生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
25日…、クリスマス当日。
昨日はあまり眠れなかった。あの由比ヶ浜さんと一色さんを思い出して。
「ねぇハチマン、この不安はなんなのかしらね」
何も答えてくれないパンさんの『ハチマン』。
机に向かっても勉強に集中出来ない。気がつくと外は薄暗くなっていた。
「ひゃっはろ~」
そういえば、姉さんが来ると言ってたわね。
「どうしたの雪乃ちゃん、暗い顔して」
「なんでもないわ。それで、どうするのかしら?」
「まずはこれに着替えて」
差し出された紙袋を受け取り自室へ。
な、ななななな、なんなのこの衣装は!
「姉さん!!」
「着替えた?って、まだじゃん。早く早く!時間ないよ」
こうなったら、姉さんは私の言うことを聞いてくれない。着替えましょう。
「着替えたわよ」
部屋を出た途端にシャッター音か!
「いいよ雪乃ちゃん!可愛い!」
「や、やめて!」
「さぁ、出かけるよ」
「この格好で?」
「とりあえず、コートだけ貸してあげる」
コートを着させられてマンションの外へ。そのまま車に放り込まれた。
「都築、お願い」
「姉さん、どこへ行くのかしら」
こんな格好で不安しかない。
「ふふふっ。着いてからのお楽しみ」
車はスモークガラスになっているから、外からは見えないが、万が一見えたと思うと恥ずかしい。
下を向いていると、どうやら目的地に着いたらしい。
「さぁ、降りて」
着いたのは住宅街の中にある家。表札には『比企谷』の文字。
「姉さん、ここは…」
「うん、比企谷君の家」
待って、待ってください。この格好を比企谷君に見られるのは恥ずかし過ぎる。
「ほら、もたもたしないの」
玄関の前に引っ張られる。すると姉さんは私のコートを剥ぎとり、呼鈴を押すと私を置いて車へ行ってしまった。
「じゃあね」
「ちょ、ちょっと姉さん!」
私の声を聞かずに車に乗り行ってしまった。
玄関の中から「は~い」という声。
扉が開き比企谷君が顔を出した。
「こ、こんばんは、比企谷君」
「…コンバンハ」
「どうして片言なのかしら?」
「いや、その格好…なに?」
「比企谷君、中に入れて頂けるとありがたいのだけど。寒いし、は、恥ずかしいから…」
「うおっ!すまん!」
こんなカタチではあるが、念願の比企谷君の家に入ることが出来た。
「とりあえず、ソファーにでも座っててくれ。今、コーヒー淹れるところだったから、雪ノ下も飲むか?」
「ありがとう、いただくわ」
「んで。何なんだよ、その格好は…」
「み、ミニスカ・サンタ…」
「見りゃわかる。理由を聞いてるんだよ」
「姉さんに着替えさせられて、気がついたら比企谷君の家に連れてこられたのよ…」
「あの車の音はそれか…」
「よ、よかったじゃない」
「何がだよ」
「サンタ狩り。有言実行出来たじゃない」
「俺が思ってたサンタ狩りと違い過ぎる」
「そういえば、小町さんは?」
「友達の家だとよ。そろそろ帰ってくるはずなんだが…」
「そう…」
クリスマスに少しだけでも比企谷君と二人っきりになれたのだから、姉さんには感謝しないと…。
ん?私の携帯が鳴ってる。目線で比企谷君に確認をする。
「出ていいぞ」
「もしもし」
『ひゃっはろ~!』
「ね、姉さん!」
『雪乃ちゃん、お姉ちゃんからのクリスマスプレゼントは堪能してくれてるかな?』
「も、もう!」
『ここで雪乃ちゃんにもつひとつプレゼントが出来ました』
「悪い予感しかないわね…」
『スピーカー通話にしてくれるかな』
「わかったわ」
通話を切り替えてテーブルに携帯を置く。
『ひゃっはろ~!比企谷君居る?』
「げっ!雪ノ下さん」
『失礼だなぁ。お義姉さんにそんなこと言っていいのかな?』
「どういうことですか?」
『オニイチャンタスケテー』
「その声は小町か!」
『ふふふっ、小町ちゃんは私が預かったわ』
『オニイチャンタスケテー』
「そのカタコトやめろ」
『てへっ♪』
「姉さん、どういうことかしら?」
『小町ちゃんを無事に返してほしかったら、今夜は二人ですごしなさい』
「なん…だと…」
「姉さん!!」
『いやぁ、帰る時に小町ちゃん見つけて話をしたら利害が一致しちゃってね』
「お兄ちゃんのことお願いしますね、雪乃お義姉ちゃん』
お、お義姉ちゃん…。
「クッソ!小町が人質に…。雪ノ下、どうすればいい?」
比企谷君は小町さんのことで冷静さを欠いてるわね…。相変わらずのシスコンね。
『あ、ちなみにマンションの鍵は私が持ってるからね』
もう詰んでるじゃない。
「ひ、比企谷君」
「なんだよ。それどころじゃねぇよ!小町が小町が…」
「誠に遺憾だけど、一晩泊めてもらえるかしら?」
「いや、しかしだな…」
「小町さんの為よ」
「そ、そうか…。わかった」
『話はまとまったね。明日の朝には迎えに行くから。じゃあね、メリークリスマス♪』
姉さんがそういうと通話は切れた。
今夜は、比企谷君と二人っきり…。
下着は可愛いモノ…のはず。後で確認しましょう。