【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド 作:擬態人形P
「えっと、貴女は………。」
「忘れたとは言わせないわよ!」
「ごめんなさい、ちょっと待って下さい………。」
「ちょっと本当に忘れてるの!?」
少女の怒声に綾瀬穂乃香は慌てて自分の中の記憶を巡らせる。
見た所、自分と同じ位の年齢と思える。だが、比較的高めの身長である穂乃香自身よりも更に高く、何よりナイスバディである。
「セクシーなボディですね。素晴らしいです。」
「それ、褒め言葉にならないわよ!バレエをやっていた私にとってはね!」
「バレエ………。」
確かにバレエをやるにあたって大きすぎる胸はジャマだ。
しかし、穂乃香と同じようにバレエをやっていた子だと考えると………。
「あ!もしかしてリサちゃん!?」
「そうよ!「羽田リサ」!!貴女のライバル、羽田リサ!!」
「久しぶり!元気にしてましたか!」
「ちょっと、喜ばないでよ!この屈辱忘れたとは言わせないわよ!挑んでも挑んでも貴女にバレエの賞を奪われて、その上アイドルに転身しても成功して………!」
「あ、リサちゃん。「さわやかレモン」のCM見ましたよ。」
「話を聞きなさい!私はこの胸があったから仕方なくバレエを諦めてアイドルになったのに………貴女って人はーーーッ!」
微妙にマイペース………というより天然な所がある穂乃香に対し、リサは思わず吼える。
細かい事情は違えど、バレエの表現に限界を感じてアイドルに転身したのは2人共同じ。だが、穂乃香に負け続けたリサにとっては面白くなかったのだ。
「だからこそ、今のブームに乗って、貴女を倒しに来たのよ!」
「ブーム………ガンプラバトルですか?」
「そう!ガンプラは自由よ!その気になればバレエのように舞う事もできる!私の作って来たガンプラならば、穂乃香!貴女にだって負けない!」
「ちょ、ちょっと待って下さい。何かバトルする前提の話になっていますが、こういう事はお互いの事務所を通さないと………。」
「いいではないか。そこまでやる気であるのならば。」
「え?」
振り向くとそこには美城専務が立っていた。その後ろには工藤忍と辻野あかりも首を傾げて立っている。後、何故か専務の口元には生クリームが付いていた。
「あの専務、口元に………。」
「ああ、すまない。………羽田リサ。綾瀬穂乃香とガンプラバトルをしたいという気持ちは本物なのだろうな?」
「はい!今度こそ負けられないんです!」
「ならば、我が社のシミュレーターを使うといい。他社のアイドルのデータが取れるとなれば、池袋晶葉達を始めとしたアイドルが喜ぶだろう。」
(この事務所、どうなってるんだろう………。)
綾瀬穂乃香、工藤忍、辻野あかりの3人は専務が統括するこの事務所………通称346プロと呼ばれる事務所のアイドル達の個性の暴力っぷりを思い描き、改めて不思議な気分になる。
「決まりね!さあ、綾瀬穂乃香!アンタのガンプラを見せなさい!私のガンプラでその自信事、粉砕してあげるわ!」
「お手柔らかにお願いしますね、リサちゃん。」
綾瀬穂乃香と羽田リサ達は、専務に連れられて事務所内のシミュレーター室へと向かった。
――――――――――
「やあ、専務。直々に来るとは私に何か注文かね?」
「シミュレーターを使わせてほしい。我が社への挑戦者が現れた。」
「成程………いいデータが取れそうだ。泉やマキノ達が喜びそうだな。」
穂乃香達がレッスンルームの外れに作られたガンプラバトルのシミュレーター室へ入ると、池袋晶葉の歓迎を受ける。晶葉はロボの作成に関しては天才的で、このシミュレーターの開発のメインを務めていた。尤も、彼女を手助けできるアイドル達も多数いる時点で、この事務所の魔境っぷりが分かる物だが。
「羽田リサです。宜しくお願いします。」
「では、お互いのガンプラは最初に見せ合うか?それとも秘密にしておくか?」
「どうせすぐ明らかになる事ですので、見せ合いたいです。」
リサはそう言うとカバンから自分のガンプラを取り出す。
その機体は黒と白が半々ずつ真ん中で左右に分かれて彩られた鳥のような機体だった。
「んご!?「インプルース・コルニグス」!?鋼鉄の7人のガンプラです!」
「知っていますか?黒鳥と白鳥を組み合わせたようなこのボディ。バレエをやっていた私にはピッタリだと思ったんです。」
「へー、そういう選び方もあるんだ。………アタシは気持ちよくぶった斬ったりぶん殴れたりするガンプラが性にあうかなって思ってあの機体なんだけれどなぁ。」
「忍さん、ある意味己の欲望に忠実すぎるんご………。自分のバトルスタイルとか憧れのガンダムキャラとか総合的に考える物じゃないですか、普通?」
あかりのツッコミに忍はアハハと笑う。
確かに我ながら単純な理由でフルアーマー・ストライカー・カスタムを選んだと忍も思った。
一度読んだとはいえ、元となったガンダムカタナの漫画の設定をしっかり調べようと決めた。
「凄いですね、リサちゃん。しっかり練り込まれています………。」
「さあ、穂乃香!次は貴女の番よ!自慢のガンプラを見せなさい!」
「はい、私のガンプラはこの子です。」
穂乃香が取り出したのは、青と白のカラーリングが特徴的なゴーグルアイのスリムなモビルスーツだった。飛行機のようなユニットが付いており、空戦用の機体だと分かる。
「カッコいいんご………あれ、でもこれって………?」
「機動戦士ガンダムSEED DESTINYの「ウィンダム(ジェットストライカー装備)」だね。」
その穂乃香のガンプラと忍の言葉を聞き、リサが思わずふらつく。
「よ、よりにもよって量産機………しかもやられ役で有名なウィンダム!?私を舐めてるの!?」
「な、舐めてません!………だって、この子のやられっぷりを見てると愛着が湧いて………。」
その「やられっぷり」のバリエーションは他のガンダム作品と比べても群を抜いて多い。
纏めて蒸発させられるわ、極太ビームで貫かれるわ、ミサイルの雨で撃ち落とされるわ、大剣で斬り払われるわ………。それだけウィンダムのやられ役としてのイメージはファンの間に印象付けられていた。
「柚ちゃんのグサーーーッ!!って刺されるぴにゃこら太を見ていると、この子にもいつかデスティニーガンダムすら超えるような活躍を見せて欲しいと願うじゃないですか!?」
「よ、よく分からないけれど、本当にそれでいいのね!後悔してもしらないわよ!」
穂乃香の身内しか分からない理論にリサは一瞬気圧されるが、強気の表情に戻ると一足先にシミュレーションの準備に入る。
穂乃香も続いてウィンダムと共に戦闘準備に入った。
「専務………この戦い、どうなると思います?」
「モビルスーツの従来の力がガンプラバトルを左右するわけでは無い。………私に言えるのはそれだけだ。」
心配そうな忍達に対し、専務は淡々と答えた。