【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド 作:擬態人形P
「私!律子さんに憧れて!眼鏡アイドルになって!!」
「あ、そ、そう!?あ、ありがとう………でも、ちょっと落ち着いて貰えますか!?」
「ご、ごめんなさい………。」
憧れの秋月律子との出会いに、彼女の両手を派手にぶんぶんと上下に振ってしまった上条春菜が思わず手を離し、何度も頭を下げる。
そのリアクションは大袈裟に思えたが、世界で一番憧れている人物に出会えたと考えれば、ある程度妥当だとも栗原ネネは見守りながら思った。
「とりあえず、中に入りましょうか。まずは………。」
「346プロの歴史からですね!案内頑張りますよ、ネネちゃん!」
「は、はい………。律子さん、改めて宜しくお願いしますね。」
「よ、宜しくお願いしますね………。」
それからしばらくは上条春菜の熱い熱いトークが始まった。
律子をカフェやテラスやレッスン室等、様々な場所に案内し、その度に解説していく。
「………春菜さんは熱心なんですね。」
「はい!律子さんに会えたから尚更です!今日は私に任せて下さい!」
「ありがとうございます。」
あくまで丁寧に受け答えする律子に、春菜はどんどん色々な言葉を投げかけていく。その様子を少し後ろで見守りながらネネは………しかし、少し渋い表情であった。
(このままだと………いけないですよね………。)
今の状況ではいけない。今の関係ではいけない。これはどうした物かとネネが考えた所で………。
「よう、ネネ。何してるんだ?………ん、そっちの顔は。」
「ネネちゃんこんにちは。何か楽しい事やってる?」
声に振り向いてみれば、そこには長いブロンドヘアのギャルっぽい女子高生と黒い髪の毛を束ねた女性が立っていた。2人共身長が高めなネネよりも更に高い。
「秋月律子です。宜しくお願いします。………貴女達は?」
「桐生つかさです。社長やってるので、こちらこそ宜しくお願いします。」
「えっと、藤居朋です。趣味は占いなので、宜しくお願いします。」
つかさと朋。丁度レッスンを終えたばかりの2人の346プロのアイドル達が立っていた。
――――――――――
346プロの屋上とも言える展望台には噴水があり、その周りにはベンチと花壇がある。
色々と346プロ内を回った春菜は、律子と共にベンチに座りながら、長々と話をしていた。
「しかし、あの秋月律子が346プロの視察に来るなんてな。マジの大物じゃないか。」
「占いによると今日は一時雷雨の予報と聞くから、この出会いに天気もびっくりしたのかも。」
「………朋、その占い当たるのか?」
「えー、つかさちゃん占い信じないの?」
「信じないな。お前の信念は信じるが。」
少し離れた所で何気ない世間話をするつかさと朋の横で、ネネは若干俯いていた。何かを悩んでいるのは確かであった。
「………話してみろよ。」
「え?」
「アタシ達との出会いは「偶然」だ。なら秘密を話しても影響はないんじゃないのか?」
「……………実は。」
長い沈黙の後、ネネは思い切って自分が隠している事をつかさと朋に話す。
その内容を聞いた朋は頭の上で指を回転させながら考え込み、つかさは腕を組み納得する。
「成程な………確かに今のままじゃダメだ。」
「でも、この問題は私がどうにかできる事では無いですし………。」
「あたし達でどうにかできないかな?つかさちゃん。」
「そうだな。チャンスが全く無いのはハード過ぎるし………よし、任せろ。」
つかさはそうネネの肩を叩き小指を立てて言うと、春菜と律子の所に歩いて行く。
「律子さん。765プロが誇るシミュレーター室には行きましたか?」
「まだです。流石にあの部屋にはいきなり入ったらいけないかなと思って………。」
「ガンプラは持っていますか?」
「持ってます。バトルの経験もありますし………。」
「じゃあ、アタシと朋と春菜と4人で2対2のガンプラバトルをしましょうよ。その大義名分があれば、あの部屋にも気軽に入っていいはずです。」
「それ、素晴らしい考えです!早速、私と律子さんの連携を見せて………。」
「悪い、春菜。………それだけれど、特別ルール採用させてくれ。」
「え?」
疑問符を抱いた春菜につかさはルール内容を説明した。
――――――――――
「ど、どうして私と律子さんが別チームなんですか!?」
『何だよ、春菜。アタシと組むのがそんな不満か?』
「そ、そういうわけでは無いですけれど………でも、折角律子さんが戦ってくれるのに………。」
シミュレーター室の機械を作動させた春菜、つかさ、律子、朋の4人はそれぞれガンプラバトルのセッティングに入る。
つかさの提示した条件。それは、春菜&つかさVS律子&朋という固定チームにする事だった。
何故そうしないといけないのか分からない春菜だったが、結局つかさの話術に言いくるめられてこうしてガンプラをセットする。
『不安か?』
「そりゃ、だって………。」
『じゃあ、春菜。アタシから1つアドバイスだ。「負ける為のバトルは楽しくない」。』
「え?」
言っている言葉を理解する前に電子的なカタパルトに空間が変わり、出撃準備が整う。
春菜の機体はオレンジ色のゴーグルアイの砲戦機。
「ジムIIIビームマスター」と呼ばれるアニメ「ガンダムビルドダイバーズ」の機体だった。パイロットが眼鏡の少年である事が、彼女がこの機体に惹かれる要素になっていた。
『ステージは「夜の岩石地帯」。辺り中に遮蔽物になる岩があるのが特徴です。』
ネネの通信を聞き、春菜は恐る恐る操縦桿を握り、ペダルを踏む。発進は待ってくれなかった。
『それじゃ………桐生つかさ、Dガンダム・サード!マジで行く!』
『藤居朋!ゴールドスモーで幸運を!!』
『秋月律子、ヴェルデバスターでやり遂げるわよ!』
「か、上条春菜でジムIIIビームマスター!輝かしい戦果を!」
4機のモビルスーツは出撃していった。
――――――――――
夜の岩石地帯に降り立ったつかさの「Dガンダム・サード」は春菜のジムIIIビームマスターに指示を出すと近くの岩に隠れた。
つかさの機体は漫画「ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム」で登場したガンダム顔の主人公機だ。
ナックルガードで殴りつける「Gブラストナックル」という個性的な武装を持っており、破壊力もパンチとしては破格であった。
「朋機と律子機の情報は頭に入れてるな?」
『は、はい………。』
朋の「ゴールドスモー」はアニメ「∀ガンダム」に登場するモビルスーツ。
金ぴかの塗装が幸運をもたらしそうというのが、朋の選んだ理由であったが、実際「IFBD (Iフィールドビームドライブ)」と呼ばれるビーム兵器を無効化する装甲である為、かなり強敵であった。
一方で律子の「ヴェルデバスター」はアニメ「機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER」で登場したオレンジと緑のカラーが特徴的な砲戦機。
原型機となった「バスターガンダム」の取り回しを良くした機体であり、パイロットは伊達だが眼鏡を掛けているのも特徴だった。
『私、どうすれば………。』
「律子機を狙ってくれ。」
『ええッ!?』
動揺する春菜に対し、つかさは淡々と説明をする。朋のゴールドスモーはビームを無効化する上に、「IFR効果 (Iフィールドリストリクション)」によってミサイル等のホーミング兵器も無効化するのだ。だから、ジムIIIビームマスターはヴェルデバスターを牽制するのが、一番効果が高かった。
『……………。』
「というわけだ。とにかくヴェルデバスターさえ抑えれば………。」
『………ッ!?来ます!?』
強化されたセンサーが反応したのか春菜の警告につかさのDガンダムはその場を転がるように移動する。
すると、収束したビームがつかさの隠れていた岩を貫通していく。
ヴェルデバスターが両手に装備している「複合バヨネット装備型ビームライフル」を結合させ、「ビームキャノン」を放って来たのだ。更に、「ハンドビームガン」を撃ちながらゴールドスモーも突進してくる。
「頼むぞ、春菜!」
つかさはそう言うと、Dガンダムを駆り、ゴールドスモーに向かって行った。