【デレマス×ガンブレ】シンデレラとガンプラのロンド 作:擬態人形P
「へー、霧子ちゃんってお花好きだったんだ。」
「はい。夕美さんはお花さんが好きなアイドルだって聞きますから、こうして会えて非常に嬉しいです。」
346プロ内を歩きながら、相葉夕美は283プロからの訪問者である幽谷霧子を案内する。
幽谷霧子は「L'Antica(アンティーカ)」というブレイク中の5人ユニットの1人だ。放課後クライマックスガールズとは違った意味で別ベクトルのメンバーが集まったユニットであるのが特徴で、霧子はその最年少であった。
「それで………283プロから車で連れてきてくれた美世さん達を入口で待っていたんだね。」
「晶葉ちゃん達がシミュレーター室に忘れ物をしたって言うから待ってたんですけれど………いいのかな、勝手に346プロのを見ちゃって。」
「大丈夫だよ、そんなやましい物無いし。」
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霧子がこの346プロに着た理由を語るには少し時間を遡る事になる。
社野凛世や福丸小糸の影響で、283プロ内でも「シンデレラとガンプラのロンド」に向けた越境チーム作りに興味を持ち始めた者達が増えており、霧子もその1人であった。
儚げな印象通り心配性な彼女ではあるが、実は割とポジティブな所はある。器用さを活かし、ユニットの仲間と話し合ってガンプラを作ってみた彼女はオフの日の朝方に、283プロ内のシミュレーターでガンプラバトルを経験していた。
「ガンプラバトルって楽しいな………。対CPU戦でも自分の腕を磨けるし。」
「む、283プロの者か。346プロの者だが、システムのグレードアップを行っていいか?」
「………あ、どうぞ。」
すると、そこで丁度、事務員の七草はづきに連れられて、システムのグレードアップ………主に追加ステージのインストールをしに、346プロの池袋晶葉、八神マキノ、大石泉が現れたのだ。それに加えて、後ろから黒いボブの背の高めな女性が出てくる。
「えっと、池袋晶葉ちゃんに八神マキノさんに大石泉ちゃんに………貴女は?」
「あたしは原田美世!車の運転が大好きなアイドルだよ!みんなの手伝いと運転係を兼ねてきたんだ。宜しくね。」
「宜しくお願いします。追加ステージ………色々と戦術の幅が広がりそうです。」
「あ、もしかして自前のガンプラ持ってる?」
「はい………。」
美世の言葉に霧子は青いシャープな姿のガンプラを見せる。何処となく戦闘機のようなイメージがあった。
「「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」の「ブレイヴ指揮官用試験機」さんです。………わたしが左利きなので興味を持って。」
「ブレイヴ!?いいセンスしてるね!チームとか組んだの!?」
「まだです………。わたしと組んでくれる人いるかなって思って………。」
「じゃあ、あたし達と一緒に行こうよ!会社のワンボックスカーだからまだまだ乗れるし、この後、346プロと876プロと765プロにも寄るんだ!きっとチームメンバーが見つかると思うよ!」
「本当………ですか?」
その言葉に実は密かに346プロに興味を持っていた霧子は付いて行ってみる事になった。
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そういうわけで今、彼女はその346プロにいる。
と言っても、建物が広すぎてどこに何があるのか分からないので、こうして夕美に案内して貰ってるのだが。
「チームかー………。じゃあさ、霧子ちゃん。私とタッグ組まない?お花好きの子が1人でも欲しかったんだけれど、346プロ内のそういう子とは大抵ユニット組んじゃっててさ。美城専務の提示したタブーに引っ掛かっちゃうんだよね………。」
「本当ですか………?わたしで良ければ、喜んで組みます。………あ、作ったガンプラさんも聞いてもいいですか?」
「「機動戦士ガンダムAGE」の「フォーンファルシア」だよ。お花をモチーフにした機体だからガンプラを作ってみたんだけれど………。」
そう言って薄いピンクの妖精のようなガンプラを見せる。ブレイヴが戦闘機なら、フォーンファルシアは魔法少女というイメージが似合うかもしれなかった。
「似合うと思いますよ。お花さんを愛する夕美さんなら、フォーンファルシアさんも応えてくれます。」
「ありがとう!………よーし!この調子で後2人も集めちゃおう!」
エイエイオーと手を上げる夕美。くすりとにこやかに笑う霧子と共にシミュレーター室へと入って行った。
「あ、ゴメン………霧子ちゃん!って何だ、もう組むことができたんだね。夕美ちゃんとならいいコンビになれそう!」
部屋の中では忘れ物を探している美世達に出会う。どうやら定期的なメンテナンスとか色々あるお陰で探すのに手間取ったらしい。
「346プロのシミュレーターさん達は凄いですね………。」
「色々あったからねぇ。でも、数こそ少ないけれど、283プロのシミュレーターも最新の物にグレードアップしてあるから大丈夫だよ!」
笑顔で応える美世に対し、夕美は少し疑問に思ったので聞いてみる。
「ねえ、美世さん。ガンプラは持って無いの?」
「あー………。あたしは、こうやってみんなのガンプラやシミュレーターのメンテやってるから、まだ自前のは作ってないかな。………でも大丈夫!あたしのガンプラ魂は巴ちゃんに託したから!!」
「?」
美世の言葉に対し疑問を抱いた霧子に、夕美は説明する。
村上巴………彼女は赤い髪が印象的な演歌が命の少女だ。
和が大好きで、実は工藤忍が太刀「フカサク」を持つフルアーマー・ストライカー・カスタムを選んだのは、元々巴が趣味である漫画の「機動戦士ガンダム カタナ」を勧めたという理由があるからだ。
そんな彼女に美世は何を伝授したのだろうか………?
「まあ、多分巴ちゃんもチーム集めをしていると思うから、きっと後で分かるよ。」
「は、はい………。」
「………あったわよ、晶葉!これで、876プロに行けるわ。」
マキノの声に一同が振り向く。どうやら、データ拡張用のハードディスク類らしい。晶葉が説明するには、876プロは283プロ並に小さいプロダクションなので、色々とグレードアップをするには道具がいるらしい。
こうして一同は、876プロへと車を走らせる事になった。
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876プロの事務所は雑居ビルの2階に位置し、1階には写真店がある。そのオフィスの部屋で、今日オフのアイドルであるアホ毛で茶髪の小柄な少女………日高愛は社長である石川実に頼まれて、人を待っていた。
今の876プロは315プロとの兼任である秋月涼も含めれば、5人のアイドルがいる。みんな実力はあるが、数の少なさ故か、外装は弱小事務所であった。
そして、そんな彼女のプロダクションにも「シンデレラとガンプラのロンド」の話は伝わっており、また、涼と桜井夢子が他の事務所のアイドル達とチームを組んだという情報ももう広まっていた。
「いいなー、アタシもガンプラやっと組むことができたしチーム組みたいなー。でも、そう簡単にガンプラのチームなんて………。」
愛は何かモヤモヤとした想いを抱く。
もっと色んな事務所の色んなアイドル達と関わってみたかった。
オフの日くらい、楽しくガンプラバトルをしてみたかった。
「よし!決めた!探しに行こう!アタシと組んでくれる人!自分から行動しないと!!」
一度決めたら突撃するのが豆タンクと呼ばれる彼女。すっかり社長との約束を忘れて事務所の扉に向けてダッシュしてしまった為に………。
バチーーーン!!
「いたーーーッ!?」
「す、すまない!?大丈夫か………?」
晶葉が開けた扉に勢いよくぶつかって昏倒してしまう。
慌てて謝る彼女であったが、その後ろに愛は見た。
奇妙な顔でこちらを見るマキノと泉と美世の姿を。
そして、更にその後ろにガンプラを持っていた夕美と霧子の姿を。
「おい、しっかり………。」
「そこのガンプラを持っている人!一緒にチームを組んで下さい!!」
勢いよく起き上がると晶葉達の横を猛ダッシュで駆け抜け、夕美と霧子の手を握り、持ち前の大声で叫んだ。