生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡   作:おたふみ

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38話

「さて、二人の交際に関しては問題ない…。いえ、望ましいことなのですが、二人とも進路はどうするんですか?」

 

確かに、高校二年の冬にもなれば避けて通れない話題。

 

「私は国立理系に」

 

「俺もです」

 

「はて?比企谷さんは専業主夫希望では?」

 

何故、母さんが知っているの!!

 

「陽乃から聞きました」

 

「心を読まないでください。雪ノ下家はエスパーだらけかよ」

 

「比企谷さんが顔に出やすいからですよ」

 

「そうですかね…」

 

比企谷君が微妙な顔をしていると扉をノックする音がした。

 

「ひゃっはろ~♪紅茶のおかわり持ってきたよ」

 

「陽乃、ご苦労様です。貴方もそこに座りなさい」

 

「は~い」

 

姉さんも座り、改めて母さんが話を始めた。

 

「これは、お父さんからの意見です」

 

また緊張してきたわ。

 

「二人にも、二人のパートナーとなる男性にも政治家は強要しないそうです」

 

「え!」

「え!」

「え!」

 

どういうこと…。姉さんか私が議員になるものだとばっかり…。

 

「この御時世に、建設会社の人間が議員をやっていると世間的によくないし、何よりもこんな苦労はさせたくないそうよ」

 

初めて知った…。父さんがそんなふうに考えていたなんて…。

 

「それと、会社も継がなくてもいいです。貴方たちがやりたいことをやりなさい」

 

「ちょ、ちょっと、お母さんどういうこと!?」

 

姉さんが狼狽している。私だって混乱しているのだから。

 

「私とお父さんで相談したんだけど、私もお父さんも議員や会社に縛られていて、娘達に同じ道を歩ませるのはどうかと思ってね」

 

「わ、私はどうすれば…」

 

姉さんが途方にくれている。私も目標を失ってしまった。

 

「別にダメとは言っていませんよ。議員になりたい、会社を継ぎたいというのであれば、そうしなさい。協力もしますよ」

 

「わ、私は…、議員になるつもりでいたから…」

 

姉さんが力なく言葉を発した。

 

「陽乃、まだ時間はあります。陽乃のやりことをやりなさい」

 

「はい」

 

「雪乃はどうですか?」

 

「わ、私は会社を継がされると思っていたので…」

 

会社の…、『雪ノ下』の駒にされると思っていた…。

 

「そう…。でも、貴方の好きなようにしていいのですよ」

 

「…はい」

 

やらされてる、そうするしかないと思っていたけれど、目標ではあった。目標を失った私はどうすれば…。

 

「何、下向いてんだよ、雪ノ下」

 

え?

 

「『雪ノ下雪乃』がそんなことでどうする」

 

あの時と同じように私を鼓舞してくれている。いいえ、あの時とは違うとても優しい顔。

比企谷君が私の手に手を重ねてきた。

 

「えっと、なんだ、ほら、その…、今は俺も居るし…」

 

赤い顔をしながら私に伝えてくれている。

 

「そうね、今は貴方が居てくれる…」

 

重ねてくれた手を握り返す。今の彼の目は『腐ってる』とか『濁っている』とか言われてるものとは違う、とてもキレイな目だ…。

 

「二人とも、私とお母さんが居るしことを忘れてない?」

 

はっ!いけないわ!

 

「ふふふっ。比企谷さんと、ゆっくり考えなさい」

 

「…はい」

 

は、恥ずかしい!!

 

 

 

 

 

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