生徒会長・雪ノ下雪乃 奉仕部部長代理・比企谷八幡   作:おたふみ

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最終話

晴れて、両親公認の交際となった私の誕生日も終わり、冬休みは順調に過ぎていった。

主に比企…、こほん。八幡の数学に費やした冬休みだったが、好きな人と過ごす時間はあっという間だった。

 

冬休みが終わり三学期が始まった。始業式とHRが終わり、私は2-Fへ向かった。そう、八幡のクラスだ。だか、八幡に用事があるわけではない。そ、それは、少しでも早く顔は見たいけど…。

 

2-Fに着くと、そそくさと逃げるように教室を出ようとする八幡とドアの前で出くわした。

 

「よ、よう…」

 

「こんにちは、八幡」

 

「はち、いや、名前呼び…は…」

 

「あら、彼女に名前呼びされて、どうして動揺しているのかしら?」

 

2-Fがざわついている。

 

「ほら、目立っちゃうだろ」

 

「まぁ、いいわ。貴方に用があるわけではないから」

 

「そ、そうか…」

 

明らかに、しゅんとしている八幡、可愛いわ。そっと耳打ちをする。

 

「部室で待っていて」

 

「お、おう…」

 

八幡と交代するように、由比ヶ浜さんが来た。

 

「ゆきのん!」

 

「こんにちは、由比ヶ浜さん」

 

「ヒッキーに会いに来たの?」

 

ニヤニヤしながら由比ヶ浜さんが言ってきたが

 

「残念ながら違うわ。三浦さんを呼んでもらえるかしら?それと、今日は生徒会はないわ」

 

「わかった。優美子ね、ちょっと待ってて」

 

由比ヶ浜さんに三浦さんを呼んでもらい廊下へ。

 

「なんだし」

 

「聞いたわよ、葉山君とお付き合いを始めたのね」

 

「な、なななな!」

 

顔が真っ赤よ、三浦さん。

 

「ウチの母から聞いたわ。葉山のおば様がウチの母に『息子に彼女が出来た』って自慢したらしいわよ」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「私も正式に八幡…、比企谷君とお付き合いしているわ」

 

「よかったじゃん」

 

「それは、お互い様よ」

 

「ふふふっ。そだね」

 

「三浦さんとは、少し仲良く出来そうな気がしてきたわ」

 

「ん、あーしも」

 

二人で笑いあい、その場を後にした。川崎さんが落ち込んでたわね。でも、八幡は譲らないわ。

 

部室に向かう。

 

「ごめんなさい、待たせてしまって」

 

「ん?気にするな。問題集やってたから」

 

今日、ここで二人っきりになったのは、話したいことがあったのだ。

 

「ねぇ、八幡」

 

「どうした、改まって」

 

「私ね、なりたかったモノを思い出したの」

 

彼は問題集を閉じてこちらに向いた。

 

「小さい頃、親戚の結婚式でとても綺麗な花嫁さんを見たの。その時、花嫁さんに花束を渡したんだけど、その時に『私も花嫁さんになれる?』って聞いたの。そしたら『雪乃ちゃんなら、きっと素敵な彼が素敵な花嫁さんにしてくれるわ』って…」

 

八幡は黙って聞いてくれている。

 

「八幡、私を素敵な花嫁さんにしてくれる?」

 

彼は恥ずかしそうに頬をかきながら

 

「俺…、雪ノ下のお父さんが『ウチの会社に』って言ってくれただろ?その話、受けてみようと思うんだ」

 

目線を泳がせながら、彼は続けた。

 

「たぶん、就職したら『雪ノ下の次女の男だから』とか言われると思う。だけど、それをねじ伏せて、胸張って雪乃に改めてプロポーズしようと思う」

 

今度は私の目をしっかりと見て、言ってくれた。

 

「そして俺は雪乃を誰もが羨む、そしてみんなが祝福してくれる花嫁さんにしてやる」

 

「八幡!!」

 

私は彼の胸に飛び込んでいた。

 

「約束よ」

 

「あぁ、約束だ」

 

「ふふっ」

 

思わず、笑ってしまった。

 

「んだよ」

 

「以前の貴方なら、『そんな先の約束はできねぇ』とか言いそうだから」

 

「確かにな。でも、今なら、今だから、言えるんだよ。大好きだ、雪乃」

 

「私も大好きよ、八幡」

 

 

このまま彼と生涯を共にするのだろう、漠然とそう思う。

 

何故だろう、私に似た娘を甘やかす彼の姿が目に浮かぶ。本当に何故だろう。

 

未来なんてわからない。でも、あの時に思った、『彼を私の隣に立たせる』ということは出来た、でも、今は私が彼の隣に立ち寄り添いたいと思っている。

 

ここまで私を想わせたんだから、幸せしてね、八幡。

 

 

 

 

 









~~~~~~~~~~~

着地点も模索してましたが、これで完結です。
お付き合い、ありがとうございました。

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