生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡   作:おたふみ

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15話

翌日放課後。

一旦、生徒会に顔を出し、助っ人を連れてくると言い残して、奉仕部へ向かう。平塚先生には根回し済み。比企谷君、どんな顔をするかしら。

 

部室の扉をノックすると『どうぞ』という比企谷君の声。

中に入ると、比企谷君と平塚先生が居る。

 

「失礼するわ」

 

「よう。今日はどうした?」

 

「ここは奉仕部であっているわよね?」

 

「ど、どうした?雪ノ下」

 

「どうなのかしら?」

 

「そ、そうだが…」

 

「この奉仕部、部活動の要件を満たしてないのだけど」

 

「今さらかよ…」

 

「部員一人で空き教室ひとつ使っているのは、どうなのかしら?」

 

「そんなこと言われてもだな…。雪ノ下だって知ってるだろうが」

 

「これは由々しき事よ」

 

「いや、だからな…」

 

「よって、奉仕部に廃部を言い渡します」

 

「雪ノ下、どういうつもりだ?」

 

そ、そんなに睨まないで。

 

「しかし、活動理念は素晴らしいものね。何だったかしら?『飢えた人に魚を与えるのではなく、捕り方を教えて自立を促す』だったかしら」

 

「確か、そんな感じだ。で、どうするつもりなんだ?」

 

焦らないで。これからが本題だから。

 

「その理念を持った部を、ただ廃部にするのはもったいない。では、どうするのか?」

 

「雪ノ下、まさか…」

 

さすが比企谷君、勘がいいわね。

 

「奉仕部を生徒会へ合併します」

 

「やっぱり…」

 

平塚先生、肩が震えてますよ。そんなに笑わないでください。

 

「くくくっ!さて比企谷。君はどうするのかね?」

 

「平塚先生、雪ノ下とグルだったんですね?」

 

「さぁな。君たちが面倒臭い性格をしているのが悪い」

 

「比企谷君?」

 

「はぁ、やられたよ。生徒会に入るよ」

 

「そう」

 

諦めた比企谷君と生徒会室に向かう。

 

「何なんだよ、あの三文芝居は…」

 

「何の事かしら?」

 

「無かったことにしやがった。素直に『手伝って』と言えないのかよ」

 

「『手伝って』だったら、その場限りじゃない。私は貴方と…」

 

「俺と?」

 

もう!察してよ!

 

「貴方と一緒に居れないじゃない…」

 

は、恥ずかしい!

 

「そ、そうか…」

 

「比企谷、私の前でイチャコラするとはいい度胸だな…」

 

あ、平塚先生、居たのね。

 

「い、イチャコラなんてとんでもないですよ…。て、いうか先生はどちらに?」

 

「私は生徒会の担当教諭だ!」

 

生徒会室に戻ると、『ヒッキーが来た!』と由比ヶ浜さんがピョンピョン跳ねて喜んでいた。

…、由比ヶ浜さん、お願いだから跳ねないで。体の一部が大暴れしてるわよ。

 

「比企谷君、早速だけどこのボイスレコーダを聞いてもらえないかしら?」

 

「これは?」

 

「海浜総合との合同クリスマスイベントの会議よ」

 

「ほ~ん」

 

ボイスレコーダーを聞いていると、みんな渋い顔をしていた。

 

「なんだこれは。まるで中身がない…」

 

比企谷君も眉間にシワを寄せている。

ある一部に差し掛かった時だった。

 

「ん?本牧、海浜側の名簿あるか?」

 

名簿?誰か知り合いでもいるのかしら…。

 

「…なんで居るんだよ」

 

「比企谷君、何か?」

 

「いや、なんでもない」

 

ちょっと辛そうな顔…。

 

一通り聞き終ると、全員グッタリしている。

 

「雪ノ下」

 

「何かしら?」

 

「よくキレないで我慢したな」

 

ひ、比企谷君が誉めてくれた。

 

「え、ええ。由比ヶ浜さんが止めてくれたのよ」

 

「そうか。由比ヶ浜、ありがとな」

 

「えへへ」

 

「さてと」

 

比企谷君がポンと手を叩き、話を始めた。

 

「藤沢、スケジュールを見せてくれ」

 

「はい」

 

「このままだと、無理だな」

 

「えぇ、そうなのよ。どうしたらいいのか…」

 

「なぁ、海浜が居ないとダメなのか?」

 

え?

 

「これは、向こうから提案してきたことよ」

 

「まぁ、そうだな。じゃあ、向こうさんには名目だけ参加してもらって、こっちだけで進めよう」

 

「比企谷君、どういうことなの?」

 

「このまま行けば共倒れだ。と、いうか海浜に道づれにされる。だから、名目は合同だが別々にする」

 

「そ、そんなことが出来るのかしら…」

 

「出来るさ。それには雪ノ下、お前が必要だ」

 

ひ、比企谷君、そんな目で見られたら…。

 

「ひ、ヒッキー!私は?」

 

「もちろん、由比ヶ浜の力も

貸してもらう」

 

「やった~!」

 

「先輩、私は!」

 

「はいはい、あざといぞ~」

 

「あざといことなんて言ってません!」

 

「藤沢、会議の録画って名目でビデオカメラ借りられるか?」

 

「大丈夫だと思います」

 

「本牧、次の会議にはしっかり総武の意見をぶつけたい。各方面の根回しを頼みたい」

 

「わかった」

 

「さて雪ノ下会長、イベントの演目を決めようか。5つぐらいは提案したい。実際に出来るのは2~3だろうがな」

 

「では、みんな、意見はあるかしら」

 

比企谷君はすごい。私には思い浮かばないような発想だ。

それに、私を頼ってくれた。

 

でも、名簿を見てた時の顔…。

 

 

その後の会議は順調に進み、次の合同会議に備え解散となった。

 

帰り際、比企谷君を呼び止める。

 

「比企谷君」

 

「ん?」

 

「あの…、海浜の名簿見ていた時に

…」

 

「あ、あれか…。ちょっとな、同じ中学だったヤツの名前があってな…」

 

「それは、会いたくない人なの?」

 

「まぁ、出来ればな」

 

「ごめんなさい、私知らなくて」

 

「いや、雪ノ下は悪くない。むしろ、黒歴史を払拭するチャンスだよ」

 

「それならいいのだけど…」

 

「それに、上手く転べば利用出来るしな」

 

比企谷君が悪巧みしてる顔をしている。

 

「気持ち悪い笑い方ね」

 

「ほっとけ」

 

いつもの比企谷君の顔に戻った。

 

「なぁ、雪ノ下」

 

「何かしら?」

 

「ちょっと乱暴なやり方になるかもしれない」

 

「ええ」

 

「でも、俺一人じゃ出来ないやり方だ。すまんが、力を貸してくれ」

 

「比企谷君…。私の方こそ、巻き込んでしまって、ごめんなさい」

 

「気にするな。俺は雪ノ下の力になれて嬉しいんだ」

 

もう!比企谷君、なんでそんなこと言うのよ!ズルいわよ!ますます好きになっちゃうじゃない!

 

「どうした?顔が赤いが…」

 

貴方のせいよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

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