉しいけれど………ギリギリの勝利だったからなぁ………。」
「何はともあれ、君達8人が熱いガンプラバトルを見せてくれた事に間違いは無い。」
拍手の音に横を見てみれば、ずっとバトルを見学していた美城専務が、同じく付き添いをしていた北条加蓮や喜多見柚と一緒にいた。
「チーム「和装の美少女」の諸君。君達が良ければ、この場でチームを正式に登録しよう。765プロや283プロにも話を付けておく。」
「ほ、本当ですか?」
「それは………有り難いことです。」
「それだけ私の心を動かすバトルだったという事だ。チーム「クロックワークメモリー」の諸君も御苦労だった。」
「ありがとうございます。でも、こんなバトルができる事が分かると、もっと追及したくなりますね。」
泰葉の言葉に他のアイドル達も頷く。
只、バトルを楽しむだけでなく、反省点を考え次のバトルで活かす事ができれば、更に面白さは増すだろう。
「あーあ、柚も早くチーム作りたいなぁ………。チームを結成する事でできる事も増えるし。」
「4人で色々研究できるもんね。色々な戦局に対応したガンプラの作成やバトルの腕の向上、連携の確認………本当にやる事が多いや。」
「それも踏まえて考えてみたが………近々アイドル活動の合間にガンプラバトルの「講習」も開いてみようと思う。チームそれぞれの弱点に応じたガンプラバトルの訓練をしてみるのも楽しみの1つだろう。」
「へぇ………。」
専務の言葉に、加蓮が真っ先に興味を示した。シミュレーターに登録されているガンプラを使って臨機応変に戦えるようになれば腕は上がる。何より自分の中に秘めた新しい可能性を発見する事もできるはずだ。
「その講習、私達のチーム………「フォーティチュード・アップル」が最初に受けてもいいですか?」
「チームメンバー全員にその意志があるのならば、予約してもいいが………。」
「ピポパ………OK!忍もネネもあかりもお願いしますだって。」
「………行動が早いな。」
「じゃあ、その次はあずき達が!あ、加蓮さん達の講習も見学してみたい!」
「私達も宜しいでしょうか?負けたままだと悔しさもありますし。」
ワイワイと専務の言う講習に対し、予約が殺到していく。みんな、それだけガンプラバトルを愛している事が分かった。
「嬉しい事だね、専務。柚も本当に早くチーム作りたーい!」
「焦るな、喜多見柚。時間はまだたっぷりある。だから………ちょっと待て。」
専務は携帯端末を取り出して何かやりとりをする。
そして、会話を終えてしまうと加蓮に問う。
「北条加蓮。明日の朝から君達のチームの中で予定が空いている人物はいるか?」
「えーっと、ネネがオフですけれど………。」
「では、彼女に「案内」を頼むか。………「あのアイドル」1人だと、舞い上がりそうだからな。」
専務の言葉に首を傾げる一同。その後、詳細な説明を受け、その場にいた全員が驚愕する事になる………特に765プロの白石紬が。
――――――――――
「こんな朝早くからネネちゃんと人の待ち合わせをして欲しいなんて、専務はいきなり何を考えてるんでしょうね?」
「仕方ないですよ、春菜さん。専務含め、みんな暇じゃないんですから。時間の空いている人達で色々やりくりしませんと。」
「私はレッスンキャンセルしてるんですよ?ネネちゃんは貴重なオフなのに、時間を潰す事になって………。」
「いえ、私は大丈夫です。妹にお土産話ができると考えれば、こういうオフも悪くはありません。」
翌日の朝、栗原ネネは黒髪のボブの少女と346プロの入口で会話を繰り広げていた。
少女の名は上条春菜。眼鏡と猫を心の底から愛するアイドルであり、特に前者に関する広報活動は、346プロだけでなく、様々なプロダクションに広まる程。一部のファンからはそれ故に「眼鏡スト」と呼ばれているのも特徴であった。
「只、待っているのも暇ですよね。折角ですし、ネネちゃん、眼鏡かけてみます?良いデザインの物、見つけたんですよ!」
「えーっと、ちょっと今日はそういう気分じゃないので………また気が向いた時にお願いします♪」
笑顔で流しながらネネはニコニコとしている。
それもそのはず。ネネは昨日、専務からこの後やってくる「来訪者」の事を聞いているのだ。その人物の名を聞いた時はネネも驚かされたが、実際に会えると思うと心が躍った。
尤も、専務からはその人物の事を春菜には伝えないで欲しいと言われている。その理由は実はかなり複雑で………。
「しかし、遅いですね。そろそろ待ち合わせ時間になりますよ?」
「そうですね………案外、今日の「髪型」に悩んでいるのかもしれませんね。」
「髪型?………待って下さい、ネネちゃん。まさか、来訪者の事知ってるのでは?というか、よく考えれば私が知らないんだから、案内人として知っているはずですよね?」
「え?いや、その………あ!ほら、来ましたよ!」
ネネの言葉に問い詰めようとした春菜は正門の方を振り返る。
見れば、急いでやってきたのか、一生懸命走りながら手を振っている人物が1人。彼女は春菜達の前まで走ってくると息を吐きながら頭を下げる。
「栗原ネネさんと上条春菜さんですね!ごめんなさい!色々準備をしてたら遅くなってしまって………!」
「あ、いえ、時間には間に合ってるんで大丈夫ですよ。頭を上げて下さい。」
「そうですか。では、お言葉に甘えて………。」
思わず近づいた春菜は見る。
その女性は自分と同じく眼鏡を掛けていた。そして、髪型はエビフライを思わせるような三つ編みお下げ。スーツを着ていたが、春菜はその人物を知っていた。
「え、え………?」
「ほら、春菜さん。ちゃんと挨拶をしませんと。この方が困っちゃいますよ。」
体が固まり呂律が回らなくなる春菜の姿に苦笑しながらネネは彼女に変わって、来訪者に対して挨拶をした。
「改めて………栗原ネネです。こちらのアイドルは上条春菜。今回、346プロの案内を務めさせて貰います。若輩者ですが、宜しくお願いします、「秋月律子」さん。」
「こちらこそ、案内、宜しくお願いしますね、栗原ネネさん。上条春菜さんも………眼鏡アイドルの1人として誇りに思っていますから。」
秋月律子。
765プロの中でも弱小プロダクション時代に輝かしい経歴を作り上げた、13人の先輩アイドル「765PRO ALLSTARS」の1人である伝説級のアイドル。
忙しい765プロを救う為、プロデューサー業にも勤しんでいるスペシャルなアイドル。
何より、上条春菜にとっては自分が「眼鏡アイドル」としての憧れになった原点であるアイドル。
その偉大なる存在を前に、春菜は………。
「り、律子さんッ!お会いできて嬉しいですッ!!」
思わず彼女の手を両手でがっしりと掴んで叫んでしまっていた。