生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
「ご馳走さま。すげぇ旨かった」
「お粗末様でした」
比企谷君に私の手料理を振る舞う。朝もだったけど、この部屋で食べてもらえたのが嬉しい。
「さすが雪ノ下だな。いいお嫁さんになる」
お、おおおおおおおお嫁さん!!
「ひ、比企谷君…」
「いや、違う。そうなれるってことで、俺と結婚とじゃ…でも、雪ノ下と結婚とか…」
「わ、私は比企谷君のお嫁さんになりたいわ」
「え?お、そ、そうか…」
な、何を言ってるのよ、私!!
「お、俺だって、ここまで好きになった雪ノ下が嫁さんになってくれたらと…思う」
「こ、紅茶、淹れるわね」
比企谷君が私を…。嬉しい。
まずは、比企谷君の話を聞かなくては。由比ヶ浜さんや一色さん、それに数学の話も…。
「どうぞ」
「さんきゅ」
「あ、あの、雪ノ下」
「何かしら?」
「ち、近いんですけど…」
彼の隣に座り、肩に頭を置いている。
「ダメ?」
「うぐっ!ダメじゃないです」
「そう」
「ちょっと真面目な話をするから、少しだけ離れてくれるとありがたいです」
「仕方ないわね」
肩から頭を離し、比企谷君の方を向く。
「えっと、だな…」
比企谷君の話を聞こう。ここに至った経緯を…。
「雪ノ下のことは、たぶん前々から好きだったと思う。いつからかって聞かれるとわからないが…。出会った時には、心惹かれてたのかもな」
「そうね、私もそうかもしれないわ」
「確信したのは修学旅行だ。皮肉なもんだよな」
そう…。彼は好きでもない人に告白をしてフラれた。何も知らなかった私と由比ヶ浜さんの為に。
「文化祭の後に平塚先生に言われたんだ『君が傷つくのを見て、痛ましく思う人間もいる事にそろそろ気付くべき』ってな。俺は知らず知らずのうちに雪ノ下や由比ヶ浜を傷つけていた」
平塚先生、そんなことを言っていたのね。
「海老名さんに告白した時に、雪ノ下の顔が浮かんだんだ。その時確信したよ、俺は雪ノ下が好きなんだと。そして、好きな人の前で何てことをしてしまったんだと」
「私もそうよ。なんで比企谷君の前に居るのは、私じゃないのって。比企谷君に告白されてるのは、どうして私じゃないのって」
「すまん…」
「ごめんなさい、そういうつもりで言ったのではないの。私もあの時に比企谷君が好きって確信に変わったのよ」
「…そうか。それで、あんな言葉を…」
そう、比企谷君のやり方を否定してしまった…。
「でもな、雪ノ下は俺のやり方を否定してくれたんだ」
え?
「俺自身を俺を否定しているんじゃないって思ったんだ。都合のいい解釈かもしれないがな」
「確かに、あのやり方は嫌いだったわ。あの時はあれしかなかったかもしれないけど…」
「だったら、雪ノ下が認めてくれる男になりたいと思ったんだ」
「…そうなのね。私は一色さんの依頼の時、環境を変えて生徒会で一緒に出来れば、貴方が自分を犠牲にしようとすることも減るだろうし、近くで止められると思ったのよ」
「そんな風に思ってくれてたんだな」
タイマーの音が鳴り、話が止まった。
「ん?何のタイマーだ?」
「お風呂よ。入るでしょ?」
「は?」
比企谷君が口をポカーンと開けている。
「お風呂、入らないの?」
「いや、帰るけど…」
ふっ、甘いわね。
「比企谷君、メール確認してみたら」
「何をした…」
メールを確認して、目をおおっている。
「何かメールが来てたかしら?」
「小町に根回しとかするなよ。『今夜は帰ってくるな』って…」
「あら大変。ウチに泊まる?」
「白々しいぞ」
「だって、素直に言っても泊まってくれるか不安だったから」
「も、モジモジするな、可愛いな俺の彼女!…はぁ、泊まるよ」
ふっ、チョロいわね。
「夜は長いのだし、ゆっくり話しましょう」
「あいよ」