生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
おかしいわ。一緒にお風呂に入ろうと提案したはずなのに、何故か別々…。上手く丸め込まれた気がするわ。比企谷君風に言ってみよう。
「解せぬ」
「なんか言ったか?」
「ひぁ!な、なんでもないわ」
お風呂から出てきた比企谷君に声をかけられて、驚いてしまった。
「いいお湯だったよ」
「そう。では、私も入ってくるわ」
「おう」
「の、覗いてもいいのよ…」
「の、覗かねぇよ」
「見たくないの?」
「そ、そこ問題じゃなくてだな…」
「ふふっ、いつか、ね」
「ああ」
お風呂に入り、リビングに戻る。
「さてと、どこまで話したかな?」
「生徒会長選挙までね。思ったのだけど、貴方は選挙前に姉さんに会ったのかしら?」
「会ったよ。洗いざらいはかされた。修学旅行の件も生徒会長選挙のことも…。口には出してないけど、雪ノ下のことが好きだってこともバレてたと思う」
やっぱり…。
「ごめんなさい、姉さんが…」
「いや、いいんだ。雪ノ下さんは、雪ノ下のことをサポートしてくれたんだろ?」
「そうね、助言をくれたわ」
「やっぱり、あの人シスコンだわ」
「貴方がそれを言うのね…」
「話を戻すぞ。あの時、本当は別の方法も思いついたんだが、俺の脳内会議で即却下になった」
「貴方のことだから、応援演説でヘイトを集めるとか考えたのでしょ?」
「正解。だが、さっきも言ったがそれをやめた。どうするかと考えていた、雪ノ下が生徒会長に立候補すると言い出した。俺もサポートしたいが、悪評だらけだし力不足だと思った」
「だから、奉仕部に残ったのね」
「そうだ。少しでも力をつけてから、雪ノ下の隣に行きたかった」
「そうだったのね…」
「そうしたら、雪ノ下が思いの外グイグイ来たから…」
「あれは姉さんからの助言よ。二人とも面倒臭い性格だから、心の思うままにってね」
「なるほどな。雪ノ下さんの思惑通りか。やっぱりシスコンじゃねぇか」
「それで、数学に関してはなんなのかしら?」
「…言わないとダメですか?」
「ええ。言わないと、手を繋いであげないわよ」
「うぐっ!言うよ」
「よろしい」
「ゆ、雪ノ下と同じ大学に行きたくなったから…」
え?
「子供じみてる考えかもしれない。けど、同じ大学へ行って同じ景色を見たいんだよ」
「比企谷君!」
気がついたら、彼に抱きついていた。
「比企谷君、嬉しいわ」
「そ、そんなに喜んでくれるとは思わなかった」
「私だって、貴方と同じ大学にしようかと思ったのよ」
「そうか。でも、俺が雪ノ下の目標まで行く」
「でも、数学は大丈夫なの?」
「…鋭意勉強中です」
「私が見てあげるわ」
「それは心強い」
…比企谷君と話が出来て安心したら、眠…く…なって…
「雪ノ下、寝るか?」
「そうね」
「じゃあ、俺はこのソファーで…」
「比企谷君…」
「なんだよ、両手伸ばして」
「抱っこ」
我ながら、子供っぽいのはわかっている。けど、彼に甘えたい。
「いや…」
「早くして」
「仕方ねぇな」
比企谷君、お姫様抱っこしてくれている…。最高の気分ね。
そのまま寝室へ。
「じゃあ、俺はソファーへ…」
「何を言ってるの?早く布団に入って」
「いやいやいや」
「ダメ?」
必殺の上目遣いよ!
「…わかったよ」
チョロいわね。
眠いわ…。もうひとつだけ甘えたい。
「八…幡……、おやすみの…キスを…して…」
『おやすみ、雪乃』という比企谷君の声とおでこへのキスの感触を最後に眠りについた。