生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
比企谷君に送ってもらいマンションの下まで来た。
「じゃあ、またな」
ここで勇気を出さないと。
「比企谷君」
「ん?」
「その…、ウチでご飯食べていかない?」
「遅いけど、悪くないか?」
「大丈夫よ」
彼は少し考えると、携帯を取りだしてポチポチと操作をした。
「小町にメールした。ご馳走になるよ」
「ありがとう」
「俺がご馳走になるのに、なんで雪ノ下がお礼を言うんだ?」
「だって、私の料理を比企谷君に食べて欲しかったから」
「そ、そうか…」
二人で赤い顔をしながらマンションに入る。
鍵を回してドアを開けると…。
「雪乃ちゃん、おっかえり~」
…思わず閉めてしまった。
「おい、今雪ノ下さんの声がしなかったか?」
「た、たぶん、気のせいよ」
「そ、それなら、俺が見てみる」
そう言って比企谷君がドアを開けると。
「お兄ちゃん、何やってるの!」
凄い勢いでドアを閉めた。
「比企谷君、今小町さんの声が…」
「き、きっと幻だ。俺は小町大好きだから、幻まで見るようになったのかな?」
「比企谷君、二人で見てみましょう」
「おう」
そ~っとドアを開けて、二人で覗くと。
「ゆきのん、早く~」
「先輩、何をやってるんですか!早くしてください!」
由比ヶ浜さんと一色さんが…。
「雪乃ちゃん、比企谷君、ドアをバタバタやってると近所迷惑だから、早く入って」
「そうだよ、雪乃さん、ゴミぃちゃん」
私も比企谷君も状況が飲み込めない。
二人に手を引かれ部屋に入ると料理が並んでいた。
「こ、これは、何なのかしら…」
「ゆきのんとヒッキーの為のパーティーだよ。ふたりは付き合い始めたんだよね?」
「な、なんでそれを…」
「あそこまで、お膳立てして付き合ってなかったら、お姉さんガッカリしちゃうよ」
「そうだよ、ゴミぃちゃん」
「そうだよヒッキー」
「わたしと結衣先輩をフッて、雪ノ下先輩と付き合ってなかったら、殴るところでしたよ」
え?比企谷君が由比ヶ浜さんと一色さんを…。
「どういうことかしら?比企谷君」
「ちゃんと話す」
「…そう」
「それは、今夜お泊まりして、ゆっくり話す予定だから」
そう言って由比ヶ浜さんはバッグを持ち上げた。
「先輩のヘタレっぷりを雪ノ下先輩に教えてあげますから」
一色さんも同じようにバッグを見せてきた。
「それは小町も是非とも聞きたいですね」
小町さんもニシシと笑いながら、同じようにする。
「当然、お姉さんもね。比企谷君はご飯食べたら帰ってね」
に、逃げられないわね。
本当は、比企谷君に泊まっていってほしかったのだけど…。
「あっ!ゆきのん、今ヒッキーのこと考えた」
「えっ!」
「雪ノ下先輩、意外と顔に出てますよ」
「えっ!えっ!」
「お前ら、あんまり雪ノ下をイジメるなよ」
「あぁ~、ヒッキーが彼氏っぽいこと言ってる~」
「そりゃそうだろ。か、彼氏なんだから…」
「そこで、言いよどむ所が先輩なんですよねぇ」
「し、仕方ねぇだろ。今まで彼女なんて居たことねぇし、ついさっき彼氏彼女になったばっかりなんだから」
「その辺りは、ご飯を食べながらゆっくり聞きましょう。ね、雪乃お義姉ちゃん」
お、お義姉ちゃん!!
「小町も手加減してくれ」
「は~い、お姉さんお手製の料理だよ」
食事をしながら、今日のデートの内容や告白などを根掘り葉掘り聞かれた。
「じゃあ、俺はそろそろ帰る。あとは女子会?パジャマパーティー?…まぁ、ほどほどにしてくれ。雪ノ下もいっぱいいっぱいだから」
「…比企谷君、外まで送るわ」
「『八幡、行かないで!』」
「『そんなこと言うなよ雪乃。帰りにくいだろ』」
「雪ノ下さん、小町、やめてください」
「そ、そうよ。まだ名前でなんて…」
「え~、ゆきのん、ヒッキーのこと名前で呼ばないの?」
「じゃあ、私が先輩のこと名前で呼んでいいですか?」
「だから、雪ノ下をイジメるな」
「これくらいサービスしてよ」
「い、行くわよ、は、は、八幡」
は、恥ずかしい!!
「お前も無理すんなよ」
比企谷君が私の頭を撫でてくれてる。はぅ、これは気持ちいいわね。
「もう、見せつけてくれるね」
「お兄ちゃん、雪乃さんのこと大好き過ぎ」
「いろはちゃん、コーヒー飲みたいね」
「そうですね。雰囲気甘過ぎなんでブラックですね」
うぅ…。
「ほら、雪ノ下。送ってくれるんだろ?行くぞ」
「え、ええ」
玄関で彼を見送る。
「今日は楽しかったよ」
「私もよ」
「そうだっ!」
「どうしたの?」
「連絡先!」
「ごめんなさい、携帯を置いてきてしまったわ」
「じゃあ、頼む」
相変わらず、無用心に携帯を渡してくる。
「恋人にもこの対応なのね」
「うぐっ!すまん」
「まぁ、いいわ」
彼から携帯を受け取り入力する。少しだけ、イタズラをしてみる。
「はい、どうぞ」
「さんきゅ。後でメールでも…。おい」
「何かしら?」
「名前に(恋人)って…」
「事実じゃない。変えたらダメよ」
「そうだけど…。顔真っ赤にして、恥ずかしいならやるなよ」
「いいじゃない」
「じゃあ、俺のもそう登録しろよ」
「わかったわ」
「んじゃ、帰るわ」
「待って」
ここは、奥手な比企谷君の為に、私が…。
えいっ!
…チュ
「ゆ、雪ノ下、今なにを…」
「い、今は頬が精一杯…。次は貴方から…ね」
「やられっぱなしだな」
「貴方が私に勝てるとでも?」
「無理だな」
「そこは頑張りなさい」
「善処します」
「気をつけてね」
「ああ、おやすみ…、ゆ、雪乃」
ひ、比企谷君が名前で呼んでくれた!!
「お、おやすみなさい、は、八幡」
扉が閉まり、リビングに戻る。
「お帰り、雪乃ちゃん」
「ずいぶんと時間がかかりましたね」
「ヒッキーとおやすみのチューとかしてたの?」
「結衣先輩、先輩と雪ノ下先輩ですよ、それはまだですよ」
まだ女子会があったわね…。