【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド   作:擬態人形P

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第38話 ツバサ広げて

堀裕子や神谷奈緒のアドバイスがあったとはいえ、野々原茜が駆るベアッガイの活躍は目覚ましい物があった。襲い来る詩花の残りの2基のフィン・ファンネルを両腕の「腕部6連ミサイルランチャー」でそれぞれ撃ち落とすと勝つ事を諦めずに戦っていく。小柄な体型は回避能力に長けており、ある時は上手く月面の窪地に身を隠し、ある時はアクロバットに身を動かしながら戦っていった。

 

(それでもそろそろ限界かな~?)

 

立て続けに迫る波状攻撃で左膝から下と右腕から上はもう無い。ビーム縦笛も消失しており、ランドセルの中にある「6連ミサイルランチャー」も撃ち尽くしていた。

 

「小糸ちゃんに任せるとしても、1機くらいは落としておきたいけれど。」

 

両目から発せられる「頭部メガ粒子砲」を藤原肇のヅダFに当てようとするが、秋月涼が駆るエクシアリペアIIのGNフィールドに阻まれてしまう。その隙を狙って後ろから桜井夢子のザンスパインが、光の翼で迫る。

 

「うわっととと!?」

 

飛び上がる事で避けようとしたが、片足である分、上昇力が足りなかった。右膝から下も斬り飛ばされ、バランスを失って回転する。制御が間に合わない。

 

「まずいかも!?」

 

肇のヅダFがシールド・ピックを構えて迫ってくる。ベアッガイはもう機動力を失っていた。万事休すだな~と茜が思った所で、影が割り込み、その一撃を受け流す。それは、福丸小糸のオーヴェロンだった。

 

「………お、小糸ちゃん復活?でもオーヴェロンのパージはまだ………。」

『茜さん………お願いがあります。』

「なになに?囲まれてるから早くお願いね。」

『わたし、皆さんを「特別」な存在に見てないです。………それでも、一緒に戦ってくれますか?』

「な~んだ。そんな事か。別にいいよ?茜ちゃん達ガンプラバトルの仲間でしょ?年齢も一緒だし、そんな敬語なんて使わないで、保奈美ちゃんも裕子ちゃんも、みんな「対等」な関係でいこうよ!………ってアレ?」

 

 

――――――――――

 

 

茜は気付かなかったかもしれない。

その言葉が小糸にとって、どんなに有り難い物であったか。

 

「私は「みんな」を見ていなかった………。」

 

物陰から出ようとした小糸に西川保奈美が告げた事はごく単純だった。

 

(小糸ちゃんが追いかける3人のように、「私達3人は特別じゃない」。だから、このバトルの内は、その3人を追いかける為に使ってきた頑張りを、「私達の為に使って欲しい」。)

 

「保奈美ちゃんも、裕子ちゃんも、茜ちゃんも………みんな見えてなかった。」

 

浅倉透、樋口円香、市川雛菜。みんな自分が追いかける特別な背中。でも、今この瞬間、自分が共に立っているのは西川保奈美、堀裕子、野々原茜の3人なのだ。

彼女達は特別じゃない。ガンプラバトルという舞台で並んで立っている存在。前を向く事に専念するあまり、横を見渡していなかった。

 

「ねえ、オーヴェロン………今更遅いかもしれないけれど………。」

 

小糸はコンソールを弄る。今度パージに失敗したら敗北は確実だ。でも、今までのように不思議と焦りは感じていなかった。

肇機のヅダFが反転してシールド・ピックを構えて突撃してくる。小糸機のオーヴェロンはベアッガイを庇うようにして立つと、パージのボタンを押した。

 

「わたしの「対等」な仲間の為に………この居場所を守る為に、力を貸して!」

 

 

――――――――――

 

 

ヅダFで突撃した肇は何が起こったか分からなかった。

気が付けば、ベアッガイの周りにジ・Oのようなパーツが散乱し、敵機が消えていた。そして、ヅダFは「ビーム・サーベル」によって真っ二つに斬られていた。

 

『何が………!?………ッ!?』

 

そこで振り返り、ようやく敵の姿を捉える。増加装甲をパージしたオーヴェロンが、その下にトリコロールカラーのガンダムタイプの真の姿を見せていたのだ。

 

『これが、オーヴェロンの真の姿………!?』

「当たって!」

 

小糸の動きは止まらない。そのまま左腕の「シールド」から「拡散メガ粒子砲」を放つ。名前こそその通りの物だが、ガンダムタイプだと威力が上がっており、「ハイ・メガ・キャノン」並の威力を発揮する。それは距離を取っていた詩花のνガンダムを構えた「シールド」ごと呑み込んで消失させる。

 

『そんな………!?』

『このッ!』

「まだッ!」

 

「ビーム・ファン」を両手に携え夢子のザンスパインが迫る。しかし、ビーム・サーベルでそれを受け止めると、オーヴェロンの両膝から何と「隠し腕」が飛び出し、同じビーム・サーベルを掴み、ザンスパインを斬り裂く。

 

『ウソでしょッ!?』

「あと1機………!」

『凄い力だね………でも!』

 

GNソード改のライフルモードで涼のエクシアリペアIIが射撃をしてくる。狙いは厄介な隠し腕。ビーム・サーベルごと全て撃ち落とすが、オーヴェロンはその隙に距離を詰める。

 

『はああッ!』

「えーいッ!」

 

そのままエクシアリペアIIはGNソード改をソードモードにして迫る。対してオーヴェロンは「シールド」が割り、先端のクロー部分からビームを発生させられる「ヒート・シザース」が出現させると、GNソード改をそのまま挟み込む。

 

『この………!』

「お願い………!」

 

ヒート・シザースが貫かれていき、GNソード改にヒビが入っていく。そして限界まで達した途端、両者の主力武器が爆発を起こす。すかさずエクシアリペアIIは「GNビームサーベル」を左手に、オーヴェロンはビーム・サーベルを右手に持ち突き出す。それは、お互いのコックピットを貫き………両機は爆発を起こした。

 

『……………相打ち?アレ?この場合、もしかして………戦場に残ってる茜ちゃんのベアッガイの勝ち?』

『そういう事。………小糸&裕子&保奈美&茜連合チームの勝ちよ。』

 

秋月律子のアナウンスを受け、試合が終了した。

 

 

――――――――――

 

 

試合が終わってシミュレーターから出てきた一同は小糸を見ていた。それもそのはず、武器や機体の性能が奇襲として成立したとはいえ、ほぼ1人で戦局を打開したからだ。

その目を受け、小糸は思わず申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「ご、ごめんなさい………。何かわたしの身勝手の為のバトルになって………。」

「何謝ってるのよ。アンタの実力での勝利でしょ。誇りなさい。」

「え?」

 

腰に手を当てた夢子の強気な声にチーム「豊穣の色」の色のメンバーが笑顔で頷く。

 

「強かったよ、小糸さん。また対戦したいな。」

「私もです♪勿論、裕子さんや保奈美さん、茜ちゃんも凄かったですよ!」

「色々な戦い方があるのだなって勉強させられました。ありがとうございます。」

 

呆然とする小糸に茜が肘でつつき、うんうんと頷きながら言う。

 

「ま、今回はあれだね~。オーヴェロンの真の姿を開放できた小糸ちゃんの執念が勝ったんだろうね~。」

「茜ちゃん………ごめんね、辛い役目強いちゃって。」

「いや~、茜ちゃんは楽しめたから良かったよ~?あ、でも褒めてくれるなら頭なでなでして~♪」

「えっと………こう?」

「うーーーん!もっともっと~~~♪」

 

小糸に頭を撫でられご機嫌になる茜の顔を見て、笑みを浮かべる一同。それは一緒に戦った裕子や保奈美。アドバイスをした奈緒やあかりもそうだった。

調子に乗ったのか、周りのアイドル達にも頭を撫でる事を要求する茜。何故か茜の頭をみんなで、なでなでする時間がしばらく続いた。

その隙を見計らって、保奈美は少し離れた所で携帯端末を弄る。

 

(……………小糸ちゃんはオーヴェロンを使いこなせるようになりましたっと。)

「やっぱり………。」

「!?」

 

声に振り返れば、保奈美の姿を周りから隠すように律子が立っていた。

彼女は保奈美にだけ聞こえる声で言う。

 

「アドバイス貰ってたのね。ノクチルの3人から………。」

「そんな大した物じゃないです。只、3人の小糸ちゃんへの印象をバトルで戦闘不能になった際に聞いたんです………。」

 

多分、小糸には3人に対して何かしらの感情があると思った保奈美は、円香に頼んでノクチルの3人が小糸に対して思っている事をラインで羅列して貰った。

その情報で中学校が1人だけ違っていた事を知った保奈美は、小糸は3人と同じ立場になりたいのではないかと勘付いたのだ。勿論、彼女の詳細な過去までは分からないし、何が彼女をそうさせるのかまでは把握できなかった。

それでも、その僅かな情報を元に、彼女がその幼馴染たちを「特別」だと思っている事を教えてくれたため、ならば、今は特別でない自分達の為にその努力できる自分の力を発揮して欲しいとお願いしたのだ。そして、その事で「特別」にならないといけないという重圧から脱却できた彼女はオーヴェロンを開放する事ができたのだろう。

 

「他に何か掴んだ事はあったの?」

「………無いです。少なくとも私達が言える事は。」

 

本当はもう1つ話したかった事がある。

それは、円香や雛菜等は小糸の努力を認めているという事だ。つまり、彼女の努力する姿勢は他のメンバーに影響を与えているという事。だが、これは保奈美達が話す事ではなく、透を始めとしたノクチルメンバーで今後分かち合っていかないといけない議題だ。

 

「だから、私達が彼女に言える事は、今はここまでです。」

「そうね。後は彼女達に任せましょうか………。」

「大変です、保奈美ちゃん!小糸ちゃんが!?」

「え?どうしたの、裕子ちゃん。」

 

笑顔で小糸(とついでに彼女が手を繋いでいる茜)を引っ張ってきた裕子は手を上げて喜ぶ。

 

「小糸ちゃんが私達のチームに入ってくれるって!」

「私達って………あら?私、裕子ちゃんと組んでたかしら?」

「もう今更ですねー!折角ですから茜ちゃんも含めた4人でチーム結成しちゃいましょうよ!」

「チームって………名前どうするの?共通点無いわよ、私達。」

「うーん………そこは「サイキックお色気16歳」で………。」

「16歳しか合ってる要素無いじゃない!後「ビビッドカラーエイジ」とかのお株を奪うじゃないの!とりあえず肇ちゃんとかに謝りなさい!」

「あ、あのケンカしないで!………もう、このチーム、わたしがいないとダメなんですから!」

 

ぷんすかと怒る小糸の姿に笑いが出るチーム「豊穣の色」を始めとした一同。

結局妥協案として後日リーダーとなった保奈美が付けたのは………「青春の16歳」。

 

小糸は目指す。いつかこのチームのように背中を追いかける3人に並べるように。

 

後日、保奈美の携帯端末にはノクチルの3人からラインが届いていた。

 

「ありがとう」………と。

 

そして、その小糸を見たあかりは………。

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