Go To COSMOS   作:ryanzi

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言い訳(という名の重要な補足)

現時点での地球文明は奇跡論加速器で奇跡論(魔法)の研究をしています。


奇跡論少女たち

〈・・・海鳴宇宙港所属の宇宙船により、伊藤誠の登場していた船は破壊されました。なお、船に残されたと思われる美術品は破壊されたものと思われます〉

 

(僕の帰った後に宇宙戦争!?)

 

一瞬、牛乳を吹き出しそうになった泰平。

 

(だ、誰も死んでないよね?)

 

〈伊藤誠はヨコハマ宇宙港所属職員によって連行されました。この事件による死傷者はいません〉

 

(良かった・・・)

 

泰平は安堵のため息をつく。

 

〈・・・誤りがあったことをお伝えします。容疑者の名前を伊藤誠とお伝えしていましたが、正しくはマコト・グラウカでした。お詫び申し上げます〉

 

(すごい間違いだな・・・)

 

 

 

それから数日は少し忙しかった。何しろ、エウロパ開発と並行して土星の衛星であるタイタンの開発も進めなくてはいけなかったからだ。なんか掘削船に奇跡論技術の装備が追加されていたが、気にしなかった。

 

「エーテル機動に加えて、Nフィールド航行、それに奇跡論もある程度実用化できるようになったし、やることいっぱいだ」

 

・・・泰平本人は、その忙しさを楽しんでいたが。

 

「土星の輪の上に結婚式場?へえ、面白そうですね」

 

なんか変な依頼も舞い込んできたが、気にしなかった。

 

「奇跡論技術によるワープができるかもしれない?研究を進めてください」

 

とにかく忙しかったが、泰平は楽しかった。

 

 

 

「さすがに休んだ方がいいんじゃないか?」

 

史強がそう助言した。

 

「そうですか?」

 

「ああ、鏡見ろ」

 

そう言われて、鏡を見る。

 

「目のクマがひどいですね」

 

「お前、家に帰った後、何してるんだ?」

 

「自由帳に考案した宇宙船の絵とかアイデアを書き込んでいます」

 

「もうすぐ連休だろ。その時に温泉にでも入ったらどうだ」

 

「・・・確かにそうですね」

 

宇宙飛行士たちは有能で、汪淼も一応は管理人でもある。

 

「・・・それでは、少しお暇をいただきます」

 

「おう、しっかり休んでこい」

 

 

 

 

「しかし、お父さんもお母さんも急に仕事が入って、僕一人で温泉に行く羽目になってしまった」

 

なんやかんやで温泉旅館の前にたどり着いた泰平。

 

「うわ、ここからでも見える」

 

泰平の視線の先には軌道エレベーターの光。

史強の説明したところによると、時間帯によって光を調節しているらしいが。

とりあえず、旅館に入ってチェックインする。

 

「さて、この近くには何が・・・なんだこれ?」

 

イベントのポスターが貼ってある壁、その壁に一枚のポスターがあった。

 

『だまされるな!Lobotomy=kerbal!』

 

「なんだ、ASPのポスターか」

 

泰平は無視した。Anti Space Program、宇宙開発に反対する団体だった。

 

(気にしてもしょうがない)

 

そう思いながら、部屋に向かっていった。

 

 

「さて、いきなり温泉に入るのもあれだし、ちょっとアイデアでも書くか」

 

バッグから自由帳を取り出そうとする。だが、見覚えのない腕時計が入っていた。

 

「うん?」

 

その腕時計と一緒に、見覚えのないメモもあった。

 

『泰平、念のため、この腕時計型奇跡放射能計測器をつけとけ 史強』

 

「・・・」

 

とりあえず、つけてみる。すると、浮遊ウィンドウが浮かび上がった。

 

「まって、これ目立つ」

 

試行錯誤の結果、なんとか普通の腕時計に見せかけることができるようになった。

 

「・・・まあいいか」

 

 

 

いっぽうたど・・・海鳴宇宙港。

 

「あっ、こりゃ酷い」

 

「どうしたんだ史強」

 

「ソフォン・システムで温泉観測をしようと思ったんだ」

 

「天体観測みたいに言うんじゃない。それで、どうしたんだ」

 

「旅館の周りに、高町なのは、フェイト・テスタロッサがいやがる」

 

「計測器を持たせてといて正解だったな」

 

「残念ながら、それだけじゃない。暁美ほむらが近づいている」

 

「ちょっと待て、それって・・・」

 

「ああ、旅館は監視不可能になる。泰平に何かあっても、俺たちには知る手段がない!」

 

「な、なんてこった!」

 

 

 

〈注意!現在この計測器はソフォン・システムの監視下にありません!〉

 

突然、浮遊ウィンドウが立ち上がったが、泰平はすぐに消した。

 

(・・・前から思ってたけど、ソフォン・システムってなんだろう?)

 

そう思いながら湯船から上がり、浴衣に着替えた。

 

「あー、いい湯だった」

 

久しぶりに生き返った感じがした。

 

「さてと、自販機で何か・・・」

 

「あら、泰平じゃない」

 

アリサがいた。

 

「あれ、アリサさんも温泉に」

 

「ええ、なのはやすずかと一緒にね」

 

彼女の言う通り、高町なのはと月村すずかがこっちを見ていた。

 

(そういえば、すずかさんとは話したことがあるけど、なのはさんと話したことはないな)

 

とりあえず、手は振っておく。笑顔で返してくれた。

 

 

 

自分の部屋に戻る途中、金髪の少女と目が合った。

 

(・・・フェイト・テスタロッサ!たまげたなあ)

 

なんとか動揺を隠した泰平。

 

「あっ、あの・・・、奇遇ですね」

 

・・・一応、泰平は動揺を隠しているつもりだった。

 

「・・・この前のノートは持ってる?」

 

「い、一応は。部屋にありますが・・・」

 

「わかった。それじゃあ・・・」

 

フェイトは自分の部屋の場所を言って、ノートを持ってそこに来るように言った。

 

「じゃあ、また後で」

 

そして去っていった。

 

(・・・確かに、絵に関しては周りの子に負けない自信はあるけど)

 

ふと腕時計を見ると、浮遊ウィンドウが浮かんでいた。

 

〈放射能クラスWAN〉

 

すぐにウィンドウを閉じた。

 

(・・・やばい、見られていたかも。というより、WANってなに?)

 

 

とにかくノートを持って、少女の泊まっている部屋に入る。もちろん、周りの確認は忘れない。

 

(今、一瞬だけほむらさんが見えたような)

 

だが、それを気にすることなく泰平は部屋に入る。

 

「失礼します」

 

部屋の中には少女と、赤髪の女性がいた。

 

(・・・なんだろう、寒気がする)

 

だが、それは気にしないことにした。

 

「えっと、ノート持ってきたけど・・・」

 

たどたどしくノートを手渡す。

少女はノートをめくって、それをじっと見つめる。

 

「・・・すごく上手いですね」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

「ところで、この前見せてもらった絵と同じ見た目の宇宙船が飛んでいましたが」

 

「あれは偶然だと思います」

 

泰平は部屋に向かう途中で、言い訳を考えていた。

少女は食い入るようにノートをじっと見つめる。

 

「・・・こういった宇宙船のアイデアはどこから?」

 

「えっと、まあ飛べそうな形を適当に思いついているだけなので・・・」

 

また食い入るように見つめる。

 

「この奇跡論というのは?」

 

「本当に適当に考えたものです。エーテル機動だけじゃ物足りなくなったので」

 

実際、奇跡論の理論を応用した部品を搭載した宇宙船は何度か飛ばしているが、まだ世間には知られていない。そういうわけで『適当に考えた』という言い訳が妥当だと泰平は考えた。

 

「・・・すごいと思います。適当に考えたという割に、ものすごく整った理論が展開されているので」

 

「いえ、それは本当に適当に考えただけなので」

 

泰平は焦った。

 

(やばい、メモ見られちゃってる!)

 

「・・・少し気になったのですが」

 

「はっ、はい」

 

「これに書かれている絵と同じ見た目の宇宙船が、何回も宇宙に飛んでいるのを見たような気が・・・」

 

「偶然です」

 

泰平の自由帳に書かれている宇宙船は、将来的に飛ばす予定の宇宙船なのだ。

 

「・・・すごいですね。ここまであなたの想像力が今の宇宙開発に追いついているなんて」

 

「でも、それは本当に適当に考えただけで・・・」

 

「それでも、すごいと思います」

 

そう言う少女は微笑んでいた。

 

(可愛い子だな・・・。でも・・・)

 

それでも、どこか寂しい瞳だった。

 

「・・・一枚だけ、くれませんか」

 

「いいですよ」

 

泰平は躊躇いもなく、ノートから一ページだけ破り取った。

 

 

 

泰平が部屋から去った後、フェイトが口を開く。

 

「・・・やっぱり、あの子関わってるよ」

 

「Lobotomy計画とかに?さすがにないだろ」

 

「でも、アルフも見たはずだよ?あの子が描いていた宇宙船が空を飛んでいるの」

 

「確かにそうだけど・・・」

 

フェイトは泰平からもらった絵を見つめる。

その絵の横には『奇跡論』に関するワープ航法に関する知識が書かれている。

 

『奇跡論によるワープ航法は以下の回路によって・・・』

 

その下に回路図が描かれていた。

 

「・・・この回路図、けっこう魔法陣に近いし、あの子が描いた絵と似た宇宙船からは魔力も感じられるようになった。もう想像力が高いなんて話じゃないよ」

 

「でもさ、放っといてもいいだろ。別にジュエルシード回収の邪魔にはならないし」

 

「・・・なにか嫌な予感がする」

 

「そうか?」

 

 

 

深夜、泰平は少し眠れなかった。

 

「・・・ちょっと散歩してみるか」

 

浴衣から着替えて、腕時計をつける。

月光と軌道エレベーターの光が外を幻想的に照らす。

 

「・・・そもそも、どうやって光ってるんだろう?」

 

また汪淼にでも聞いてみようと泰平は思った。

 

「それにしても・・・やっぱり綺麗だな」

 

泰平は軌道エレベーターを見て思った。

 

「・・・この時を待っていた」

 

暁美ほむらが立っていた。だが、その服装はどこか変わったものだった。

 

「あれ、暁美さん?どうしてここに?それとその恰好は・・・」

 

「・・・悪いけど、質問に答えることはできない」

 

そう言って、ほむらはどこからか銃を取り出して、それを泰平に向ける。

 

「要求はひとつ、管理人をやめてちょうだい」

 

「な、何を言ってるの、暁美さん、僕はただの小学三年生で・・・」

 

泰平は何も知らないふりをする。

銃は明らかにおもちゃには見えない。

 

「管理人、あなたなんでしょ?」

 

「暁美さん、海鳴宇宙港の管理人は汪淼さんで・・・」

 

「どうして、『さん』付けなのかしら?知り合いではないのよね?」

 

「あっ、それは、その、個人的に尊敬していて・・・」

 

泰平はうろたえる。

 

「泰平君、あなたはウソをつけるような人間じゃない。三年間もあなたのクラスメイトだったし、それに・・・私の知っている人によく似ているから」

 

「・・・どうして、僕が管理人だと?」

 

「・・・奇跡論だったかしら?権力者どもは機械でしか使えないようだけど、私は生身で使えるの」

 

そう言うと、ほむらの姿は消えた。

 

「たとえば、そんな感じにね」

 

頭に銃の感触が伝わる。泰平の背後にほむらがいるのだ。

 

「・・・ワープ?」

 

「そう捉えてもらっても構わないわ。・・・実際は違うけどね」

 

また泰平の正面に移動する。

 

「これであなたの動向は確認できたの。・・・わかっていると思うけど、この銃は本物。要求はのんでもらえるかしら」

 

「・・・どうして、僕に、管理人をやめてほしいの」

 

「・・・言ったとしても、わかるわけない。あなたができるのは要求をのむことだけ」

 

泰平に与えられた選択肢は二つ。管理人をやめると約束することで、この場をしのぐこと。もう一つは、ここで拒否することで撃ち殺されること。

 

「・・・」

 

泰平は深呼吸する。

 

「・・・断ります」

 

泰平は生きることよりも、宇宙開発を選んだ。

 

「・・・泰平君はそういう人だっていうの、忘れてた」

 

ほむらは泰平に向けていた銃を、彼女自身に向けた。

 

「要求はさっきと同じ。管理人をやめてちょうだい」

 

これはある意味、泰平の性格をよく知った上での行為だった。

泰平に与えられた要求はある意味では先程と同じといえる。管理人をやめると約束することで、彼女の命を救うこと。もう一つは、ここで拒否することで彼女を殺すこと。

 

「・・・」

 

数秒、その間に泰平は決断を下した。

 

「・・・わかった。管理人やめ・・・」

 

その時、大型の犬が突然現れて、ほむらの腕にかみついた。

 

「くっ、こんな時に・・・」

 

ほむらは犬を蹴り飛ばす。だが、その瞬間。金色に光る球状の何かが彼女の背中に当たり、彼女は遠くのほうまで飛ばされた。

 

「・・・いったい、何のつもり」

 

ほむらの口からは血が出ていた。

 

「あ、暁美さん!」

 

泰平はほむらに駆け寄ろうとするが、彼の前に球状の何かが着弾した。

 

「さっきから、いったい何が・・・」

 

泰平が振り向いた先、そこにいたのは光る鎌を持ったフェイト・テスタロッサだった。

 

「えっ、ど、どういうことなの」

 

「・・・会話は聞いてた」

 

それだけ言って、少女は何らかの方法でさらに球状の物体を生成する。

 

「ま、まさか奇跡論・・・!?」

 

「・・・」

 

少女は何も言わずに、それをほむらのほうに飛ばそうとする。ほむらは避けれそうになかった。

 

「待ってください、フェイトさん!彼女は・・・」

 

「・・・どうして、私の名前を知ってるの?」

 

「あっ、それは・・・」

 

球状物体は、かすかに動く。それも、泰平の方向に。

 

「答えて」

 

このままでは、球状物体は泰平に向かって飛んでくるだろう。

だが、泰平はそれでも、何かを隠し通そうとした。

 

「・・・すみません、答えることはできません」

 

泰平自身、もう無意味だというのはわかっていた。

 

「・・・もう一度聞く、どうして私の名前を知っていた?」

 

球状物体はほむらの方に近づく。フェイトもほむらの方を向く。

つまりは、そういうことだった。

 

「・・・暁美さんは関係ありません」

 

「答えになってない、早く答えて」

 

すでに選択肢はなかった。

 

「・・・それは史強さんに」

 

その時、ピンク色の球状物体がフェイトに向かって飛んでくる。

ほむらとは違い、フェイトは軽々とそれを避けた。

 

「・・・アルフ、撤退するよ」

 

フェイトと大型犬はその場から去っていった。

 

「いったい誰が・・・」

 

泰平の視線の先、そこには高町なのはが浮かんでいた。

 

「だ、大丈夫なの!?」

 

「僕は大丈夫ですが・・・」

 

泰平は暁美ほむらが倒れていた場所を見る。だが、彼女はすでにいなかった。

 

「・・・確か、大山泰平君だったけ?アリサちゃんから話は聞いたことあるけど」

 

「はい。・・・ところで、もしかしてなのはさんは『魔法』が使えるのですか?」

 

泰平は奇跡論という単語は使わなかった。あえて、『魔法』と言った。

 

「う、うん。泰平君も・・・」

 

「いえ、僕は使えません」

 

「・・・確かに、魔力は感じないの」

 

おそらく『魔力』というのは奇跡放射能というのと同じだろう。

 

「・・・なのはさんは、さっきの金髪の子について、何か知っているんですか?」

 

「・・・私と同じようにジュエルシードを集めていることしかわからないの。お話聞きたいのに・・・」

 

なのはの表情はどこか悲しげだった。

 

「・・・僕にも、何か手伝えることはありませんか」

 

泰平は何か情報が欲しかった。

 

「ごめんなさい。これ以上、関係のない人をを巻き込むわけにはいかないの」

 

「いえ、もう僕にも関係する話です。せめて、話だけでも・・・」

 

「ごめんなさいっ!」

 

そう言って、なのはは飛んでいってしまった。

 

「まだ何も聞いてないのに・・・」

 

月とエレベーターの光が、ひとりぼっちの泰平を照らす。

 

(それにしても、まさか僕の身近に三人も奇跡論を生身で使える人がいるなんて。また史強さんに相談しよう)

 

 

つづく




い っ ぽ う た ど こ ろ

史強「やべえ、こんな時間だ」

汪淼「だから酒飲みながら話すのはよしておこうと言ったじゃないか」

史強「そうはいっても、ソフォンが使えないんじゃ・・・」

汪淼「そのまま助けに向かえば良かったんじゃないか?」

史強「その手があったか。しかし、頭が・・・」

汪淼「・・・私も二日酔いだ」

史強「まあ、アイツだったら何かあっても大丈夫だろう」

汪淼「そうだな」




















『三体』出身のキャラなんてこんなもんですよ。
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