生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
クリスマスイベント当日。
…順調の一言に尽きる。
全体の進行を見ている私はもちろん、裏方の比企谷君や本牧君も素晴らしい。進行役の由比ヶ浜さんと折本さんはテンポ良く進めてくれているし、小学生や園児達もいうことを聞いてくれている。
…由比ヶ浜さんを進行役にしたのは、調理室へ近づけない為なのは内緒。
「雪ノ下先輩、ケーキの準備OKです」
「一色さん、お疲れ様。少し休んで」
「そうさせてもらいまふ…」
一色さんもスイーツ作りが出来るとはいえ、この数は大変だったみたいね。
「一色、お疲れ。雪ノ下、どうだ?」
比企谷君が様子を見に来た。
「順調よ。あの会議はが嘘みたいね」
「そうだな」
「先輩~、疲れました~」
一色さんが甘ったるい声を出した。
「あざとい」
「あざとくないです!頑張った後輩を労ってください」
「へいへい」
そう言いながら、比企谷君は一色さんの頭を撫でた。
「えへへ~」
嬉しそうね、一色さん。羨ましいわ。
「ん?雪ノ下もしてほしいのか?」
「わ、私は別に…」
「先輩、撫でるの上手ですよ。雪ノ下先輩もどうですか?」
「結構よ」
はぁ、比企谷君に頭を撫でられたい…。
比企谷君が私にしか聞こえないように言ってきた。
「後でな」
!!!
「雪ノ下先輩、どうしたんですか?」
「な、なんでもないわ」
「じゃあ、俺は戻るわ」
比企谷君は持ち場に戻ったのだが…。
「なんか、先輩と雪ノ下先輩ていい雰囲気ですよね…」
一色さんがこちらを見て言ってきた。これが『ジト目』なのね。
「そ、そんなことないわよ」
「へぇ~、ふ~ん」
な、なによ、いいじゃない。
その後も順調に進み、大成功で合同イベントを終えた。比企谷君が出番を終えた京華さんや留美さんの頭を撫でていたのを見て、またしても羨ましく思った以外は…。
残すは片付けのみとなり、各々が飾り付けを外したりゴミをまとめたりしている。
体力のない私は小休止をしている。
「お疲れさん」
比企谷君がペットボトルの紅茶を差し出してきた。
「お疲れ様」
「生徒会長としての初仕事はどうだった?」
「そうね、一時はダメかと思ったけど、なんとか無事に出来てホッとしているわ」
「そうか」
「その…、ごめんなさい」
「はっ?どうした?」
「その…、貴方を巻き込んでしまって…」
比企谷君が背中を押してくれて生徒会長になったのに…。
「何言ってんのお前」
え?
「俺は、雪ノ下が頼ってくれて嬉しかったんだ」
比企谷君…。
「俺の方こそ、すまなかったな」
「生きていて?」
思わず茶化してしまった。
「違ぇよ。その…、イベントを壊しかねないような提案をして」
「私も嬉しかったわ。私を…、みんなを頼ってくれて」
「俺は…成長出来てるのかな…」
彼はそう言った。
「出来てると思うわ。貴方も私も…ね」
「…そうか。ありがとな、雪ノ下」
彼は私の頭を撫でた。
「ひ、比企谷君」
「さっき言っただろ?嫌だったか?」
「しょんなことにゃいわ」
やったわ!比企谷君に撫でてもらったわ!
その後の片付けは、普段以上の能力が出た気がした。