生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
「やあ雪乃ちゃん、生徒会は…」
「名前で呼ばないでくれるかしら。何度言ったらわかるの」
「ご、ごめん…。何か手伝えることがあったら、言ってくれ」
「貴方に手伝ってもらうことはないわ」
まったく、なんなのかしら。修学旅行が終わってから、やたらと話しかけてくるのだけど…。こんなところを比企谷君見られたら…。
「葉山には、相変わらずの塩対応だな」
「ひゃっ!きゅ、急に話しかけないでくれるかしら。…、あら?ゾンビって日本語が喋れるのね」
「ゾンビじゃねぇよ。目は腐ってるがな」
そんなことないわ。最近の貴方は目が腐ってなくて…、その…か、か…格好…いい…。
「順調なのか?」
「え?」
「生徒会」
「えぇ、順調よ」
「そうか。じゃあな」
「比企谷君!」
「ん?」
「あの…。なんでもないわ。部活、頑張ってね」
「お、おう。雪ノ下も…。いや、ちゃんと周りを頼れよ」
「それは貴方もでしょ?」
「善処するよ」
クラスも違うし、生徒会と奉仕部と別れてしまったから、会えないかと思ってたら…。
ん?F組から部室に行くのに、どうしてここを通ったのかしら…。ま、まさか、私に会いに!そんな訳ないわよね、ただの偶然。
…でも、もしそうだったら、嬉しい。
生徒会室に着き、作業を始める。まだ大した作業はないのだが。
「ねえねえ、ゆきのん。ヒッキー、一人で大丈夫かな?」
「彼なら大丈夫よ、きっと。ボッチを謳歌してるまであるわ」
「ゆきのん、言い方がヒッキーっぽい…」
はっ!しまった!さっき彼に会ったからかしら。由比ヶ浜さんの視線が痛い。何故か一色さんにまで睨まれてる。
夕方、その日の作業を終わらせた。由比ヶ浜さんに疑いの目で見られてはいたけれど…。
「少し早いけど、初日だからこれくらいにしましょうか」
「うぅ、予算資料って難しいよぉ」
「私も疲れましたぁ。結衣先輩、甘いもの食べに行きませんか?」
「いいね!いろはちゃん!ゆきのんも行こう!」
「そうね…」
甘いもの…。あっ!ティーセット!
「ごめんなさい、今日は用事があるから」
「そっかぁ、じゃあ仕方ないね。いろはちゃん、二人で行く?」
「はい♪」
「では、私は鍵を返してくるわ」
「また明日ね」
「また明日」
彼女達を見送り、私は奉仕部へ向かう。
部室の扉の前に立ちノックをする。気だるそうな返事が聞こえたので、扉を開けて入室した。
「こんにちは」
「さっきも会っただろうが。もう寂しくなったのか?」
「あら?貴方はまともに挨拶も出来ないのかしら?」
「こ、コンニチハ」
「よろしい」
「で、どうしたんだ?依頼か?」
依頼?そうだわ。
「まぁ、依頼と言えば依頼ね」
「なんだそりゃ」
「ティーセットを置きっぱなしにしていたから、生徒会室に運ぶのを手伝ってもらえるかしら」
「気にはなっていたんだよな。それくらいならいいさ。どうせ依頼もないだろうしな」
依頼なんてしなくても、一人で運べる。でも『心の思うまま』に…。
彼と一緒に生徒会室へ。
「よし。これでいいか?」
「ええ」
もう一度、『心の思うままに』…。
「比企谷君、お礼に紅茶を淹れるわ」
「時間遅いけどいいのか?」
「それくらいなら、大丈夫よ」
場所は変わったけど、いつものように紅茶を淹れる。
「どうぞ」
「さんきゅ」
紙コップをふーふーしなかがら飲む仕草が可愛く見えてしまう。
「そ、そんなに見られると飲みにくいんだが…」
「ご、こめんなさい」
いけない、凝視してしまったわ。
「やっぱり雪ノ下が淹れる紅茶は旨いな。これが飲めなくなるのは残念だな」
心の思うままに…、心の思うままに。
「ひ、比企谷君さえ良ければ、時々来てもいいのよ」
「そ、そうか。それなら時々お邪魔させてもらうよ」
紅茶を飲み終えて、帰宅しようとする。
「では、比企谷君…」
「ゆ、雪ノ下…」
「なにかしら?」
「く、暗くなるのが早くなってきたから、その…、途中まで送るぞ」
「え?」
比企谷君が!比企谷君が!送ってくれるって!
「嫌なら、忘れてくれ。じゃあ、帰…」
「待ちなさい!こんな可愛い女の子が一人で歩いていたら、危ないわ。だから、…送りなさい」
「なんだそりゃ。まあいい。俺から言ったことだしな」
姉さんの言った通りね。ありがとう、姉さん。