生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
今日は延期されていた海浜との会議だ。
川崎さんは海老名さんを連れて幼稚園に行くと言っていた。川崎さん曰く『海老名は園児とふれあって浄化された方がいい』と言っていたが、比企谷君は『海老名さんの罪ほろぼしの機会を作ってやったんだろ。詳しいことはわかってないみたいだが、海老名さんが俺達に負い目を感じてたのをわかってたみたいだしな』と言っていた。
コミュニティセンターに着くと小学生達がすでに引率の先生と共に来ていた。今回から飾り付け作りを手伝ってもらうのだ。
先生に挨拶をして戻ると、比企谷君が声をかけてきた。
「なぁ、俺は会議出なくてもいいか?」
「何を言っているかしら?サボリ谷君」
「サボリじゃねぇよ」
「じゃあ、何なのかしら?」
「小学生の中に『鶴見留美』が居た」
鶴見留美。千葉村で強引な方法でイジメを解消した娘。比企谷君は気になっているのだろう。私もその後が心配ではある。
「比企谷君、お願い出来るかしら?」
「こっちから頼んだことだ。その代わり、会議が上手くいかなかったら、すぐに呼んでくれ」
「わかったわ」
「それと…」
「まだなにか?」
「今日の会議、雪ノ下は睨みを効かせるだけでいい。メインは本牧と…、一色にやらせてみろ」
「それはどういうことなのかしら?」
「おそらく前回の会議で玉縄あたりは萎縮しているはず。それで、雪ノ下が前面に出たら、また進まなくなる」
「なるほど」
「本牧なら能力的に問題ないし、一色を緩衝材にすることで、雰囲気が柔らかくなるはずだ。それと…」
「一色の能力査定をしてくれ」
本牧君の能力は十分。さらにいえば藤沢さんと組ませたら更に上がる。由比ヶ浜さんは会計としての能力は十分、ほかはアレだけど…。確かに一色さんの能力は未知数な部分は多いわね。
「承ったわ」
「俺の見立てだと、気が早いが次期会長に十分な器だ。ここで経験積ませるのはデカイと思っている」
そ、そこまで…。
「随分と一色さんを買っているのね?」
「買ってる…。かもな」
ちょっと妬けるわね…。
「…そう」
「あれだ、小町が入学しても俺は一年で卒業しちまうからな。その後もいい学校であって欲しい。それだけだ…」
「シスコン?」
「違ぇよ。じゃあ、そっちは…」
比企谷君が立ち去ろうとした時に、彼の制服の裾を掴んでしまった。
「雪ノ下?」
慌てて手を離した。
「ご、ごめんなさい」
すると、彼はイタズラっぽい笑顔をした。
「ヤキモチか?」
「ち、違…」
違わない…。一色さんや小町さんにヤキモチをやいている。
「あ~、雪ノ下」
顔をあげると比企谷君が照れくさそうに頬をかく。
「雪ノ下が居るから、安心して小学生を見に行けるんだよ」
比企谷君は私のことを…。
「頼んだぞ」
「誰に言っているのかしら?」
「へいへい」
きっと彼は私を信頼してくらている。私もそれに答えなければ。