生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡   作:おたふみ

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29話

比企谷君に送ってもらいマンションの下まで来た。

 

「じゃあ、またな」

 

ここで勇気を出さないと。

 

「比企谷君」

 

「ん?」

 

「その…、ウチでご飯食べていかない?」

 

「遅いけど、悪くないか?」

 

「大丈夫よ」

 

彼は少し考えると、携帯を取りだしてポチポチと操作をした。

 

「小町にメールした。ご馳走になるよ」

 

「ありがとう」

 

「俺がご馳走になるのに、なんで雪ノ下がお礼を言うんだ?」

 

「だって、私の料理を比企谷君に食べて欲しかったから」

 

「そ、そうか…」

 

二人で赤い顔をしながらマンションに入る。

 

鍵を回してドアを開けると…。

 

「雪乃ちゃん、おっかえり~」

 

…思わず閉めてしまった。

 

「おい、今雪ノ下さんの声がしなかったか?」

 

「た、たぶん、気のせいよ」

 

「そ、それなら、俺が見てみる」

 

そう言って比企谷君がドアを開けると。

 

「お兄ちゃん、何やってるの!」

 

凄い勢いでドアを閉めた。

 

「比企谷君、今小町さんの声が…」

 

「き、きっと幻だ。俺は小町大好きだから、幻まで見るようになったのかな?」

 

「比企谷君、二人で見てみましょう」

 

「おう」

 

そ~っとドアを開けて、二人で覗くと。

 

「ゆきのん、早く~」

 

「先輩、何をやってるんですか!早くしてください!」

 

由比ヶ浜さんと一色さんが…。

 

「雪乃ちゃん、比企谷君、ドアをバタバタやってると近所迷惑だから、早く入って」

 

「そうだよ、雪乃さん、ゴミぃちゃん」

 

私も比企谷君も状況が飲み込めない。

二人に手を引かれ部屋に入ると料理が並んでいた。

 

「こ、これは、何なのかしら…」

 

「ゆきのんとヒッキーの為のパーティーだよ。ふたりは付き合い始めたんだよね?」

 

「な、なんでそれを…」

 

「あそこまで、お膳立てして付き合ってなかったら、お姉さんガッカリしちゃうよ」

 

「そうだよ、ゴミぃちゃん」

 

「そうだよヒッキー」

 

「わたしと結衣先輩をフッて、雪ノ下先輩と付き合ってなかったら、殴るところでしたよ」

 

え?比企谷君が由比ヶ浜さんと一色さんを…。

 

「どういうことかしら?比企谷君」

 

「ちゃんと話す」

 

「…そう」

 

「それは、今夜お泊まりして、ゆっくり話す予定だから」

 

そう言って由比ヶ浜さんはバッグを持ち上げた。

 

「先輩のヘタレっぷりを雪ノ下先輩に教えてあげますから」

 

一色さんも同じようにバッグを見せてきた。

 

「それは小町も是非とも聞きたいですね」

 

小町さんもニシシと笑いながら、同じようにする。

 

「当然、お姉さんもね。比企谷君はご飯食べたら帰ってね」

 

に、逃げられないわね。

本当は、比企谷君に泊まっていってほしかったのだけど…。

 

「あっ!ゆきのん、今ヒッキーのこと考えた」

 

「えっ!」

 

「雪ノ下先輩、意外と顔に出てますよ」

 

「えっ!えっ!」

 

「お前ら、あんまり雪ノ下をイジメるなよ」

 

「あぁ~、ヒッキーが彼氏っぽいこと言ってる~」

 

「そりゃそうだろ。か、彼氏なんだから…」

 

「そこで、言いよどむ所が先輩なんですよねぇ」

 

「し、仕方ねぇだろ。今まで彼女なんて居たことねぇし、ついさっき彼氏彼女になったばっかりなんだから」

 

「その辺りは、ご飯を食べながらゆっくり聞きましょう。ね、雪乃お義姉ちゃん」

 

お、お義姉ちゃん!!

 

「小町も手加減してくれ」

 

「は~い、お姉さんお手製の料理だよ」

 

食事をしながら、今日のデートの内容や告白などを根掘り葉掘り聞かれた。

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰る。あとは女子会?パジャマパーティー?…まぁ、ほどほどにしてくれ。雪ノ下もいっぱいいっぱいだから」

 

「…比企谷君、外まで送るわ」

 

「『八幡、行かないで!』」

 

「『そんなこと言うなよ雪乃。帰りにくいだろ』」

 

「雪ノ下さん、小町、やめてください」

 

「そ、そうよ。まだ名前でなんて…」

 

「え~、ゆきのん、ヒッキーのこと名前で呼ばないの?」

 

「じゃあ、私が先輩のこと名前で呼んでいいですか?」

 

「だから、雪ノ下をイジメるな」

 

「これくらいサービスしてよ」

 

「い、行くわよ、は、は、八幡」

 

は、恥ずかしい!!

 

「お前も無理すんなよ」

 

比企谷君が私の頭を撫でてくれてる。はぅ、これは気持ちいいわね。

 

「もう、見せつけてくれるね」

 

「お兄ちゃん、雪乃さんのこと大好き過ぎ」

 

「いろはちゃん、コーヒー飲みたいね」

 

「そうですね。雰囲気甘過ぎなんでブラックですね」

 

うぅ…。

 

「ほら、雪ノ下。送ってくれるんだろ?行くぞ」

 

「え、ええ」

 

玄関で彼を見送る。

 

「今日は楽しかったよ」

 

「私もよ」

 

「そうだっ!」

 

「どうしたの?」

 

「連絡先!」

 

「ごめんなさい、携帯を置いてきてしまったわ」

 

「じゃあ、頼む」

 

相変わらず、無用心に携帯を渡してくる。

 

「恋人にもこの対応なのね」

 

「うぐっ!すまん」

 

「まぁ、いいわ」

 

彼から携帯を受け取り入力する。少しだけ、イタズラをしてみる。

 

「はい、どうぞ」

 

「さんきゅ。後でメールでも…。おい」

 

「何かしら?」

 

「名前に(恋人)って…」

 

「事実じゃない。変えたらダメよ」

 

「そうだけど…。顔真っ赤にして、恥ずかしいならやるなよ」

 

「いいじゃない」

 

「じゃあ、俺のもそう登録しろよ」

 

「わかったわ」

 

「んじゃ、帰るわ」

 

「待って」

 

ここは、奥手な比企谷君の為に、私が…。

 

えいっ!

 

…チュ

 

「ゆ、雪ノ下、今なにを…」

 

「い、今は頬が精一杯…。次は貴方から…ね」

 

「やられっぱなしだな」

 

「貴方が私に勝てるとでも?」

 

「無理だな」

 

「そこは頑張りなさい」

 

「善処します」

 

「気をつけてね」

 

「ああ、おやすみ…、ゆ、雪乃」

 

ひ、比企谷君が名前で呼んでくれた!!

 

「お、おやすみなさい、は、八幡」

 

扉が閉まり、リビングに戻る。

 

「お帰り、雪乃ちゃん」

 

「ずいぶんと時間がかかりましたね」

 

「ヒッキーとおやすみのチューとかしてたの?」

 

「結衣先輩、先輩と雪ノ下先輩ですよ、それはまだですよ」

 

まだ女子会があったわね…。

 

 

 

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