生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
合同会議が海浜側から翌日に延ばして欲しいとの連絡があったで、こちらで出来る作業をする。
生徒会で予算配分や関係各所へ連絡をしていると、扉がノックされた。入ってきたのは比企谷君達と同じクラスの川崎さんだった。
「アンタ達、クリスマスにイベントやんの?」
「ええ、そうよ。それが何か?」
「うちの妹の幼稚園も参加するらしくてさ…」
「あら、そうなの」
「それでさ…、あのさ、なんか手伝えることがあったら、参加させてほしいんだけど…」
川崎さん、なんで比企谷君の方をチラチラ見ているのかしら?
「ん?いいんじゃねぇの。準備が本格的に始まったら人手は欲しいしな。なあ」
「サキサキ、裁縫とか得意だよね?」
「まあ、出来るけど…」
「ゆきのん、子供の衣装とかやってもらおうよ!」
はぁ、ライバルを懐に入れるカタチになってしまうわね。
「では川崎さん、お願いするわ。細かいことは由比ヶ浜さんから伝えてもらうようにするわ」
「ありがとな、川崎。助かる」
「まぁ、別に…」
比企谷君、なんなのその笑顔は!川崎さんも赤くならないで!
川崎さんが妹さんを迎えに行くというので、挨拶も兼ねて同行させてもらった。勿論、比企谷君も一緒に。比企谷君に仕事を割り振らなくてよかったわ。
幼稚園に着くと妹さんらしき娘が駆け寄ってきた。
「さーちゃん!」
「けーちゃん、走ったら危ないでしょ」
「は~い」
そういうと、川崎さんの後ろに隠れてしまった。
「このひとたちだれ?」
「ん?さーちゃんのお友達だよ。ご挨拶は?」
「…こんにちは」
小さな声で挨拶をしてきた。怖いのかしら?
そう思っていると、比企谷君がしゃがみ妹さんと目線をあわせる。
「こんにちは。お兄ちゃんは比企谷八幡っていうんだ」
「ひきがやはちまん?」
「そう、八幡。お名前教えてくれるかな?」
「かわさきけいかです」
「よろしくね、けーちゃん」
「うん!はーちゃん」
とてとてと比企谷君の前に行く。
「はーちゃんか」
「はちまんだからはーちゃん」
「そっかぁ」
比企谷君はそう言って京華ちゃんの頭を撫でた。京華ちゃんも嬉しそうにしている。
「こっちのお姉ちゃんは雪ノ下雪乃だ」
「こんにちは、京華さん」
「う~んとね…、こんにちは、ゆきちゃん」
「ゆきちゃん?」
「うん、ゆきちゃん!」
「そ、そう…」
ま、まあ、悪くないわね。
「けーちゃん、はーちゃんとさーちゃんとゆきちゃんは先生とお話してくるから、もう少し待てるかな?」
「うん!まってる」
「けーちゃんはいい娘だね」
また比企谷君は京華さんの頭を撫でた。う、羨ましくなんか…。
「いいなぁ…」
川崎さん?
「川崎、なんか言ったか?」
「な、なんでもない!早く行くよ!」
「へいへい」
幼稚園の先生方と軽く打ち合わせをして幼稚園を出た。
京華さんは比企谷君が気に入ったのか、手を繋いで前を歩いている。
しばらく歩くと川崎さんが声をかけてきた。
「なぁ雪ノ下。比企谷って、あんな感じだったか?」
「質問の意味がよくわからないのだけど」
「な、なんか、格好よくなってないか?」
「そ、そうかしら…」
確かに格好よくなったかもしれないわね。保育士さん達が比企谷君を見ていた気がするし…。
「さーちゃん、ゆきちゃん、早くしないと置いてくぞ」
「さーちゃん、ゆきちゃん、はやく~」
まったく、こっちの気も知らないで…。