生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
生徒会長に就任した。明日から引き継ぎなどで忙しくなる。今日は早めに自宅に帰って休んでいる。
枕の横にあるパンさんのヌイグルミを手に取る。そう、あの時のパンさん。プライズだからかもしれないが目の造形が甘い。でも、それが彼の目に似ているのだ。最近、密かに『ハチマン』と呼んでいる。
「ねぇ『ハチマン』。比企谷君は何を考えているのかしらね」
何も答えてはくれない。当たり前だ。
「彼の考えがわからないわ」
思わず『ハチマン』を強く抱きしめてしまう。
「比企谷君…」
あの時の優しい目はなんだったのかしら…。
「八…幡…君…」
「雪乃ちゃん?」
「ひゃぁ!」
突然、声をかけられて変な声を出してしまった。
「ね、姉さん…。いつからそこに?」
「『ねぇハチマン』あたりから」
最初から居たのね…。
「もう雪乃ちゃんたら」
姉さんがニヤニヤしている。
「そ、それで何か用?」
「あ、なかったことにしてる。まあいいけど」
なかったことにしたいわよ、恥ずかしい。
「今日から新生徒会発足でしょ?愛しの比企谷君はどうしてるのかなって」
「彼は奉仕部部長代理になったわ。それと『愛しの』っていうのはどういう意味かしら?」
「だって『八幡君』なんて。雪乃ちゃんが男の子を名前で呼ぶなんて」
「き、気のせいよ!」
「それで?雪乃ちゃんはそれでいいのかな?比企谷君と離れ離れになっちゃって」
「私は私のやるべきことをやるわ」
きっと彼もそれを望んでいるはず…。彼が私を信じて送り出してくれたと思うと、心が温かくなる。
「あっ。比企谷君のこと考えてたでしょ?」
「え?」
「すごい可愛い顔してたよ」
「なっ!」
顔に出てたなんて…。
「まったく、二人とも面倒くさい性格してるよね」
「彼と一緒にしないでくれるかしら」
ん?二人…とも?
「姉さん、何か知ってるの?」
「おっと、危ない危ない。これ以上は言えないかな」
「知ってるのね?」
「お姉ちゃんからのアドバイスです!心の思うままに行動すればいいのよ」
「心の…思うままに…」
「そう!簡単でしょ?」
そこがどうしたらいいのかわからないから悩んでいるのに。
「雪乃ちゃんは、誰と一緒にいたいの?」
そ、それは…、比企谷君よ。
「雪乃ちゃんが一緒に居たい人と離れてしまっているなら、近づけばいいのよ。そうすれば、その相手の考えや思っていることが見えてくるはずだよ」
そうはいっても、あの捻れボッチの考えなんて…。比企谷君の考え方…。きっと斜め下なんでしょうね。
「あ、また比企谷君のこと考えてた」
「なっ!ね、姉さん!」
「怒られる前に退散しよう。じゃあね♪」
「ちょっと…」
まったく、何をしに来たのかしら…。
でも、ヒントにはなったわ。ありがとう、姉さん。