【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド 作:擬態人形P
「いらっしゃいませ、ようこそ765プロへ!事務員の音無小鳥です。今日はゆっくりしていってね。」
『宜しくお願いします。』
765プロの入口に入った所で今西部長、堀裕子、西川保奈美、神谷奈緒、辻野あかり………そして283プロの福丸小糸を待っていたのは黒髪のボブの女性であった。
彼女は765プロが弱小時代の時から事務員をやっていた人物であり、言わばレジェンド事務員と言える存在であった。
彼女に案内されながら、「控え室」「エントランス」「事務所」「ドレスアップルーム」の4つのメインの場所に案内される。オフやレッスンのアイドルもいて彼女達から挨拶をされるので、それに346と283のアイドル達は礼儀正しく応えていく。
「………なあ、小糸大丈夫か?汗出てるけれど。」
「よ、よゆーですよ!こんなの!雰囲気に飲まれるわけ………。」
「いやー、飲まれる気分も分かるよー?茜ちゃん達も初めて入った時は心臓飛び出そうだったし。」
「まあ、私達も765プロがここまで大きくなった時は目を丸くしたけれどねぇ………。」
これも何かの縁という事で、入り口で出会った野々原茜と秋月律子も一緒に付いて回っている。尤も律子のほうは茜の監視役なのかもしれないが。
「じゃあ、新設されたシミュレーター室にも入ってみましょうか。あ、驚かないで下さいね?」
「んご?あの、小鳥さん、今更驚く事って一体………?」
部屋を開けた所で今西部長以外の一同はやはり驚く事になった。
そこには………。
「遅いですよ、律子さん!………って、保奈美ちゃん達が何で?」
「よ、みんな元気にしてるか?」
「何か楽しそうだね。」
「ふふっ、皆さんも765プロのシミュレーターを使いにきたんですか?」
「は、春菜さん!?つかささん!?朋さん!?………それに、肇ちゃん!?」
保奈美は思わず叫んでしまった。そこには346プロの上条春菜と桐生つかさと藤居朋と藤原肇がいたからだ。
更に、876プロの桜井夢子、315プロの秋月涼、後、何故か961プロの詩花もいる。
「ち、チーム「憧れと好敵手」と「豊穣の色」が揃ってるんご………なして?」
「皆さん、765プロのシミュレーターを活用してたんですか!?」
裕子の言葉に代表してつかさが説明する。
346プロやその近くのゲームセンターだけでは順番待ちの関係で中々使えない事がある。その為、こうして時たま765プロに出張する事を美城専務や担当プロデューサーにお願いしているのだと。
「勿論、穂乃香達のチーム「ガンプラバレエ組曲」やあずき達のチーム「和装の美少女」が来る事もあるな。あ、ちなみに961の詩花が765プロ内を堂々と歩いていられるのは、黒井社長に「実力を見せつけて倒してこい」という「名目」があるからだとさ。」
「社長はそう言っていますけれど、私は765プロの皆さんや律子さん達のチームとガンプラバトルやお喋りができるのが楽しいです♪」
「自由過ぎるだろ、765プロ………。」
奈緒の言葉に思わず同調してしまうあかり達。成程、確かに当初部長が言った通り、これはチームメンバーへの土産話になると、奈緒とあかりは思った。
事務所という枠組みに囚われないチームだと、集まる機会が少なくなるかわりに、こうして外の事務所のメンバーと自由に戦いやすくなるという利点があるのだ。
「………それで、裕子達はチームメンバーを集めに来たのよね?」
「はい。………でも、その前に解決したい事があって。小糸ちゃんのガンプラなんですが。」
「あ、あの………実は………。」
そこで多少後ろで呆然としていた小糸は前に出て説明をする。
自分のガンプラであるオーヴェロンが何故か自分が操った時だけパージできないという事を。
「………本当に厄介な話ね。涼、聞いた事ある?」
「僕は無い。………ねえ、小糸さん。「トランザム」とかは試した事ある?」
「登録されていたエクシアで使った事は一応あります。本当にこの機体だけなんです。」
「そうなんだ。諦めろって意見は飲む気は無いんだよね?」
「はい。だからここに来てバトルのお願いをしに来ました。協力して貰えないでしょうか?」
しっかりした目で見つめる小糸の姿に一同は頷き合う。そういう力強い考え方は全員好きであった。
「じゃあ、やってみましょう。4対4のガンプラバトルを。私はデータ面で観測するから、肇達の「豊穣の色」が戦ってあげて。小糸のチームは………。」
「あ、じゃあ私戦います!」
「私もいいでしょうか?」
小糸のチームに入ってくれると言ったのは裕子と保奈美。2人共ガンプラを持っていた。最後の1人は………。
「えっとそれなら………。」
「ふふ~ん、じゃあ、茜ちゃんが入ってもいい?」
「え?ガンプラ持ってるのか!?」
挙手しようとしたあかりや奈緒を前に、はいはーいと手を上げたのは茜。彼女は自分のガンプラを出すとシミュレーターへと向かって行く。
「事務所混成チームのほうがいいじゃん。大丈夫、茜ちゃん、ちゃんと命令は聞くよ~?宜しくね、小糸ちゃん!」
「よ、宜しくお願いします、皆さん!」
こうして765プロで4対4のチームバトルが始まる事になった。
――――――――――
『それじゃあ、今回のステージは「月面基地」にしときましょうか。』
『んごッ………講習で使った場所ですね。………小糸さん、特別ルールとして、こちらには私と奈緒さんがアドバイザーで入る事になります。』
『何かデータ面で色々あったら報告するから宜しくな!』
「宜しくお願いします!」
小糸はオーヴェロンをセットすると軽く溜息を付く。
いつもは内弁慶な性格が特徴的である彼女であったが、流石に周りが他の事務所の偉大なる先輩方であると中々本来の長所を発揮できないでいた。それでも………。
「いつものように「みんな」に追いつくために「頑張っているわたし」を認める事はできるから………。」
プロデューサーが教えてくれた言葉を胸に、小糸はオーヴェロンをセットする。
電子的なカタパルトへと移行し、発進準備が整う。
「福丸小糸!オーヴェロン、力を貸して!」
『堀裕子!Ξガンダムでサイキックパワー全開!!』
『リ・ガズィ・カスタム、西川保奈美機、出撃します!』
『野々原茜ちゃんのベアッガイが暴れるよ~!』
『藤原肇、ヅダF!参ります!』
『桜井夢子!ザンスパインで勝ちに行くわよ!』
『秋月涼、ガンダムエクシアリペアIIで男らしく行くよ!』
『詩花がνガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型で出ます!』
8体のガンプラはそれぞれ発進していった。
――――――――――
月面基地へと降り立った小糸達は飛び出した岩の影に身を隠すと皆の搭乗機体の確認をする。相手のチーム「豊穣の色」は涼の機体が変わっていた。
『トラップに頼らない機体も作っていたみたいですね。「ガンダムエクシアリペアII」。「機動戦士ガンダム00」に登場する最終決戦用の機体です。』
『武装の豊富な『ダブルオー』じゃなくて、敢えて近接戦闘主体のエクシアリペアIIって所が涼らしいよなぁ………。』
あかりと奈緒の解説を受けながら、小糸達は情報を纏めていく。
次は小糸以外の3人の機体だが、どの機体も独特だった。
裕子の機体は巨大な飛行機のようなトリコロールカラーのガンダム。
保奈美の機体は背中に青いバックパックのような物を背負ったZ顔のガンダム。
茜の機体は小柄なランドセルを背負った熊だった。
『私の機体は小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」に登場する「Ξガンダム」です!サイコミュ無線誘導ミサイルである「ファンネル・ミサイル」でイチコロです!』
『私のガンプラは「CCA-MSV」の「リ・ガズィ・カスタム」よ。「リ・ガズィ」の問題点であった変形機構を改善してモビルスーツ形態とモビルアーマー形態を自由に行き来できるようにしたの。』
『茜ちゃんの熊ちゃんはアニメ「模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG」に登場する「ベアッガイ」だよ~。これでも「アッガイ」を強化してるから戦闘では頼りにしてね~。』
「は、はい………。皆さん、個性的なガンプラ使ってるんですね。」
思った以上に個性的な作品からガンプラを選んでいた一同にビックリする小糸。初めての団体戦による緊張をほぐそうとしてくれているのか、裕子達が笑顔を見せてくれる。
『ガンプラは自由ですから!………ってなワケで作戦どうしましょうか?』
『バトルの経験は相手のほうが多いから、まともに挑むのは危険ね。私と裕子ちゃんが前線に出てかく乱するわ。茜ちゃんは後方支援。小糸ちゃんもそうだけれど、オーヴェロンをパージできるような気がしたら試してみて。エラーが発生した時は茜ちゃんにバックアップ入って貰うから。』
『何か茜ちゃんの負荷大きい気がするけれど了解~。………早速お客様が来たみたいだよ~?』
茜の言葉に一同は見る。
当然、ガンプラバトルである以上、相手は手加減してくれるわけが無い。
ザンスパインのティンクル・ビットの援護を受けたエクシアリペアIIと、νガンダムのフィン・ファンネルの援護を受けたヅダFが突撃して来た。
『行くわよ、みんな!』
保奈美の号令で一同は戦闘態勢に入った。