生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
大晦日から実家に戻り、今日は元旦。着物を着て午前中は家族で過ごす。午後は比企谷君とみんなで初詣に行く。そんな話をしたら父が車で送ってくれると言ったのだが、初詣の道路規制で近くまで行けないので断った。そんな話を聞いていた母から、出かける時に『比企谷君によろしく』と言われた時はゾクッとした。比企谷君が来るのは明後日だ…。楽しい気持ちが一転して暗くなってしまった。
待ち合わせの場所に着くと、もう比企谷君が待っていてくれた。まだ30分も前なのに。
「ごめんなさい、待たせてしまって。明けましておめでとうございます」
「おめでとさん。俺も着いたばかりだ」
彼の手を握ると冷たい。
「嘘つき」
「うぐっ。30分ぐらい待ちました」
「そんなに早く来なくてもよかったのに」
「そりゃ、まあ、色々と…」
「色々って、何?」
「ゆ、雪ノ下に早く会いたかったし、雪ノ下を一人にしたらナンパとかされそうで…」
もう!この人は…。
「私も、早く会いたかったわ」
「そ、そうか」
相変わらず、攻めに弱い。
「ゆ、由比ヶ浜達は、ま、まだかな?」
彼の隣に立ち手を握る。
「お、おい、アイツ来たら…」
「…来るまで…ね、お願い…」
「わかったよ」
ほぼ時間通りに由比ヶ浜さんと一色さんが来た。
「ヒッキー、ゆきのん、あけおめ~!」
「おめでとうございます、先輩、雪ノ下先輩」
「あけましておめでとう」
「おめでとさん。じゃあ、行くか」
「ヒッキー」
「なんだ?」
「私達が来たからって、あわてて手を離さなくてもいいんだよ」
「あっ、いや、それは…」
「はいはい、ラブラブですね、お二人は」
由比ヶ浜さんも一色さんも目ざといわね。
お参りを済ませて時間を確認する。まだ帰るには時間が早い。
「この後はどうしましょうか?」
「あん?そうだな…」
比企谷君が時間を見ると。
「あー!ヒッキーとゆきのん、時計がお揃いだ!」
「本当です!いつの間に…」
「あっ、いや、それは、ほら…」
いつもながら、シドロモドロになる比企谷君、可愛いわ。
「これは話を聞かない訳にはいかないね」
「そうですね、結衣先輩」
「はぁ、わかったよ。俺ん家でいいか?」
「ほえ!ヒッキーがあっさりしてる」
「先輩なら、もっとゴネルと思ってました」
確かにそうね。
「小町もお前らが来ると喜ぶたろうしな」
「やっぱりシスコンだ」
「シスコン先輩」
「シスコン谷君」
「くっ!なんとでも言え」
「私、一回帰って着替えるね」
「そうなのか?」
「着物って、胸が苦しくて」
「結衣先輩、私もです。雪ノ下先輩…ヒッ!」
「一色さん…」
「な、なんでもないです」
わ、私だって、比企谷君に触ってもらうようになれば…。
「と、とりあえず、先にヒッキーの家行ってて」
「で、では、後程…」
逃げたわね…。
「雪ノ下は着替えなくていいのか?」
「ひ、比企谷君まで、そういうことを言うの…」
「ち、違う、雪ノ下はスレンダーで俺好みであって、決して揶揄した訳ではない。俺は着物が似合う雪ノ下が大好きだぞ…あ」
も、もう!
「私のこと、好き?」
「だ、大好きです…はい」
「俺たち、道の真ん中で何やってんだ!」
はっ!周りに人が…。恥ずかしい。
「ひ、比企谷君、早く行くわよ」
「お、おう。だが、雪ノ下も着替えることをオススメするぞ」
さっきは『着物が似合う雪ノ下が大好き』って言ってたのに…。
「ほら、カマクラが…。猫の毛を気にしてモフれないぞ」
「そ、そうね」
一旦着替えて、比企谷君の家に集まった。小町さんも友達との初詣を終えて帰って来ていた。ご両親は親戚の家で飲んでるので、帰宅は夜になるとのこと。みんなでマリパー?をしたり、お菓子を食べたりして楽しい時間を過ごした。腕時計のことも根掘り葉掘り聞かれたわ…。
帰る前に由比ヶ浜さんが、『来年はヒッキーと二人で初詣行ってね』と言ってくれた。ありがとう、由比ヶ浜さん。
帰りは比企谷君が駅まで送ってくれる。
「なぁ、雪ノ下」
「何かしら? 」
「明後日なんだがな…」
「ええ」
「…認めてもらおうな」
「…勿論よ」
私はこの先、比企谷君と共に前に進みたい。だから、明後日はなんとしても認めてもらわないと。