生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡   作:おたふみ

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31話

「おはよう、比企谷君」

 

「…」

 

「おはよう、比企谷君。遂に耳まで腐ってしまって聞こえないのかしら?」

 

「いや、腐ってるのは目だけだから。この状況に驚いて声が出なかっただけだからね。おはよう、雪ノ下」

 

「よろしい」

 

「んで、なんで俺の布団の中に雪ノ下が居るか説明してもらえるか?」

 

「可愛い彼女が横に寝てるのが不満?」

 

「不満な訳ねぇだろ。寧ろ大満足だ。満足し過ぎて昇天しかけたまである」

 

「そう。朝食の準備が出来てるからリビングに来てもらえるかしら」

 

「了解。朝飯食いながら、色々聞きますかね」

 

比企谷君への寝起きドッキリが成功したわ。あの驚いた顔は良かったわね。なにより、寝顔が可愛いかった。何枚も携帯で撮ってしまった。なかなか起きないので頬にキスまでしてしまったわ。もう遠慮しなくていいのよね。

 

 

 

「すげぇ豪華な朝飯だな」

 

「そう?」

 

豪華なはずよ。張りきり過ぎて、予想以上の品数を作ってしまったのだから。

 

「いただきます」

 

「いただきます」

 

「そういえば、ウチの家族は?」

 

「お義父さまとお義母さまは仕事へ行かれたわ。義妹(いもうと)の小町さんは友達と受験勉強だそうよ」

 

「今、家族の呼び方に『義』って文字が見えた気がするが…」

 

「そう?」

 

そのつもりで言ってるのだから。

 

「雪ノ下はなんで、俺ん家に居るんだ?」

 

「貴方に買い物に付き合ってもらおうかと思ったのよ。どうせ暇でしょ?」

 

「い、いや、録り貯めたアニメとかラノベをだな…」

 

「彼女が年末の買い物で重い物を持って歩いているのに、貴方はコタツでアニメ三昧なの?」

 

「慎んで、お供させていただきます」

 

彼に甘えて、こんな言い方をしてしまう。素直にならなくては…。

 

「ごめんなさい。本当は、貴方とその…、デートがしたいの…」

 

「よし!さっさと支度するぞ」

 

「ど、どうしたの、急に」

 

「彼女がモジモジしながら『デートしたい』とか言ったら行くしかないだろ」

 

「そ、そう…」

 

「おっと、違った」

 

「?」

 

「『可愛い彼女の雪ノ下が』だった」

 

「は、早く支度しなさい!」

 

そうやって不意討ちをするんだから…。

 

 

 

「んで、どこに行くんだ?」

 

「まずは、時計屋さんよ」

 

「時計屋?目覚ましでも壊れたか?」

 

「いいえ、違うわ」

 

「じゃあ、なんだ?」

 

「行けばわかるわ」

 

「さいですか」

 

彼と時計屋さんに入り、従業員に声をかける。

 

「雪ノ下ですが、注文した物は来てますか?」

 

「はい、少々お待ちください」

 

小さな紙袋を受け取り店を出る。

 

「終わりか?」

 

「えぇ、受け取りだけだったから」

 

「ほ~ん」

 

「中身、気になる?」

 

「それなりにな」

 

「あとで…ね」

 

「おう。で、次は?」

 

「ショッピングモールでも行きましょうか」

 

「はいよ」

 

洋服屋さんや雑貨屋さんを見てまわっていると、比企谷君の手が落ち着かない。…手を繋ぎたいのかしら?

 

「ゆ、雪ノ下…」

 

「何かしら?」

 

「その…手を…繋いでもでも…」

 

「ダメよ」

 

「そ、そうか…」

 

ガッカリした比企谷君の顔…。悪くないわね。次は驚いた顔になるかしら…。えいっ!

 

「なっ!なにを…」

 

「今日は手じゃなくて、腕を組みたいの」

 

「そ、そうか」

 

ガッカリしたり、驚いたり、恥ずかしそうだったり、百面相ね。

 

アクセサリーショップの前に来ると、ばつが悪るそうな顔になった。

 

「どうしたの?」

 

「は、早く行こうぜ」

 

そう言っていると、ニッコニコの店員が駆け寄ってきた。

 

「先日はありがとうございました」

 

「い、いや、あの、その、こちらこそ、どうも…」

 

比企谷君がシドロモドロになっている。

 

「上手く渡せたみたいでなによりです」

 

「あ、はい…」

 

「また、可愛い彼女さんとお立ち寄りください」

 

「その時は、またお願いします」

 

「彼女さんも、お似合いですよ」

 

お、おおおおおおお似合い!

 

「あ、ありがとうございます…」

 

「で、では、失礼します」

 

「はい」

 

 

 

「比企谷君」

 

「はい」

 

「あのお店でこのネックレスを買ったの?」

 

「はい」

 

「そう…。今度は一緒に見てくれる?」

 

「もちろん」

 

その後も、色んなお店を見てまわる。

 

「雪ノ下、本屋寄ってもいいか?」

 

「ええ、いいわよ」

 

「じゃあ、俺はラノベを見てくるから、後で入り口で…」

 

今日はデートなのに!

 

「イテテテテッ!間接をきめるな」

 

「今日はデートなのよ」

 

「じゃあ、一緒に見るか」

 

「よろしい」

 

比企谷君はライトノベルを手に取り物色している。

…表紙の女の子の胸が大きいのは気のせいかしら…。

 

ん?比企谷君が参考書のコーナーを見ている。

 

「参考書、買うの?」

 

「ん?いや、今日はやめとく。折角のデートの時に数式とか見たくないからな」

 

「数式?貴方、数学は捨てたんじゃないの?」

 

「あっ、いや、…それも含めて話をしたいことがあるんだが…」

 

「そう。では、今夜はウチに来なさい」

 

「…わかった」

 

ナチュラルに誘えたわ。食材も買い揃えてあるし、…男物の着替えも姉さんが置いていってくれたから大丈夫ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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