生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡 作:おたふみ
「さて、二人の交際に関しては問題ない…。いえ、望ましいことなのですが、二人とも進路はどうするんですか?」
確かに、高校二年の冬にもなれば避けて通れない話題。
「私は国立理系に」
「俺もです」
「はて?比企谷さんは専業主夫希望では?」
何故、母さんが知っているの!!
「陽乃から聞きました」
「心を読まないでください。雪ノ下家はエスパーだらけかよ」
「比企谷さんが顔に出やすいからですよ」
「そうですかね…」
比企谷君が微妙な顔をしていると扉をノックする音がした。
「ひゃっはろ~♪紅茶のおかわり持ってきたよ」
「陽乃、ご苦労様です。貴方もそこに座りなさい」
「は~い」
姉さんも座り、改めて母さんが話を始めた。
「これは、お父さんからの意見です」
また緊張してきたわ。
「二人にも、二人のパートナーとなる男性にも政治家は強要しないそうです」
「え!」
「え!」
「え!」
どういうこと…。姉さんか私が議員になるものだとばっかり…。
「この御時世に、建設会社の人間が議員をやっていると世間的によくないし、何よりもこんな苦労はさせたくないそうよ」
初めて知った…。父さんがそんなふうに考えていたなんて…。
「それと、会社も継がなくてもいいです。貴方たちがやりたいことをやりなさい」
「ちょ、ちょっと、お母さんどういうこと!?」
姉さんが狼狽している。私だって混乱しているのだから。
「私とお父さんで相談したんだけど、私もお父さんも議員や会社に縛られていて、娘達に同じ道を歩ませるのはどうかと思ってね」
「わ、私はどうすれば…」
姉さんが途方にくれている。私も目標を失ってしまった。
「別にダメとは言っていませんよ。議員になりたい、会社を継ぎたいというのであれば、そうしなさい。協力もしますよ」
「わ、私は…、議員になるつもりでいたから…」
姉さんが力なく言葉を発した。
「陽乃、まだ時間はあります。陽乃のやりことをやりなさい」
「はい」
「雪乃はどうですか?」
「わ、私は会社を継がされると思っていたので…」
会社の…、『雪ノ下』の駒にされると思っていた…。
「そう…。でも、貴方の好きなようにしていいのですよ」
「…はい」
やらされてる、そうするしかないと思っていたけれど、目標ではあった。目標を失った私はどうすれば…。
「何、下向いてんだよ、雪ノ下」
え?
「『雪ノ下雪乃』がそんなことでどうする」
あの時と同じように私を鼓舞してくれている。いいえ、あの時とは違うとても優しい顔。
比企谷君が私の手に手を重ねてきた。
「えっと、なんだ、ほら、その…、今は俺も居るし…」
赤い顔をしながら私に伝えてくれている。
「そうね、今は貴方が居てくれる…」
重ねてくれた手を握り返す。今の彼の目は『腐ってる』とか『濁っている』とか言われてるものとは違う、とてもキレイな目だ…。
「二人とも、私とお母さんが居るしことを忘れてない?」
はっ!いけないわ!
「ふふふっ。比企谷さんと、ゆっくり考えなさい」
「…はい」
は、恥ずかしい!!