生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
屋上での出来事があった夜、姉さんが来た。
「いや~、隼人もやらかしてくれたね」
「姉さんはどこまで知ってたのかしら?」
「え~、何かな~?」
「とぼけないで。どうせ比企谷君を脅したんでしょ?」
「脅したなんて人聞きの悪い。ちょっとお願いしただけだよ」
比企谷君が不憫だわ。
「はぁ~、それで葉山君はどうしたの?」
「別にどうもしないよ。ちょっとお説教しただけ」
その『ちょっとお説教』が恐ろしいのだけど…。
「一緒に三浦ちゃんて娘が来たんたけど、あの娘に任せたよ。それで次はないってことでおしまい」
「それだけ?」
「そうだよ。あの三浦ちゃんて、本当に隼人のことが好きなんだね。隼人の為に泣いてたからね。隼人も隅に置けないなぁ」
三浦さん、そこまで葉山君のことを…。
「それより!」
「な、なによ」
「『私の大切な人を傷つけないで』って。大切な人って誰かなぁ?」
「そんなこと言ってないわよ」
言ってないわよね?
………。
…。
言ったわ。
それで比企谷君は耳が赤かったのね…。
「そ、それは言葉の綾というかなんというか…。そ、そう!由比ヶ浜さんのことよ」
「へ~、あの場面でガハマちゃんてことはないよね~」
「うぅ…、い、いいじゃない別に!」
「あれを聞いて比企谷君はどう思ったのかなぁ」
「やめて、姉さん」
明日、比企谷君の顔が見れない…。
「でも、これで比企谷君も意識してくれるんじゃない?」
「そ、そうかしら?」
「あの『理性の化け物』をモノに出来るのは雪乃ちゃんだけだよ」
「そ、そうかしら」
「あっ、雪乃ちゃん、可愛い顔になった」
「もう、姉さん!」
そんなやりとりをした次の日の放課後。生徒会室に行くと扉の横に寄りかかる比企谷君が居た。
どんな顔すればいいかしら…。
「よう」
「あら?誰も居ないはずなのに声がしたわね」
また、やってしまったわ。
「おい」
「冗談よ。こんにちは、比企谷君」
「由比ヶ浜からも聞くと思うが、俺からも報告だ」
「伺うわ」
「葉山と三浦が謝ってきた。三浦が側にいて、こういうことがないようにするとさ。何かあったら、雪ノ下さんに報告するそうだ」
「そう」
「海老名さんは、グループを抜けたみたいだけど、三浦や由比ヶ浜とは話をしていた。海老名さんのフォローを川崎に頼んだよ。あの二人、意外と仲がいいからな」
「相変わらず、お人好しなのね」
「ほっとけ。あと戸部にも謝られた。いつか自分の力で海老名さんを振り向かせるってさ」
「そう」
戸部君も本気で海老名さんのことを好きなのね。
「まぁ、そんな感じだ。俺としては、雪ノ下に助けられたかな。その…、あ、ありがとな」
「私の方こそ、ありがとう」
「なんか、雪ノ下にお礼言われることあったか?」
「さぁ、何かしらね」
「なんだそりゃ。じゃあ、俺は部活行くわ」
「そう。では、また明日」
「お、おう」
比企谷君と会話が出来て浮かれた気持ちで生徒会室に入ったのだが、副会長からの報告でどん底に突き落とされた。