生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡   作:おたふみ

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19話

合同会議が海浜側から翌日に延ばして欲しいとの連絡があったで、こちらで出来る作業をする。

 

生徒会で予算配分や関係各所へ連絡をしていると、扉がノックされた。入ってきたのは比企谷君達と同じクラスの川崎さんだった。

 

「アンタ達、クリスマスにイベントやんの?」

 

「ええ、そうよ。それが何か?」

 

「うちの妹の幼稚園も参加するらしくてさ…」

 

「あら、そうなの」

 

「それでさ…、あのさ、なんか手伝えることがあったら、参加させてほしいんだけど…」

 

川崎さん、なんで比企谷君の方をチラチラ見ているのかしら?

 

「ん?いいんじゃねぇの。準備が本格的に始まったら人手は欲しいしな。なあ」

 

「サキサキ、裁縫とか得意だよね?」

 

「まあ、出来るけど…」

 

「ゆきのん、子供の衣装とかやってもらおうよ!」

 

はぁ、ライバルを懐に入れるカタチになってしまうわね。

 

「では川崎さん、お願いするわ。細かいことは由比ヶ浜さんから伝えてもらうようにするわ」

 

「ありがとな、川崎。助かる」

 

「まぁ、別に…」

 

比企谷君、なんなのその笑顔は!川崎さんも赤くならないで!

 

川崎さんが妹さんを迎えに行くというので、挨拶も兼ねて同行させてもらった。勿論、比企谷君も一緒に。比企谷君に仕事を割り振らなくてよかったわ。

 

幼稚園に着くと妹さんらしき娘が駆け寄ってきた。

 

「さーちゃん!」

 

「けーちゃん、走ったら危ないでしょ」

 

「は~い」

 

そういうと、川崎さんの後ろに隠れてしまった。

 

「このひとたちだれ?」

 

「ん?さーちゃんのお友達だよ。ご挨拶は?」

 

「…こんにちは」

 

小さな声で挨拶をしてきた。怖いのかしら?

そう思っていると、比企谷君がしゃがみ妹さんと目線をあわせる。

 

「こんにちは。お兄ちゃんは比企谷八幡っていうんだ」

 

「ひきがやはちまん?」

 

「そう、八幡。お名前教えてくれるかな?」

 

「かわさきけいかです」

 

「よろしくね、けーちゃん」

 

「うん!はーちゃん」

 

とてとてと比企谷君の前に行く。

 

「はーちゃんか」

 

「はちまんだからはーちゃん」

 

「そっかぁ」

 

比企谷君はそう言って京華ちゃんの頭を撫でた。京華ちゃんも嬉しそうにしている。

 

「こっちのお姉ちゃんは雪ノ下雪乃だ」

 

「こんにちは、京華さん」

 

「う~んとね…、こんにちは、ゆきちゃん」

 

「ゆきちゃん?」

 

「うん、ゆきちゃん!」

 

「そ、そう…」

 

ま、まあ、悪くないわね。

 

「けーちゃん、はーちゃんとさーちゃんとゆきちゃんは先生とお話してくるから、もう少し待てるかな?」

 

「うん!まってる」

 

「けーちゃんはいい娘だね」

 

また比企谷君は京華さんの頭を撫でた。う、羨ましくなんか…。

 

「いいなぁ…」

 

川崎さん?

 

「川崎、なんか言ったか?」

 

「な、なんでもない!早く行くよ!」

 

「へいへい」

 

幼稚園の先生方と軽く打ち合わせをして幼稚園を出た。

 

京華さんは比企谷君が気に入ったのか、手を繋いで前を歩いている。

 

しばらく歩くと川崎さんが声をかけてきた。

 

「なぁ雪ノ下。比企谷って、あんな感じだったか?」

 

「質問の意味がよくわからないのだけど」

 

「な、なんか、格好よくなってないか?」

 

「そ、そうかしら…」

 

確かに格好よくなったかもしれないわね。保育士さん達が比企谷君を見ていた気がするし…。

 

「さーちゃん、ゆきちゃん、早くしないと置いてくぞ」

 

「さーちゃん、ゆきちゃん、はやく~」

 

まったく、こっちの気も知らないで…。

 

 

 

 

 


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